依頼者の性格・態度・心理状態を理由とする場合 | 受任に慎重になる(弁護士向け)|スラ弁(弁護士大西洋一)

依頼者の性格・態度・心理状態を理由とする場合べき場合
・過度にこちらを振り回してくる
→方針をコロコロ変えるタイプや、自分でどんどんアイデアを出してきて、あまり任せてくれないタイプ。あとで揉めやすい。

・勝手に動いて、状況悪化させる
→離婚事件などで多い。自分で動いて状況悪化させてくる。

・依頼者が方針に納得していない
→態度が不満そうなら「どこか、本件で引っかかっているところはありますか?」と聞いて、不満点を明確にしておく。
→納得していないなら「他の弁護士談してみてください。納得は大事。納得していないまま依頼しても最終的に後悔しますよ」と伝えればよい。

・方針に関して同じ話(質問・提案・確認等)を繰り返す
→毎回、それはできないという話をすることになり、単純に消耗させられる。あまりに繰り返されるようなら、一度釘を刺した方が良い。
→同じ疑問や質問を繰り返してくるタイプは、結局、こちらの提示している方針に納得していない場合が多い。こちらから無理に説得する必要はなく、納得のいく弁護士に依頼してもらった方が良い。

・過度に他罰的
→労働事件で見かける印象がある。早めに引いた方が良い。
→他罰的な例:何度資料送付を催促しても送ってこないので事件が進めらず、話が停滞したが、この状況は依頼者の自己責任なのに「もっと自分に頻繁に強く催促してくれない弁護士が悪い」等言い出す。
→依頼者の利益のために、敗訴リスクも踏まえて和解もあり得るという話をすると「どっちの味方なんですか?」とこちらに敵意を向けてくる。※もちろん弁護士の言い方もあるとは思うけれど・・。

・過度に被害意識が強い
→弁護士視点で見ても、常識的に見ても、とても100%被害者とは言えない事件で、自分は完全に被害者だと言う。
→結局、物事の捉え方というか、認知のゆがみがある場合もあるので、受任するならいつかこちらにも矛先が来るかもしれないとの覚悟で。
→自分を省みる発想が全くないタイプはたまにいる。交渉でまとまらないし、訴訟でもずっと続くので、受任前にこの人の事件を受けてまともに終わるのかという疑問点と折り合いを付けてから受任した方が良い。

・訴訟等の制度の理解をしてくれない
→例:相手が準備書面でウソを書いてくるのが納得いかない、やめさせろという依頼者(お互い主張し合うという民事訴訟の制度的な説明をいくらしても理解してもらえず、相手から準備書面が届くと何故か「黙らせられない弁護士が悪い」と攻撃的になる)。
→相手から反訴提起されて、自分の代理人に「こんな訴えをされる弁護士が悪い」と怒る。
→依頼者が「尋問等になると面倒くさいから和解で」と言っていたので和解案を詰めていると、「なんでこっちが譲歩しなきゃならないんだ」と怒り出す。→和解というからには譲歩は不可欠であり、自分からそう言っていたにもかかわらず、こちらに敵意を向けてくる。

受任前なら事件を受けなければよいが、受任中だと困る。いきなり辞任する必要はないが、このような苦情めいた話が度々来るようなら、きちんとメールや書面で制度の説明を再度しておく。

・連絡がつかない
→書面の確認をしてくれない。
→打ち合わせが実施できない。

そんな人いるのかと思うかもしれないが、破産申立てや、相手から金銭を請求されている事件の依頼者などでしばしばいる。ちょっと先の締め切りを設定して、対応いただけない場合は辞任しますと予告するとよい。

・弁護士費用の見積もりを出したあとも、アレコレ相談を継続させてくる
→迷いすぎるタイプはやめた方が良い。
→受任後も迷いすぎて、適切な解決のタイミングを逸することが多い。
→キリがない感じのときは「もう、お見積りを出しているので、あとはどうされるか決めてからご連絡下さい」と言って態度を決めてもらおう。

・今は依頼した方がよいタイミングだと言っているのに様子を見ようとする
→時間経過後の依頼を受けるときは「当時と今で状況が変わっている可能性もあるから、改めてお話を聞き、その上でお見積りを出させて下さい」ときちんと説明しておくのがコツ。
→以前より状況悪化させているのに、こちらがそこを確認せず、初期の相談内容と見通しを前提として受任すると、あとで「見通しと全然違う展開になっている」等と言われたりして揉めやすい。
→見積もりには有効期限を入れた方がよい。

・ウソをついている
→積極的なウソに限らず、普通なら説明すべきことを説明しない(=隠し事をしている)場合を含む。離婚事件や遺産分割事件でよくある。

・解任を2回以上している
→たまたまダメな弁護士ばかり当たった運の悪い依頼者であることもありえるけれど、弁護士の説明を誤解したまま解任に突っ走るようなタイプの可能性もあり得る。

・「受けてくれますよね?」と、必死にお願いしてくる
→普通の相談者は自分が断られる可能性をあまり想定していない。他で断られたことを隠して相談しに来ている可能性がある。

・すぐに他の弁護士の説明を引き合いに出す
→たまにあるならいいが、何かある度に、「あの弁護士はこう言っていた」と言うようなケース。それなら、なぜその弁護士に依頼しないのか・・。

・値切ってくる
→弁護士費用だけで何百万になる等、高額ならあり得ることではあるが(この場合はそんなに問題ではない)、5万10万で値切ってくる人がたまにいる。この場合は、単に弁護士の仕事に金銭価値を見いだしていない相談者である可能性がある。このような依頼者の依頼を受けると、あれこれ要望ばかり出てきて全く見合わない状況になることもある。
→安く受任しても責任が軽くなるわけではないことに留意する必要がある。
→先々の顧問契約や他の大きな事件を依頼するかのようなことを言って、今の事件を値切ろうとする依頼は特に要注意。
→「毎月の顧問料でこの事件の代理人になって欲しい」という依頼をしてくる飛び込み客もいるが、これも一種の値切り。

・完全成功報酬型でやってほしいと言ってくる
→一種の根切りなので、そう受け取って受任すべき。金銭請求事件なら、預かり金口座に支払わせて弁護士費用分生産すればよいが、金銭を請求されている被告事件だと弁護士費用をとりっぱぐれる危険が大きくなる。

・別件でデカい事件があるという話をエサに依頼してくる
→別件でデカい事件があるとか、将来顧問になっていただきたいというような言い方をして、今のこの事件をやって欲しいと依頼してくることはしばしばあるが、経験上はろくなものではないと思っている。弁護士報酬の値切りフラグだったり、最終的に報酬を払ってくれないことが多い。

・着手金を分割払いにしてほしいと言ってくる
→問題ないケースもあるが、長期分割の場合は、結局成功報酬がとりっぱぐれたりすることが多いので、そういうことがあると思って受任するほうがよい。

・前回打ち合わせでこちらが言っていないことを前提にしたり、前回の回答を曲解してきたり等、以前の話と今回の話で話がかみ合わない
→あとで揉めやすい。受任するなら打ち合わせは議事録的なメールを送るなどしてキッチリ保身を図っておく必要がある。
→メールで回答する等、やり取りを形に残すことが重要。

・相談回答をしたあと、「でも、例えば~の場合はどうなりますか?」「仮にこういう状況になった場合はどうでしょうか?」などと、可能性が低い例示や仮定条件をつけて色々聞いてくる
→相談で全部正直に話していない可能性がある。例示したケースの方が実際の自分のケースだったりする。
→仮定条件を付けた質問に対する回答を、本件の回答と受け取って「以前、それなら大丈夫だと言ったじゃないですか」と詰めてくるタイプもいるので要注意。

・「友人が困っているのですが」と言って友人の悩み相談をしてくる
→この手の「友人話法」は、大抵、本人が抱えている事件であり、ネットの名誉棄損や不倫がらみ、自身に犯罪の疑いがかかっているようなケースで多いが、途中で、実は自分の話だとバレた後、気まずくなっていなくなることが多い。
→その友人がどこの誰なのかをはっきり聞いてから相談に乗る。
→「その友人というのはあなたのことではないですか?」と聞いてみる。
→「その友人から直接お話をお伺いすることにします」と言って、友人話法の場合は相談に乗らないと言ってしまうのも有効。

・事案内容と比例していないレベルで感情が入っている
→強い感情が入りすぎているケースは適切な解決ができなくなることがあり、任意の交渉でまとめるのが困難になることがある。このような場合は受けるならばタイムチャージのお見積りの方が良いかもしれない。

・結果請負を求めてくる
→「お金がかかってもいいので勝訴してください」「負けるわけにはいかないんです」と言われても、弁護士としてはもともと手を抜いているわけではないので困る。

・相手を懲らしめたい、相手に意地悪をしたいと述べている
→それは弁護士の仕事ではない。
→「いやがらせとして、負けても全く構わないので、このような裁判を起こしてほしい」「法的にそんな金額が無理なのは承知しているが、懲らしめたいので1億円の訴額で訴えてくれ」などという依頼は弁護士倫理上の問題からも受けるべきではない。

・法外な請求をしてくれとしつこく依頼してくる
→例えは、電車痴漢で慰謝料2000万請求して欲しいと、本気でしつこくいってくるようなケース。着手金を高くすれば依頼が来ないだろう・・等と考えない方が良い。うっかり依頼が来てしまうと、その後相当苦労する。それなら、きちんと見通しを告げた上で、それでもしつこく依頼をしてきた場合は「その金額を取れる見込みがないと私は考えているので、他の弁護士にご依頼下さい」とはっきり断った方が相手のためにも良い。

・いきなり顧問になってくれと言ってくる
→弁護士と付合う=顧問と思っている人も多いので一概には言えないが、法的トラブルが多い業種の会社でそれを言ってくるときは、その会社がちゃんとしているのかどうかはよくチェックした方がよい。

・当事者以上にでしゃばる人がいる
→例えば、離婚相談で、夫の実母が相談に同行してきて、本人以上にあれこれ説明して場を仕切ってくるような場合。主体性のない依頼者は事件のクローズがしにくく、また第三者の横やりもさばく必要があるので、ちょっと慎重になった方がよいかも。





- 受任に慎重になる(弁護士向け)|スラ弁(弁護士大西洋一) https://note.com/o2441/n/n4adb847943dc

 参考になる、まとまりのある情報として掲載しておきたいと思ったのですが、引用部分が長くなっています。

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