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「…何なんw」運が良いのか、悪いのか…。とかげと藤井風にすくわれた2022年12月に起きたうんこ騒動のすべて。

2022年12月15日、コンビニにて、すみっコぐらしの一番くじを2回だけ引いてみた。すると一番推しているキャラクター・とかげのぬいぐるみが当たり、うれしい、ラッキー、神さまありがとうと珍しく浮かれていた。
 
その翌日、別のコンビニにて、同じくじをまた2回だけ引いてみると、またしても大好きなとかげのぬいぐるみが当たった。うれしい反面、二日連続で同じぬいぐるみが当たるなんて、少し怖いくらいだった。こんなラッキーなこともあるんだなと不思議な何かを感じつつ、やっぱり浮かれていた。

※双子のとかげ

そして運命の12月17日土曜日。ちらちら雪が舞う昼過ぎ、積もらないうちに買い出しに行こうと借りている駐車場へ向かった。住んでいる部屋の近くにはなかなか空きがなくて、数ヶ月前にようやく借りることのできた駐車場だった。そこそこ自然豊かな場所のため、秋までは蚊など虫の出没に悩まされていた。寒くなり、やっと虫から解放され、駐車にも慣れ、気の緩みがあったかもしれない…。

※画像は枯草のみなのでご安心を

雪で湿っている枯草の上を歩いていたら、一瞬ぬるっと、バナナの皮でも踏んだ時のように滑った感覚があった。気にせず車に乗り込むと、マスクをしていたにも関わらず、足元から何か臭う気がした。臭い…。この臭いはまさか…。
 
気になって靴を見てみると枯草の色によく似た色のそれはついていた。
 
「な、な、なな、ななな、なな、な、な…何なん?!」 
 
「…それは何なん?」
 
《足元照らして、やばめ やばめ やばめ やばめ》
 
この時から藤井風の「何なんw」が自動的に頭の中でリピートされ始めた。
 
これは…これは…もしや…。さっきぬるっと感じたあの感覚はまさか…。
 
慌てて車から降りて、さっき滑った場所を確認してみた。するとそれはやはりあった。私の片足につぶされたそれが…。
 
明らかに猫や犬、獣のものとは形状が違って、日常的に見覚えのある色味と形だった。
 
「なんでこんな場所に人糞が…。」

踏んでしまった私は少しの間、呆然と立ち尽くしていた。
 
《神様たすけて、やばめ やばめ やばめ やばめ》
 
雪の中ひとり行く私…知らないうちに
《心の中でささやくのよ そっちに行ってはダメと 聞かないフリ続けるあんた 勢いにまかせて 肥溜めへとダイブ》
してしまっていたらしい。
 
時は戻せないし、踏んでしまったものは仕方ない。まずは靴をどうにかしなければと我に返った。そうだ、この自然豊かな駐車場の入り口付近には大きなくぼみがあって、水が溜まっていることが多いじゃないか。雪が降る前に雨も降っていたし、もしかしたら水溜まりになっているかもしれない…。そうひらめき、確認してみると、本当に水溜まりがあったため、そこで靴底を洗うことができた。
砂漠のオアシスならず、駐車場の水溜まりに初めて感謝した瞬間だった。なんでこんなところに穴が空いてるの?砂利や土で埋めてほしい…と何度その大きなくぼみを見ながら思ったことか…。今となれば、水溜まりができやすいその穴は塞ぐべきではなく、そのままにしておくのが良いと思えるありがたい存在になった。何しろ、実家と違って、借りているマンションには外に洗い場などなく、そんな靴ではエントランスに足を踏み入れることさえできないと困り果てていたから…。まさに砂漠のオアシスだった。
 
なんとかほぼ洗い落とし、生え放題の枯草の上で念入りに拭った後、さらに車の中に置いてあったティッシュで拭いた。そしてウェットティッシュやファブリーズを取りに、そこそこきれいになった靴で部屋に戻った。マスクを外してみると、どうやら靴に臭いは残っておらず、ほっとした。念のため、玄関でウェットティッシュとファブリーズで靴をさらに磨いた後、また駐車場に向かった。
 
車内の足元に敷いていたシートが少しだけ汚れてしまっていたため、そこも厳重にウェットティッシュで拭き取り、空になるほどファブリーズをふっかけた。もしも実家ならシートをすぐに洗えるのに、ここで洗っても乾かす場所もないし仕方ないと、その場でできる限りの対処をした。
 
こうして靴と車のシートはきれいに戻ったから良しとして、最大の難問は、私の車と隣の車のわずかな隙間に置き去りにされた汚物。一体、これをどうしたらいいものか…。
 
《…知らない方が良かったなんて言わないで居て 近すぎて 見えなくて》
 
気づかなければ、見過ごしていれば、踏みさえしなければ、スルーもできたかもしれない。けれど私は出かける間際、出会って関わってしまい、すでに30分以上時間をロスした挙句、出かけられないまま、そのブツと悪戦苦闘し続けている。まだ接触した側の対処を済ませただけで、元凶となっているブツは形状がつぶれたまま、存在感を放っていた。枯草の色と同化しつつも、本来そこにあってはならないものということだけは明確だった。
 
《ふれるべきか否かで少し悩んでる 口にしない方がいい真実もあるから》
 
と口ずさみたい気分でも、その汚物が獣のものではない以上、駐車場を管理している会社にどうすべきか尋ねてみようと思いきって電話をかけ、状況を説明した。
 
すると「すぐにはうかがえませんが、近いうちに確認に行くので、現状のままにしておいてください。」と伝えられた。
 
天候はあいにくの雪…。一晩のうちに積もることだってありえるだろう。そしたらこれは雪に埋もれて見えなくなる。雪がなくても枯草と似た色だから、ぱっと見探すのは難しい…。場所が特定できなくなり、再度誰かが踏んでしまうという二次災害を防ぐためにも、私は「ここにあります」と場所を確実に教えるために、看板を作ることに決めた。
 
雪が積もっても見えるように、ガーデニングで花の名前を記す時に使うような土に埋め込むことのできる小さなプレートがほしいと思った。スコップもほしいし…仕方なく最寄りの100円ショップに出かけた。理想通りの書けるプレートは見つからず、土に挿しやすそうなスチール製のガーデンフェンスとスコップを調達した。すぐさま駐車場に戻り、購入した縦長のフェンスに、針金でダンボールをくっつけて、日付と「ここに(物)があります」的な文言を油性ペンで書き、お手製のミニ看板に伝言を残し、ようやく本来の用事を済ませるため、外出した。

※100円ショップで買ったものたち

ここまで済ませるだけで、時間はすでに1時間以上経過していた。
 
《たまには大胆に攻めたら良い 時には慎重に歩めば良い》
 
意気揚々と歩いていたから、こんなことになったんだ…。もう少し慎重に足元をよく見ていれば良かったんだ…。腹立たしさよりも虚しさが尾を引いていた。
 
《あれほど刻んだ後悔も くり返す毎日の中で かき消されていくのね 真っさらになった決意を胸に あんたは堂々と また肥溜めへとダイブ》
 
後悔しつつ、また踏んでしまわないように細心の注意を払いながら、気持ちを切り替えて、やっと車を出発させた。
 
すみっコぐらしのステーショナリーがほしくて最初に寄った文房具店で、黄色い蛍光色の太いマーカーを発見した。ダンボールで看板を作ったのはいいけど、茶色くて目立たないし、暗くなったら、あの看板に車を接触させてしまうかもしれない…。看板にこのマーカーで色を塗るのはどうだろうとまたさっきの出来事が頭を過り始めていた。でもそのペンは残念ながら水性で、雨や雪に濡れたら流れてしまいそうだった。時々コンクリートに塗られていて、夜になると光る蛍光色のスプレーがないだろうかと店内を探したけれど、文具店には置いてなかった。代わりにスーパーのポップなどで見かける蛍光色のパネルを発見したため、このパネルで看板を作り直せば目立って良いかもしれないと思わず購入しそうになった。しかしよくよく考えてみると、さっきから例の出来事のために時間をロスしているばかりか、お金をかけてしまっていることに気づいた。100円ショップで払った金額は220円…。たかが220円かもしれないが、自分が犯した不祥事でもないのに、見ず知らずの人の汚物にお金をかけるなんてバカバカしい。これ以上1円だってお金を使いたくないと思い止まり、そのパネルを購入することはやめた。せっかくショッピングを楽しんでいるはずなのに、こんな風に時々、そのことが頭をかすめて、その日は何も心から楽しむことはできなかった。
 
《目を閉じてみて 心の耳すまして 優しい気持ちで 答えを聴いて もう歌わせないで 裏切りのブルース》
 
計画通りに事が進まなかったその日、なんとなく無駄な一日を過ごしてしまった気がして、帰宅すると「何なんw」を聴きつつ、当たったとかげのぬいぐるみをぼんやり眺めていた。寝る時も藤井風の歌声を子守歌代わりに、そして枕元にはとかげのぬいぐるみを置き、傷心を慰めてもらうように一緒に眠った。
 
翌日からはなるべく「そのこと」を忘れる努力をし、考えないようにして過ごしていた。駐車場に向かう度に嫌でも目についたけれど、日曜日ということもあり、管理会社が見に来た形跡もなく、そのままの姿でそれは留まっていた。
 
月曜日の昼頃、車を出した時も、変わりなかったと思う。そして20日火曜日に再び駐車場に赴くと、お手製の看板に昨日の日付で「確認しました」の記述を発見した。ちゃんと見に来てくれたんだ、とりあえず良かったと安心したのも束の間、例の汚物は片付けられることなく、そのままにされていた…。
 
うーむ。確認してはもらえたけど、片付けてはもらえなかったか…。この調子じゃ誰も片付けないだろうし、さて困った。私がやるしかないか、どうやって処分しよう…と発見当日のようにまた悩み始めた。
 
とりあえず放置もありだが、天気予報によるとその週は雨や雪が多く、濡れたらさらに片付けがたいへんになってしまうかもしれない。晴れている今がチャンスだろうと思い立ち、土曜日に購入していたスコップを取りに部屋に戻った。
そして使い捨て手袋やビニール袋と一緒にスコップを手に持ち、外に出た。買った時は気にしなかったけれど、やたらピカピカ光沢感があり、ぱっと見、それは刃物に見えなくもなかった。最近は携帯電話(ガラケー)を持っていただけで、凶器と勘違いされ、警察に通報されるなんてニュースもあった。バスやタクシーが通り掛かると手に持っている物を見られている気がして、通報されないようにスコップをさっと隠すようにして、足早に駐車場へ向かった。何もやましいことはしていないし、むしろこれから良い行いをしようとしてるのに、このもやもやした気持ちは何だろう…スコップ系は銀色のピカピカきれいなものを買うべきではないと悟った。
 
意を決して、本当は目を背けたくなるそれと向き合った。駐車場は土と草だらけだし、近くに穴を掘って埋めるしかないかと、片隅に穴を掘り、それには直に触れることなく、草ごと掬う手段をとった。が、枯草とは言え、芝生のように頑丈に生えている草はスコップごときでは掬えず、周りを少しずつスコップで掘りつつ、手で草をむしりながら慎重にターゲットに近づいていった。強情な草の根に悪戦苦闘し、くそったれと思いつつ力を込めて引っ張っていた。まるで童話『おおきなかぶ』のように、全身の力を使って、根を引っ張った。収穫したいのはカブではなく、ブツだったけれど…。少しずつ少しずつターゲットに近づき、ようやくそれをうまいこと乗せたスズメの巣ほどの枯草の塊を根こそぎスコップで掬うことに成功した。日数も経過しているし、少しは硬くなっているだろうと予想し、少し揺らしてみたけれど、汚物の硬さは踏んだ当初のようにまだ軟らかいままだった。落とさないうちに、汚物を下向きにして穴にすっぽり枯草をおさめ、コケや草の生えた土で穴を完全にふさいだ。そして埋葬したそれは土の中の微生物たちに委ねることにした。どうか分解されて土に還れますようにと手を合わせて、自分の任務を完了させた。土曜日から悩まされて続けていた元凶の物から解放された瞬間だった。
 
快便後のような、すっきりした気持ちで駐車場から離れ、藤井風の曲を聴きつつ、颯爽と車を走らせていた。
 
私はすべて終わったものと安心しきっていた。もうこれ以上、何も起きることはあるまいと…。用事があり、立ち寄ったコンビニにはまだどっさりすみっコぐらしのくじが残っていた。複数のぬいぐるみも棚に残っており、まだとかげのぬいぐるみもあった。
こんなにたくさん残っているし、当たってもタオルだろうと思いつつ、1回だけくじを引いてみることにした。すると…まさかまた同じとかげのぬいぐるみを当ててしまった。信じられない…こんなことが起きるなんて…。たくさん引いて当てるなら簡単だけど、1、2回引くだけで、各店舗にひとつずつしかない同じキャラクターのぬいぐるみを当ててしまうなんて…。私は呆然としながら、大事にとかげを抱えてコンビニを後にした。

※仲良し三つ子になったとかげ

始まりは12月15日、終わりが12月20日。一連の出来事が終わるまで5日間を要していた。この間に起きたレアな出来事は、推しのとかげを三つもゲットできたことと、他人のうんこの後始末だった。運が良いのか悪いのかよく分からない5日間だったけれど、夢占いなら便やトイレの夢は金運が良いとされる。それにあやかって、15日に数枚購入していた宝くじを、21日にもさらに数枚追加購入してみた。もしもすみっコくじだけでなく、宝くじまで当選したら、あの時汚物と出会えて良かったと感謝してしまうかもしれない。『ちびまる子ちゃん』の中では、まる子の父・ひろしと母・すみれの馴れ初めの話で二人を結んだものは母が踏んでしまった犬の糞だった。うんこを踏んでしまうのは災難だが、良いことが起きる前兆だとすれば、たまには踏んでしまうのもいいかもしれない。
 
そして私は、とかげを当てるより、宝くじに当たるより、本当に目指すべきものは、物書きになることだから、この屈辱的な体験を笑い話に変えて、こうして文章化してみた。このネタが夢を叶える一助になれば、どこの誰か存じ上げませんが、私の車の側で、もよおしてくれて本当にありがとうと感謝できると思う。
 
決して気持ち良いとは言えないものを踏み、その後片付けをしたせいか、多少の事には動じなくなった。何か良くない事が起きても、そんなことはあのことと比べたら些細なものでしょ?たいしたことないよと開き直れるようになった。あの出来事により、小心者の私がメンタルを鍛えられた気もするので、宝くじに当たらなくても、物書きになるチャンスをつかめなくても、結果オーライ、雨降って地固まる、怪我の功名、塞翁が馬といったところだろうか。
 
こんなことは私だけかもしれないレア体験のうんこ騒動の間、私を癒し、励ましてくれた藤井風「何なんw」とすみっコぐらしのとかげには感謝したい。
 
《それは「何なんw」 …ワシは言うたが それならば何なん 何で聞いてくれんかったん 何なん 何なん 何なん あの時の笑顔は何なん あの時の涙は何じゃったん 何なん》

※とかげと藤井風

★追記…12月25日に寄ったコンビニにて。とかげはもういなかったけれど、お風呂の桶とスポンジセットが欲しくて、それも残っていたので、またくじに2回挑戦したら…今度はぺんぎん?のぬいぐるみが当たった。うんこのおかげか何なんか知らんけど、ほんとすみっコくじのくじ運は良いみたい…。とかげの友だちのぺんぎん?を迎えたクリスマスだった。

※とかげとぺんぎん?と小さな花

 ★さらに追記…宝くじは外れてしまったものの、年が明けて1月3日、すみっコぐらしのくじを2回だけ引いたら、今度はしろくまのぬいぐるみが当たった。やっぱりすみっコくじの運だけは2023年になっても良いみたい…
そして1月6日、しろくまを当てたお店でまた2回引いたら、ねこのぬいぐるみも当たり、最終的に4種類のぬいぐるみが勢ぞろいした。すみっコくじ運だけは最強みたい。

※とかげ、しろくま、ねこ、ぺんぎん?…並べるとさらにかわいい。

★さらなる追記…三つ目のとかげを当てた12月20日からちょうど1ヶ月後の2023年1月20日の出来事。2ロット分もある大量の同じすみっコくじを新たに近くのコンビニでひさしぶりに見かけ、まだとかげのぬいぐるみが一つ残っていたため、例によって2回だけ引いてみた。すると、またしてもとかげのぬいぐるみが当たり、最終的にとかげは四つも獲得した。もはや自分には、とかげが憑りついてくれていると信じることにした。とかげ運だけは最強。

※仲良し四つ子になったとかげ。

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※癒しのとかげたち

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