病と闘争と~ヒープリ、ダルのど考察~
ヒーリングっど♥プリキュアの28話が終わった。月日が経つのは早いもので、ついこの間始まったと思っていたヒープリももう半分を過ぎた。そろそろようやく……本当にようやく映画も公開されるわけで、私の心は非常に生きてるって感じ!な事になっている。
そんな中で、ふと思ったことがあるので書いておこうと思う。
さて、昨今騒がれているのどかちゃんとダルイゼン……いわゆるダルのどなのだが、27話、28話で大きな進展を見せた。
ダルイゼンがのどかちゃんにメガパーツを埋め込み、そしてその後、ダルイゼンはのどかちゃんに取り付いたビョーゲンズから育った存在だという事が明かされた。
とりあえず現在色々騒がれている親子ネタやら何やらにはこの記事では触れない。主題ではないし、私個人は自分の体の中で育った病原菌を自分の子どもだとは思えないからだ。
では何故ダルのどについてこうして何か書こうとしているのかと言うと、これこそがヒープリのテーマ……「医療」に密接に絡んでいるのでは?と考えたからだ。
私はプリキュアノマカプが大好きだが、おそらくダルのどは愛や恋でくくれるような関係性にはならない……と思っていた。
理由は2つある。1つはヒープリのテーマに「医療」があること。もう1つはビョーゲンズが徹底的な病気の擬人化だという事だ。
ビョーゲンズ、特にダルイゼンの行動は病気の擬人化として徹底している。
人間を蝕み、後遺症を残し、媒介生物……ヌートリアや鳥……を通して感染を広げ、そしてまた再び人間を蝕む。
これらは現実世界でもよく見られる例だ。何だかんだで個性的な側面を見せるものの、ビョーゲンズは基本的な行動や思考が「病気」なのだ。
ここら辺は異星人でありながらも、共感し、分かり合えたスタプリとは真逆だと思う。
そして彼らの「病気」としての本質は、ヒープリの掲げる「医療」というテーマと致命的に相性が悪い。
これでもし……これでもしだ。ビョーゲンズがただ単にウィルスをばらまく悪の秘密結社……つまるところ人間の所業なら、まだ和解する可能性はあると思う。
けれど実際は違う。彼らは本質的にはやはり病気であり、それである以上、「戦わない」という選択肢は存在しないのだ。
そう、私たちは常に何かしらの病気と戦っている。風邪、インフルエンザ、そして何よりコロナウィルス……その戦いは今までもこれからもずっと続く。その戦ってきた歴史や研究や技術の積み重ねこそが「医療」だ。
これでもし、仮にのどかちゃんとダルイゼンが何らかの形で結ばれる……それが恋という形なら……「医療」のテーマが大きくぶれてしまう。
だからこそ……人間2人の関係性が大好きなろくでなし大友としては心苦しい部分もあるが……ダルのどは恋や愛と言った形には辿りつかないと思う。
このろくでなし大友は一見愛にしか見えるけれど、実は歪んだ執着や執念という関係性も大好きなのでどんと来い!とも思ってはいるが。
もちろん、この作品はプリキュアだ。プリキュアである以上、徹底的に拒絶して終わる……という事は無いと思う。何らかの和解や共存の道が見えてくることを願ってはいる。
しかしながら、やはりそれは「人間」と「病気」、この2つの間にある永遠の闘争と深い断絶を蔑ろにはできない。
共存はできる。けれど戦わないわけにはいかない。それが永遠に続くとしても。
そう考えると、ヒープリは実際とてもハードでストイックな物語なのかもしれない。
最後に、私の事を少し話してこの記事を終わろうと思う。
私は10年ほど前に父を亡くしている。癌だった。
詳細なところは省くが、だからこそ28話での花寺家のご両親の姿は胸に刺さった。ラビリンの涙も辛かった。ちゆさんやひなたちゃんの姿も辛かった。
私がビョーゲンズとの和解路線を欠片も思いつかないのは、そしてダルのどが恋に落ちる姿を想像できないのは、私が以前花寺一家の側にいたからだと思う。
そう、当たり前の話だが、「病気になる」という事は自分1人では完結しない。周囲の人は悲しむ。それをちゃんと描いたヒープリに私は感謝したい。
そして1人では病気を治せない。医者、親族、友人……様々な人の力を借りて、私たちは病気を治している。
29話の予告ではのどかちゃんが1人で気負ってしまう姿が見られた。それは危険だ。と言うか無理だ。今から29話がどうなるのかが心配すぎて、私の胃のエレメントさんは非常に弱っている。
故に、だからこそ、次なる力のきっかけか……もしくはキングビョーゲンを打ち倒す力の源は……「1人ではない」事かもしれない。
そんなことを勝手に呟きながら、この記事の結びとしたい。
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