「新次のイチゴ」~新次と亮と美波の物語~(おかえりモネ二次小説)
「おかえり、新次さん。イチゴ、買ってきてくれた?」
美波は明日が誕生日の亮のためにバースデーケーキを作ろうとしており、帰ってくる時、イチゴを買ってきてほしいと新次に頼んでいた。
「あーわりぃ、わりぃ。すっかり忘れてた。ほら、今日はさ、柚枝(ゆずえだ)さんからこんなにたくさんホタテもらってさ。大船渡の奴からは「かもめの玉子」ももらったぞ。それから亮に明日プレゼントする、カモメのモビールを買って来たから、手塞がっててさ。」
大量の荷物を抱えて上機嫌な新次は美波から頼まれたイチゴを忘れてしまったことなんて、大したことないという様子で、ケロっとしていた。
「まったくもう新次さんってば、自分から亮への贈り物は忘れないで、私のイチゴは忘れるなんて、がっかり。ホタテやかもめの玉子はありがたいけど、まさかケーキに乗せるわけにはいかないし。私、ちょっと今からイチゴ買ってくるから、亮のことお願い。」
「えっ?今から買いに行くのか?明日でいいんでねぇが?俺、腹ぺこぺこなんだけどな…。」
「その頂いた、かもめの玉子でも食べてて。甘いもの、あなたも好きでしょ?すぐ帰って来るから。」
そう言って、美波はすっかり日が暮れた街に慌てて出かけて行った。
「父ちゃん、おかえりー。」
来年、小学生になる亮は最近ようやく母親離れできるようになった。少し前まで、どこに行くにも母ちゃんも一緒じゃなきゃやだと駄々をこねて、幼稚園に行くのでさえ、手こずらせていた。
「おぉ亮、ただいま。ほら、おまえの好きなかもめの玉子をもらって来たぞ。一緒に食うか?」
「うぁーかもめの玉子だ。おれ、このお菓子大好きなんだ。」
亮のために買ったプレゼントを亮に気付かれないように、新次はカモメのモビールが入った袋をそっと隠した。そして美波が帰ってくるまで、亮と一緒にかもめの玉子を食べながら、一人でビールを片手に晩酌し始めていた。
翌日は、美波が亮のために、まるでイチゴタルトのようにイチゴ山盛りの生クリームケーキを作った。白いクリームが見えなくなるほど上にイチゴを敷き詰め、それからスポンジの間のクリームの中にもイチゴをスライスして挟んでいた。
「亮、六歳の誕生日おめでとう!」
「うぁーおれの大好きなイチゴのケーキだ。こんなにたくさん乗ってる…。おれの誕生日だから、全部食べていい?メロンソーダもうれしいな。」
亮はイチゴとそれから美波が作るケーキ、メロンソーダが大好物だった。
「全部ひとりで食べる気なの?亮ってば欲張りね。父ちゃんと母ちゃんにも少しは食べさせて。母ちゃんだってイチゴ、大好きなんだから。」
全部食べたいと欲張っても、まだ六歳の亮がホールケーキを一人でまるごと食べ切れるわけもなく、美波はケーキをきれいに三人分にカットした。
「ほら、じゃあ父ちゃんの分のイチゴは亮にやるよ。父ちゃんは、母ちゃんが作ってくれたケーキを食えれば十分だから。」
新次は亮にケーキの上に乗っているイチゴを全部取って差し出した。
「いいの?父ちゃん、ありがとう。」
亮はメロンソーダを飲みつつ、新次のイチゴもおいしそうに平らげた。
「もう、亮ってば、後でおなか壊しちゃうわよ。オムライスもあるのに。」
美波はホタテ入りのオムライスも用意していた。
「えっ?オムライスもあるの?おれ、ケーキもオムライスも全部食べられるから大丈夫だよ。今日はおれの好きなものばかりでうれしいな。」
亮はケーキを半分残して、さっそくオムライスにも手をつけ始めていた。
「亮、これは父ちゃんからのプレゼントだ。」
新次からもらったプレゼントを開けた亮は目を輝かせた。
「うぁーカモメだ!ゆらゆら揺れるカモメのおもちゃだ!父ちゃん、ありがとう。」
気に入った様子の亮はまるでおもちゃの飛行機でも持って遊ぶように、カモメのモビールを片手に、はしゃぎまわった。
「良かったわね、亮。父ちゃんにカモメのモビール買ってもらって。前にどこかのお店で見かけた時、亮、ほしがっていたものね。それじゃあ、母ちゃんは一曲歌っちゃおうかな。」
美波は「かもめはかもめ」という歌を歌い始めた。
「おいおい、美波、亮の誕生日に歌う歌ではねぇんでねぇが?おまえ、亮を寝かしつける時にも子守歌代わりにいっつも、歌ってるよな?子どもに歌って聴かせる歌ではねぇ気がするんだが…。」
新次はそう言って、少し戸惑っていたが、亮はそんな新次の気持ちとは裏腹に、美波の歌を素直に喜んだ。
「おれ、母ちゃんが歌ってくれるかもめの歌、大好きだよ。この歌が好きだから、カモメも好きになったんだ。」
そんなことを言いながら、亮も一緒に歌い始めた。
「そうなのか?まったく、しょうがねぇな。それじゃあ、俺も一緒に歌うか。」
新次も交じって、親子三人仲良く「かもめはかもめ」を歌い始めた。ひとりぼっちで孤独な人の切ない歌のはずなのに、みんなで歌うとなぜか楽しい歌に思えるから不思議だ。そしてそれはとても幸せな時間だった。この幸せはずっと続くものと信じて、新次は疑うことさえしていなかった。
そんな亮の六歳の誕生日の夢を見て目覚めた。寝ぼけ眼の新次の周りには昨夜、いや正確には朝方まで呑んでいたビールの空き缶が散乱していた。また、こんなに呑んでしまった…。幸せな夢から見たくない現実に引き戻された新次は罪悪感を覚え、起きるどころか、また布団をかぶると、ふて寝してしまった。
次に目覚めた時、時刻はすでに夕方になっていた。散らかった薄暗い部屋に明かりをつけると、テーブルに一枚のメモと食事が用意されていた。
「おやじへ 起きたらちゃんと歯磨いて、顔洗って、着替えろよ。洗濯しておいたし、昼飯も用意しておいたから。いつもオムライスで悪いけど。 亮」
亮からの伝言を読んだ新次は情けなさと不甲斐なさを感じると同時に、感謝するどころか、出来過ぎた息子にさえ、嫉妬心を抱いた。
「亮…いつもありがとう。でもな、おまえにおやじもっとちゃんとしろ、ちゃんと生きろよってプレッシャーかけられて、たしなめられているみたいで、イライラするんだよ。ごめんな、亮…。」
そう言うと、新次は亮が用意したオムライスに一口も手をつけないまま、新聞紙に包んでゴミ袋に捨てた。せっかく息子が作ってくれた真心のこもった料理を捨ててしまったという罪悪感を感じるとまた缶ビールに手が伸びていた。
「何、やってるんだろうな…俺…。」
新次はまた酔いつぶれて眠ってしまった。
「新次…その…美波さんを亡くして、落ち込む気持ちはよく分かるよ。だけどな、おまえは漁師としての腕前は抜群だし、亮だってまだ子どもなんだから、ちゃんと養わなきゃいけないだろ?そろそろ海に戻ってくれねぇが?おまえがいないとみんな困るんだよ…。自分の船がなくたって、その…俺たちの船に乗れば、漁なんていくらでもできるだろ?」
仮設住宅で荒んだ生活を送る新次の元には時折、漁師仲間が訪れていた。
「亡くした?美波はなぁ、死んでなんかいねぇよ。行方不明になってるだけで、死んでなんかいない。おまえが勝手に殺すな。」
常に酔っている新次はささいな一言にさえも、牙を向け、ぎろっと睨みつけた。
「す、すまん。言い方が悪かった。そうだった、美波さんは行方不明だったな。美波さんが戻ってきた時のためにも、亮のこと、もうちょっと大事に考えてやれよ。あいつ、まだ高校生になったばっかりなのに、もう卒業した後のこと考えてて、漁師になりたいからって最近、俺らの手伝いもしてくれてるんだよ。まだ高校生で遊びたい時分だろうに…一生懸命でさ。」
「亮は…俺の息子にしちゃあ、出来過ぎた子だからな。まぁ、俺じゃなくて美波の血筋を引いてるんだろうけど。おまえらの手伝いまでしてるのか、あいつは。まったく、俺の世話を焼いたり、すでに自分の将来決めていたり、立派なもんだよ。俺と違ってな。」
新次は亮を褒めているようで、しかし見下すようにまた酒に手を伸ばした。
「新次…ちょっとは酒控えろよ。ほんと身体、壊しちまうぞ。こんなこと…言いたくはないが、たしかに美波さんは行方不明だが、おまえには亮が残っているじゃないか。息子が生きてるんだぞ。すぐ傍にいてくれてるんだぞ。ほら、三丁目の柚枝さんなんて、奥さんも、お子さんも、ご両親も、家族全員を津波で亡くした。けれど、おまえみたいにふさぎ込み続けることなんてしないで、今では立ち直って、一人きりでもがんばってしっかり生きてるぞ。」
漁師仲間の話を黙って聞いていた新次が口を開いた。
「…三丁目の柚枝さんの方が不幸で、俺の方が恵まれているんだから、もっとがんばれってか?ふざけるな。何も、家族も船も失っていない、おまえに何が分かる?家族全員亡くした人はたしかに気の毒だ。だが、たった一人でも家族や大切なものを失ってしまったら、立ち直れなくなる奴だっているんだよ。人の幸せ不幸せはそう簡単に他人が決めつけられるものじゃねぇだろ。おまえだけじゃない。耕治だってそうだ…。」
新次はそう言うと、持っていた缶ビールを壁に叩きつけた。
「わ、悪かったよ。そうだな、おまえの言う通り、何も失っていない俺が偉そうに言えることじゃなかった。けど、今、耕治は関係ないだろ?俺に八つ当たりするのは構わないが、耕治にまで当たるなよ…。」
「耕治…あいつが世界で一番うざいんだよ。友達面、善人面しやがって。銀行員がそんなに偉いのか?世の中、金がすべてなのか?俺はなぁ、一度、漁に出れば一千万くらいちょろいもんなんだよ。なのに、たった百万程度の借り入れがあるからなんとか言って、新しい船を買うローンさえ、組ませてはもらえなかった…。」
さっきまで怒っていた新次はそう言うと、小さく猫背になってうなだれた。
「だからさ、さっきから言ってるが、船なら、俺らの船を使えばいいだろ?何しろおまえには腕がある。どんな船だって、どの船に乗ったって、すぐに大物狙えるよ。そうやって稼いだ金を使って、また自分の船、買えばいいだろ?」
「おまえも漁師なら分かるだろ?意地とプライドだけで生きてきたんだ。こんな同情されてまで、俺は元の自分に戻る気はない。今さら戻れるかよ…。美波が…家で待っててくれる美波がいねぇんだから…。俺の腕前なんて所詮、美波の力、支えがあってこそ発揮できた、借り物の腕前だったんだよ。自分の実力なんかじゃねぇ…。」
そう呟いた新次は泣きながら、また酒を無理矢理、胃に流し込んだ。そして漁師仲間のいる前で酔いつぶれた新次は発狂し、暴れ始めた。新次を止めようと漁師仲間は必死に新次を押さえようとしたが、逆に手をあげられてしまった。騒ぎを聞いた近所に住む人が通報し、警察官が駆け付けた。警察が新次を止めようとしている所に、亮が帰ってきた。
「何、やってんだよ、おやじ…。すみません、いつもおやじが迷惑かけてます。」
亮は警察官に押さえられている新次を見つめながら、騒ぎを見ていた人たちに向かって頭を下げて謝った。
酔いの醒めた新次は自分の家があった場所をふらり訪れていた。家の土台しか残っておらず、物寂しい雰囲気が漂っていた。たしかに俺はここで自分にとっては恵まれすぎるほど幸せな時間を過ごしていた…。いつも笑顔で明るい美波がいて、いつも元気な亮がいて、働き者だった俺がいた場所…。少し離れた場所でカモメたちが鳴いていた。しばらくそこに座り込んだ後、ゆっくり立ち上がった新次はもと来た道を引き返している最中、くたびれきった靴が水たまりにはまってしまい、足が泥だらけになってしまった。「どこへでも行かせてくれる靴は大切だからね」と美波は靴がくたびれてしまう前に定期的に新次のために新しい靴を用意していた。普段履く靴は結婚して以来、自分で買ったことなんてなかった。
「何、やってんだろうな…俺…。」
新次は泥だらけになり疲れ切った靴で一人とぼとぼ家路についた。途中で酒を買うことだけは忘れなかった。
しばらくして、そんな新次を見かねて耕治の妻、亜哉子が新次の元を訪ねた。
「新次さん、ご無沙汰してます。体調はいかがですか?」
亜哉子はなぜか卵やご飯、ケチャップなどを持参していた。
「見ての通り、この部屋みたいに気分も散らかったままです。掃除もしてませんし、空気も悪いので、すみませんがお帰りください…。」
新次は亜哉子を追い返そうとしたけれど、亜哉子は新次にお構いなしで家の中へ足を踏み入れた。
「すみません、長居はしませんので、これ作ったら、すぐに帰ります。ちょっとだけ、台所お借りしますね。」
亜哉子は狭い台所に立つと何やら調理し始めた。
「亮くんがオムライス好きだったの思い出して、そういえば美波さん、オムライス作るの上手だったなって。私、美波さんから美波さん流オムライスの作り方、教えてもらったことあったんですよ。」
フライパンに少し冷えたご飯に細かくカットした野菜、それからホタテも入れて、ケチャップをかけ、混ぜ、炒め始めた。
「へぇ…あいつ、亜哉子さんに料理なんて教えたことあったんですか。亜哉子さんの所じゃ雅代さんが料理上手だったから、亜哉子さんは雅代さんのレシピを受け継いでいるものと思ってましたよ。」
「たしかにおばあちゃんは民宿営んでいただけあって、何でも作れる人だったけど、オムライスだけはね、美波さんの方が得意だったのよ。ホタテとかイカとか、海産物が入ってる美波さんオリジナルのオムライス、ほんとにおいしくてね…。」
亜哉子は半熟状態の卵焼きに炒めたご飯を乗せて、包んだ。
「はい、出来上がり。美波さんほど上手には作れないけど、良かったら、食べてみて…。」
「すみません。ありがとうございます。でも何で…オムライスなんですか?みんなして、亮も亜哉子さんもオムライスを俺に勧めてくる…。」
新次は亜哉子が作ったオムライスをスプーンですくうと一口だけ口に入れた。
「亮くん?もしかして亮くんも新次さんにオムライス作ってるの?ごめんなさい、私、知らなくて…。」
「いえ、いいんです。俺、亮が作ってくれたオムライスにはほとんど手つけたことなくて…。その…あいつはまだ子どもなのに、一生懸命、俺のために美波の代わりになろうとしてくれて、そんな健気な息子を俺はありがたく思うどころか、腹立たしく思うことさえあって…。あいつ、俺なんかよりずっと大人だから。父親がこんなでも、母親が行方不明でも、あいつは変わらず明るく元気にたくましく生きてる。そんなあいつが眩しすぎて、直視できないというか、ちゃんと向き合えないというか…。」
新次はつらい心の内を、オムライスを食べながら、亜哉子に打ち明けた。
「そうだったの…。亮くんが新次さんにオムライスを…。でもね、新次さん、たしかに亮くんは美波さんの代わりをしようとがんばっているかもしれない、美波さんみたいに明るく元気に生きているように見えるかもしれない。でもきっと、亮くんだって新次さんみたいに誰にも言えない何かを抱えて生きていると思うの。私は…教師をしていたから今でも子どものことを時々考えてしまうんだけど、無理して明るくふるまっている子ほど心配よ。逆にね、つらいとか苦しいっていう気持ちを表に出してくれる子の方が何か助けを求めていることに気付きやすくて、安心するの。ごめんなさいね、安心するっていうのは語弊があるかもしれないけど…。」
亜哉子の話を聞いていた新次はオムライスを食べるのをやめて真剣にこう言った。
「たしかに、亮だって母親がいなくてきっと寂しいに決まってます。あいつは特に子どもの頃、美波から離れない奴だったから…。それは父親として分かりますが、でも俺は今、あいつの気持ちを考えてやるより、自分のこの…自分のどうしようもない気持ちを処理するので精一杯なんです。自分のことも何もできない奴が、たとえ息子であっても、人のことを思いやる余裕なんてないですよ。亜哉子さんみたいな立派な大人が、あいつの心に寄り添ってやってください。俺なんかに構わなくていいから、あいつのことよろしくお願いします。あいつは漁師仲間からもかわいがってもらってますし、俺なんかいなくても、きっと大丈夫です。」
「あのね、新次さん。たしかに自分が苦しい時は相手のことなんて思いやることはできないわ。私だってそう。でもね、漁師の方々や、私が亮くんに寄り添って、支えることができたとしても、亮くんは報われないと思うの。亮くんがどうして漁師になろうとしてるか分かるわよね?すべて新次さんのためよ。新次さんにまた海に戻ってほしいから、子どもながらに必死にがんばっているの。亮くん、新次さんが船で遠洋漁業に出る時、誰よりも誇らしげに新次さんのこと見送っていたもの…。新次さんが亮くんにとっての道標なのよ。だから…。」
「だから…だからまた海に戻れなんて簡単に言わないで下さい。」
「いいえ、海に戻れなんて言わないわ。そうじゃなくて、亮くんがいなくても一人で生活できることを見せてあげましょうって言いたいの。いずれ亮くんが本当に漁師になったとして、海に出ることが増えるでしょ?その時は新次さん、一人で暮らさなきゃいけないんだもの。だからね、その…アルコール依存症を治療できる病院に通ってみませんか?私も付き添いますので…。」
亜哉子に依存症の治療を勧められた新次は仕方なく、気仙沼の心療内科に通うことになった。
「及川さん、ご自身の気持ちを私に話してくれてありがとう。私はあなたがうらやましい。あなたは本当の愛を知っていて、幸せを感じられる方なんですね。」
新次の話を聞いた心療内科の医師・雨宮(あまみや)はそんな意外な一言を発した。
「うらやましい?幸せだ?アル中だからって俺をバカにしてるのか?とんだヤブ医者だな。亜哉子さんに勧められて仕方なく来てみたけど、まったく…。」
新次はもう二度と来るかと思い、すぐにでも診察室から出ようとした。
「いえ、私はあなたを馬鹿になんかしていません。真剣に、本当にそう思っているんです。あなたは行方不明の奥さんを愛しているからこそ、苦しんでいる。アルコールの力を借りないと生きられないほど、いないとつらいと思える相手がいることは幸せなことだと思うんです。」
新次は少し変わったことを言う、この医者の話をもう少し聞いてみようかと思い始めた。
「へぇ…じゃあそんなことを言うあんたには愛する人がいないから、幸せじゃないとでも言いたいのか?」
「私は…心療内科医として、人の心に寄り添うのが仕事ですが、一人間として考えてみると、プライベートではたしかに愛する人はいないかもしれません。今日初めてしゃべった患者さんのあなたに話すことではないかもしれませんが…私の場合、両親が本当に不仲でね。愛し合えないなら、さっさと離婚すればいいのにとよく思いましたよ。父親も医者で、世間体を気にして、別れることはありませんでしたが、間近で不仲を見せつけられて育った私のような子どもは、大人になっても愛が何なのかよく理解できないものです。及川さんの場合、奥さんのことを本当に愛しているからこそ、今、苦しんでいる。さっき話してくれて息子さんもきっと両親が仲良しだったことを分かっているからこそ、あなたのために奥さんの代わりになろうとしたり、あなたに立ち直ってもらいたくて、あなたの代わりに漁師になろうとしているんですね。本当の愛を知っている息子さんだからこそ、あなたに愛を返そうとしているんですよ。心療内科医として、あなただけじゃなくて、その息子さんのことも少し心配ではありますが…。」
どこまでが本当の話で、どこまでが本心なのかは分からないし、単純に患者の俺を手懐けたくて作り話をしているだけかもしれないけれど、おもしろいことを言う、この医者の言うことを信じてみようかと新次は思い始めた。
「まぁ、言われてみれば、たしかに俺は美波のことを愛していて大切だからこそ、自分にとって太陽みたいな彼女を失って苦しんでいる。もしもあんたの両親のように不仲で、美波のことなんてどうでもいいと今頃すっかり立ち直って再婚でもして、震災前と変わらず漁師の仕事に精を出して、酒に手を出すこともないまともな生活を送っていたとすれば、逆にぞっとするよ…。そんな正しいだけの人生を送るくらいなら、俺は美波を愛している証拠みたいなアルコール依存の人生を選ぶよ。たとえそれが狂っているとしてもね。」
「私が伝えたいことを分かっていただけたのはありがたいですが、その、アルコール依存の人生を選んだとしても、そのままでいいわけはないですよね?心を病むばかりではなく、本当に身体にも呑み過ぎはよろしくない…。奥さんを無理して忘れようとか、元の生活に戻ろうと焦らなくていい。忘れないことは苦しいかもしれないけど、大切な人のことを忘れないということは覚えているということは、完全に忘れて愛をなかったことにしてしまうよりは、記憶に残したまま心に留めたまま、ちょっと苦しみ続けた方がまだ幸せだと私は思うんです。お酒の力を借りて忘れようとか、忘れたいと思わなくていい。漁師の仕事に戻らなきゃとか、立派な父親に戻らなきゃと慌てなくていい。ゆっくりでいいから、その奥さんを愛すればこその痛みと共生しながら、前を向いてみませんか?消そうとか、なかったことにしようとか無理しなくていいんです。そのままのあなたで。なぜならあなたは本当の愛を知っているからこそ、今もがいている。愛のある方だから、きっと大丈夫ですよ。そして奥さんに愛された幸せなあなたなら、きっと大丈夫だ。」
新次はこの雨宮という心療内科医の魔法にかけられ、少しずつ自分に自信を取り戻し、依存症治療に積極的に取り組むようになった。しかし依存症治療はそう簡単なものではなく、時々、ちょっとしたことで、アルコールを欲してしまう瞬間があった。実際に本当に酒に手を出してしまうこともあった。順調とは言えない経過だったけれど、このおかしな心療内科医、亜哉子、そして耕治、亮に励まされながら、新次は少しずつ、自分の人生を取り戻し始めていた。
「俺が作ったイチゴ、良かったら食べてみてください。作ったと言ってもまだ手伝っているだけですが…。」
新次は最近、イチゴ農家の手伝いをするようになり、亜哉子にイチゴを差し出した。
「まぁ、新次さん、ありがとうございます。立派なイチゴだこと。」
「この前は、亮のこととか、美波のことケリつけることとか、モネちゃんや耕治にもすっかりお世話になりました。」
「そんなの、気にしなくていいのよ。耕治さんは親友なのに何もできないと、ずっと新次さんのこと気に掛けていましたし、モネもね、ほら、モネが生まれる時、新次さんが船を出してくれたおかげで、モネは無事に生まれたようなものだから、いつか恩返しがしたいってずっと思っていたみたいなんですよ。あの子と私の命があるのは、新次さんのおかげなんです。」
「いや、そんな。俺は何もしてないです。いっつも、亜哉子さんや耕治に俺の方が世話になってて…。モネちゃんは亮のことも気に掛けてくれて、あいつのことも支えてくれてますし。それからみーちゃんも。もちろん龍己さんも…。あいつも俺も幸せ者です。幸せに気付かせてくれるやさしい人たちに囲まれて生きているんだから。」
「新次さんが、少しでも元気を取り戻してくれて本当に良かった。海に戻れなくても、漁師じゃなくても、こうして新しい道を選んで、次の人生に前向きな新次さんに私も励まされるわ。イチゴと元気を分けてくれてありがとう。」
亜哉子は新鮮なイチゴの匂いを嗅いでいた。
「俺…いつか…まだずっと先のことになると思うんですけど、新しい夢、みつけたんです。イチゴ…自分で改良した新品種のイチゴ、作りたいなと考えるようになって。海で漁をするのとは違って、最初は地味な仕事だなと思って手伝っていたんですが、少しずつ成長するイチゴを見守るのも悪くないなって思えるようになって。そして丹精込めて作ったイチゴをおいしいって言って喜んでくれる人がいるのもまたうれしくて。魚と同じだったんですよね。魚も結局、おいしく食べてくれる人がいるからこそ、し甲斐のある仕事だし。消費者に届ける点では同じだったんです。広い海と違って、ビニールハウスは狭くも感じますけど…。でも働く場所や提供する物は違っても、届けたい思いは魚もイチゴも一緒なので、自分に向いてるんじゃないかと真剣に考えるようになって…。」
新次は新たにみつけた夢を真剣に熱く亜哉子に語った。
「まぁ、素敵。新次さんが作る新品種のイチゴ、早く食べてみたいわ。たしかにそうね、魚もイチゴも私たち消費者に届ける点では同じね。新次さんはいつもおいしいものを届けてくれる、たくさんの人に幸せを運んでくれる人ね。」
「まだろくに勉強もしてないし、何もできないイチゴ生産者として初心者なのに、名前だけはもう考えてあるんです。「みなみ」にしようかと思ってて…。」
少し恥ずかしそうに小声で新次はそう呟いた。
「みなみ…きっと素敵なイチゴになるわね。楽しみだわ、新次さんのイチゴ。そう言えば…美波さんも亮くんもイチゴ、好きだったものね。きっとみんな喜ぶわ。」
すっかり前向きになった新次を見て、亜哉子は目を潤ませた。
そして月日は流れ、数年後、新次は本当に「みなみ」という新品種のイチゴを完成させた。そのイチゴは亮が日本各地の漁港にお土産として持っていくこともあったせいか、各地で評判となった。
「おやじ、あのさ、この前、大船渡の漁師仲間におやじのイチゴあげたんだけど、知り合いに「かもめの玉子」作ってる工場で働いている人がいるらしく、今度、イチゴ味のかもめの玉子を作る予定なんだって。それに使うイチゴ、「みなみ」がいいんじゃないかっていう話になって、おやじと話がしたいらしいんだ。甘味と酸味がお菓子にちょうど良いとかで…。」
漁から戻ってきた亮から突然そんな夢みたいな話を持ち込まれて、新次は喜んだ。
「かもめの玉子のイチゴ味に俺のイチゴを?うれしい話だが、まだ大量生産できる品種じゃないからなぁ。みなみを気に入ってもらえたのは、本当にうれしいから、話だけでも聞いてみるか。」
「あぁ、話だけでも聞いてもらえたら、大船渡の仲間もきっと喜ぶよ。にしても、あれだけ広い海で魚ばかり追いかけてたおやじが、今やビニールハウスに閉じこもってイチゴ作りだもんな…。俺、船買った時も言ったけど、ずっとおやじに船に乗ってほしかったんだ。俺さえ自分の船、維持し続けていれば、いつかおやじが気向いた時にすぐに漁に戻れるじゃん?だから、必死にがんばっているけど…あ、もちろん、自分が漁師という仕事好きだから、おやじだけのためじゃなくて、前提として自分のためではあるけど。でも、おやじが海に戻りたいって思った時、居場所を残して置かなきゃって思ってたんだけど、でもなんかもうおやじは大丈夫そうだな。海じゃない自分の居場所、みつけたみたいだし。しかも母ちゃんと一緒に。おやじはもう船に乗らないとしても、おやじが作ったもの…母ちゃんみたいなイチゴを俺の船に乗せて、全国津々浦々回れるのは俺、本当にうれしいんだ。」
亮はそう言って、微笑んだ。
「亮…悪かったな。そしてありがとう。ずっとおまえのその父親思いの心を受け止めてやれなくて、ないがしろにして…。俺、おまえより、ずっと弱いからさ。だから子どものお前に強がらせてしまった時期もあったし…。本当にすまなかった。無理させて…。母親を亡くした子どものおまえを守るどころか、ふがいない父親の俺はおまえに支えられ続けていた。そろそろもう大丈夫だから。俺は何もしてやれないけど、せめておまえはおまえの人生を大事にしてくれ。俺のことはもう構わなくて大丈夫だ。美波が今も傍にいてくれるからさ…。」
新次はようやく亮に謝ることができた。
「俺は…別に何もしてないよ。たしかに強がって無理して笑って生きてた時期もあったけど、おやじがあんな状態の時、他の人たちが俺を支えてくれたから。そのやさしさをうざいって思ってしまっていたこともあったけれど、そんな俺のことを見放さずに、ずっと仲間たちが周りの大人たちが、見守り続けてくれたんだ。そしてみーちゃんも…。俺はもう自分の人生と自分の幸せをみつけられたから、今度はおやじが幸せになってよ。母ちゃんがいなくても、俺たちは幸せになれるんだよ。それにさ、うれしいじゃん?母ちゃんが好きだったイチゴとおやじと俺が好きだったお菓子がコラボできたら。俺、まだ覚えているよ。六歳の誕生日の前夜におやじと一緒に食べたかもめの玉子の味を…。あの時…母ちゃん、俺のバースデーケーキ作るためにイチゴ買いに行ったんでしょ?」
「亮、ありがとう。そうだな、俺もおまえみたいに幸せになるよ。震災前とは違う幸せの形かもしれないけど、自分なりに幸せと思えればいいんだ。それにしてもよく覚えているな、あの時のかもめの玉子を。あの時は…本当は美波にイチゴ買ってくるように頼まれていたんだけど、俺が忘れてしまってさ。」
「そうだったんだ。でも良かったよ。おやじがイチゴ忘れたおかげで、おやじと好きなだけかもめの玉子食べられたんだから。母ちゃんがいたら、夕飯前にそんなに食べちゃダメって叱られただろうし。お菓子食べ過ぎて、母ちゃんの夕飯少ししか食べられなくて、結局怒られたけどさ。」
亮は子どもに戻ったようにいたずらっぽく笑うと、美波が好きだった「かもめはかもめ」を歌い出した。
「美波より、亮の方がその歌、上手くなったんでねぇが?」
「子どもの頃はよく意味も分からなかった歌だったけど、歌詞もよく分かる大人になったせいかな。」
亮が歌うその歌を新次は「みなみ」という名のイチゴを食べながら聴き、酔い痴れていた。もう酒に手を出すことはなかった。
美波…俺は何度、おまえの元に早く行こうと思ったか分からない。でもその度におまえが俺を止めてくれたんだよな?つらいからって、亮を残して、一人でこっちに来ちゃダメ、まだ早いって…。
あの頃、俺は冗談抜きで、「絶対立ち直らねぇ」立ち直ってたまるかって思っていたよ。だって立ち直ってしまったら、おまえのこと完全に忘れたことになるじゃねぇか。大切なおまえを忘れちまうより、一生このつらい気持ちを背負い込んだままの方がまだマシだって考えていたんだ。だから自分以外の全員に、俺に寄り添ってくれるやさしい人たちに対して「おまえに何が分かる」ってずっと腹の底で思いながら、浴びるように酒を呑み続けていたんだ…。
息子の亮にさえ、そう思っていた。おまえを失った悲しみを共有できる唯一の家族なのに…。亮はおまえに似て人思いでやさしくておまえの代わりになろうと必死に俺を励まそうと「オムライス」なんかを作ってくれたりしてさ…。そのオムライスを俺は食べずに捨てていたんだ。最低な父親だよな。今なら、あの捨ててしまったオムライスを全部拾って食べたいと思えるよ…。それでも亮は俺のことを見捨てることなく、ずっと傍にいてくれて、ついにあいつは俺より立派な漁師になった。自分の船を持って、自分で選んだ人生をちゃんと生きている。今じゃあ、あいつが俺の作ったイチゴ「みなみ」を船で運んで、全国各地に届けてくれているんだ。
俺、元に戻る人生を選ばなくて良かったよ。やっぱり漁師はおまえがいてこそ、できた仕事なんだ。帰りを待っててくれる人がいるからこそ、怖くても自信をもって大海原に出航できた。亮もきっと分かってくれていると思う。あいつの帰りを待ってくれるみーちゃんがいるからな。
だけどやっぱりあの日…震災の日…自分の船を沖に出すことで頭がいっぱいで、おまえと亮を守ってやれなかったことだけは今でも後悔してるんだ。おまえが電話くれた時、船なんて放っておまえの元に駆け付ければ良かったんだって今でも時々、頭を過るよ。でももしも時間を戻せて、おまえの元に駆け付けたとして、おまえを助けられた保証はないし、二人とも津波に飲まれた可能性だってある…。そしたら亮はひとりぼっちになっていたかもしれない。こんなろくでもない親父だけど、亮の父親として、こうして亮と共に生きていられることは美波が俺たちにくれた最後の愛だったんだろうって信じているよ。だからアルコール依存症になっても、死にたいと思っても、生き延びることができたんだと思う。おまえが俺に生きてと発破をかけてくれたから…。
俺はおまえや亮、耕治、亜哉子さん、モネちゃん、漁師仲間、それから心療内科の雨宮先生など、たくさんの人たちに支えられ、励まされて、見守られているうちに、いつの間にか立ち直ってしまっていたよ。あれだけ立ち直らねぇと意気込んでいたのに、笑っちまうよな。けど立ち直ったとは言え、おまえを忘れてしまうという恐れていたことは起きなかった。時々、心に痛みが走るし、おまえがいない寂しさもちゃんと感じるよ。おまえを忘れないまま、痛みを抱えたまま、立ち直ることができたんだ。周りのみんなの思いやりとやさしさのおかげで…。痛みさえ忘れなくていい、痛いほど忘れられない人がいることは幸せなことだって教えてくれたのは雨宮先生だし、俺はもう大丈夫そうだよ。
イチゴ作りを手伝ってほしいって頼まれただけで、少しも興味のなかったイチゴ生産がまさかこんなに自分の人生を立ち直らせてくれるきっかけになるとは思わなかった。イチゴと海なんて何も関係ないように思えるけど、亮が海を渡って、俺のイチゴを届けてくれているおかげで、なんと「かもめの玉子」のイチゴ味に「みなみ」を使いたいって言ってもらえるようになったんだ。すごいよな、俺の作ったイチゴがお菓子の役に立てるかもしれないなんてさ。何も関係ないようなものも、どこかでつながって、何かの役に立つ場合もあるんだって気づいたら、なんだか感動しちまったよ。俺なんて、おまえや亮と違って、いっつも自分のことばかり優先して、自分の感情に精一杯で、利己的な人間なのに、その自分のためにしていたこと、始めたことが、巡り巡って、他の誰かを喜ばせたり、役に立てるなんて、こんなうれしいことはないよ。
だからさ、俺はこれからも自分の気持ちを大切にすることにしたんだ。たとえ失敗したとしても、自分が良いと信じたことはやってみて、前を向いて、自分だけの人生を歩み続けようと思えるようになったんだ。俺なんて、船に乗る以外、何の取り柄もなくて、イチゴ作り手伝うまで人生終わったって思ってたけど、海以外にもちゃんと自分の人生、自分の居場所はあったよ。亮が自分の人生を歩んで幸せをみつける背中を俺に見せてくれたからかな。亮が自分の船を持って初めて出航する時、おまえ好みの派手な長はんてん、「大漁カンバン」を身にまとった亮を見たら、あいつのかっこいい生き様を見せつけられた気がしたよ。「おやじ、これが俺の人生だ」って自分だけの幸せを見つけて羽ばたこうとする息子の晴れ姿を見たら、なんだかうれしくて泣けてさ…。俺も負けちゃいられねぇって思って、イチゴ作り、がんばり始めたんだ。そして美波、おまえがおいしいと言ってくれそうなイチゴを目指して「みなみ」という新品種のイチゴを完成させることができたんだ。
おまえは生きている時も、亡くなってからも、俺や亮のことを支え続けてくれているよな。俺は今日も「みなみ」のおかげで、幸せを感じながら、生きているよ…。
忘れた方が楽なこともたしかにあるかもしれないけど、つらくても美波を忘れない自分の方が俺は好きだと胸を張って言える。漁師をやめてアルコール依存症になって、周囲の人たちに支えられながらイチゴ作りを始めた自分の人生で良かったって今は心から、そう思える。いつも見守ってくれてありがとう、美波。
久しぶりに家があった場所を訪れていた新次がそんなことを思いながら、高く遠く広すぎる空を見上げると、一羽のカモメが羽をはばたかせて、鳴き始めた。波の音に寄り添うように美しく…。
一年後、新次のイチゴ「みなみ」を使ったかもめの玉子イチゴ味が完成すると、永浦家へそれを持って行った。亜哉子はおばあちゃんが眠る仏壇にも「おばあちゃん、新次さんが作ったイチゴ、みなみが入っているお菓子よ。」と言って供えた。
新次もまた、自分の家にある美波の仏壇に、かもめの玉子イチゴ味を供えた。
新次さん、本当に良かったわね。海じゃなくたっていいじゃない。あなたはどこでも輝ける。生きてさえいれば、何でもできるし、疲れてしまったら休んだって構わない。イチゴ味のカモメの玉子、おいしかったってさっき雅代さんも褒めてくれたのよ。あなたがその手で作ったイチゴは人を幸せにできるの。自信を持って、みなみを作り続けてね。あなたはあなたの人生を、あなただけの人生を、これからもあなたらしく、どうか生き抜いて…。危なっかしいあなたのこと、ずっと傍で見守っているからね。
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