詩『淡い芙蓉に紅を塗る』2024.8.28


「芙蓉, 声を貸して」, 不要な花弁なんてあるのかしら? 咲き誇りなさいな. 汚濁に不溶な足先を, 浸して腐って土になれ, 「泣くなら雨になりたいんだ」, 芙蓉の愛と呼びながら, 美しくあってしまいなさいな? 浮葉の根まで食い物に, 「嫌いを解いて泡になれ」, 水中の呼吸が欲しいのなら, タップダンスを踊る浮揚の朝へご招待, 捨てた拍動が呼んでいるの, 「偽善の笑みは要らないだろうか」? 胃が受け付けない生の味, 微睡みに溶けた精製糖. 何も変わらない狂気の美へと. 何も知らずにいてしまいなさいな? 何一つ嘘のない心の底へ. こんな墓で咲き誇る, 「貴方の芙蓉になりたい」と. いつまでも無垢な少女は笑い? 賢過ぎる芙蓉はくすりと薬を飲み干している. 死んでしまうまで諦めてしまいなさいな? 恋のように嫌いな嘘つき. 眠れない夜の生意気な女が, いつしか美しく見えてきたのです. 紅い唇は柔らかく, 孤独を鮮やかに騙すでしょう. 手折られても死なない愛情は, 芙蓉と呼ばれる骨として. 「美しくあってしまいなさいな?」.

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