まちぼうけ

待ちぼうけ、待ちぼうけ
ある日せっせと、野良稼ぎ
そこに兔がとんで出て
ころりころげた 木の根っこ

童謡の待ちぼうけは誰もが一度は聴いたことがあると思います
(これって満州民謡らしいですよ)

今の時代、待ちぼうけなんて言葉はもう死語なんじゃないかなって思います

待ち合わせに遅刻しそうな時はLINEで「ごめん遅れる」の一言で済むし、乗ってる電車の乗り換え案内をスクショで送る人もいます。なんならお互いの位置情報を共有している間柄の人もいるでしょう

こんな待ちぼうけとは無縁の時代、時間の効率はどんどん良くなるばかりです

僕のある友人は高校時代からの付き合いで、まぁ類は友を呼ぶというのか、彼も結構ズボラなとこがありまして
彼と待ち合わせとなると集合時間から30分は遅れて来るのが基本です。

なのでそれを見越して、近くの喫茶店とかで待ってたりします

この日は彼とサウナに行って昼飯を食べる予定でしたが、案の定、彼は遅れてきます

「飼ってる犬が家のゴミを荒らして一回家に帰らないといけなくなって...」

そう言って、家じゅうが犬の荒らした生ゴミで散らかってるペットカメラのスクリーンショットが送られてきました

彼の飼ってる犬は一度、彼の家に行った時に会ったことがあります。
まだ子犬のハスキー犬らしく、落ち着きがないというかなんというか、来客の僕に終始興奮状態で、あちこち引っ掻かれたり噛まれたりしたのを思い出しました

「喫茶店で待ってるから大丈夫」

そう連絡していつものようにコーヒーとたばこをふかしながらボーっと彼を待ちます

この日は大体1時間くらい遅れてくるらしいですが、別に怒ったりはしません。こっちも遅れることは承知ですし、何よりこの時間の無駄遣いが結構好きなので問題ないんです。

「あ、飯奢れな」

と一応、建前でやや怒った文章を送って、今日も待ちぼうけが始まります

休日だからこそ時間感覚は緩やかに、タイムスケジュールもファジーに行きたいものですね。

待ちぼうけ、待ちぼうけ
しめた。これから寝て待とうか
待てば獲物が驅けてくる
兔ぶつかれ、木のねっこ