BitDAO

今回はBitDAOについてまとめてみることにしました。DeepDAOのサイトによると、treasuryの額が1位ですね。なぜこんなに資産を持っているんだ。

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BitDAOの概要

BitDAOはBybit(世界最大級の仮想通貨取引所)主導でスタートし、ピーターティールやFounders Foundation、Pantera、Dragonflyなどによる支援を受けているDAOです。

有望なDefiプロジェクトがあれば、BitDAOで集められた資金を使って、そのプロジェクトへのサポートを行います。具体的にはリサーチ・開発、流動性提供をおこないます。

・リサーチ・開発:ブロックチェーン関連のあらゆる分野から優秀な人材を集めてリサーチ・開発センターを構築する。BitDAO独自のDefiプロトコルを開発したり、他のプロジェクトの開発を手伝う。

・流動性:BitDAOのTreasury内資産を利用して、プロジェクトに流動性を提供する。特にDEXやLendingプロトコルのようなプロジェクトの初期に必要。

・助成金:Gitcoinのように、新規プロジェクトに対して助成金を出す。具体的にはそのプロジェクトが発行するトークンと$BITのスワップを行う。

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BitDAOのコアプロダクト

・BitDAO Onchain Governance:オペレーターなしで、提案が実行される。

・BitDAO Risk Management:パートナーシップを結んでいるDAOが試験的なアイデアに投資を行えるように、保険を提供する。

・Governance Suite:ガバナンス・Treasury管理用のプロダクト。将来的にDAOの作成が容易になることを目指す。

ただし、長期的に「BitDAOが多くのチェーンにおいて様々なプロジェクトと連携可能か?」という問題が発生するとBitDAOは予想しています。これについてイーサリアムレイヤー1での解決が見込めない場合は、レイヤー2、サイドチェーン、イーサリアムシャードなどを構築することを検討しています。また、将来的に多くのプロジェクトからパートナーシップを提案されるようになった場合のために、迅速なデューデリジェンスやBitDAOにおける財務執行プロセスなどの最適化の必要性について自ら指摘しています。たしかに、DAOが「有望な出資先を決めて、最適な支援方法を検討・実行して、長期的にフォローアップする」というところまで担うには、かなり工夫された制度設計が必要なのではないかという気がしますね。。

BitDAOのガバナンス

$BITがガバナンストークンです。トークン保有者は出資先、出資額、利益分配などについて提案・投票を行うことができます。

トークン規格:ERC20

総供給量:100億ドル

提案と投票によってのみ以下のようなアクションが実行されるようにすることをBitDAOは初期方針として掲げています。

・新規または既存プロジェクトとのトークンスワップ

・BitDAOのtresury資産の配分

・BitDAOコアプロトコルのアップデート

ガバナンス-フェーズ1

BitDAOはGnosis Safe(多くのプロジェクトが使用するマルチシグウォレット)、Snapshot(こちらも多くのプロジェクトで使われているオフチェーンガバナンスプラットフォーム)を使用しています。Snapshotでの投票はオフチェーンで行われる(ガス代の問題があるため)ので、投票結果は自動的に実行されるわけではありません。よって、投票結果を受けて、マルチシグホルダーや開発メンバーなどが自らアクションを行う必要があります。

また、$BITは特定のアドレスに委任されたものでなければ、提案・投票のための権利として機能しません。$BIT所有者は自由に好きなアドレスに委任することができ、委任されたアドレスがかわりに提案・投票を行います。

ガバナンス-フェーズ2

フェーズ2では新たなガバナンスモジュールの開発が完了している予定です。オンチェーンでの提案・投票、パラメーターの決定(投票権の重み付け、必要な投票率、投票期間、可決に必要な賛成率)、他のDAOへの拡張性などといった問題に対処できるものを作るとしています。

トークン配分

パブリックセール:5%

ローンチ時のパートナー報酬:5%

BitDAO Treasury:30%

Bybit Flexible:15%

Bybit Locked:45%

2021年6月には、投資家向けのトークンセールで総額2.3億ドルを集め、2021年10月15日にパブリックセールが行われました。

Bybitの保有量がかなり多く、ロックされている45%については、1年後に22.5%、2年後に45%全てのロックが解除されるみたいです。Bybitの保有するトークンは主にR&D目的で使われます。Bybitはすでに複数のラボやベンチャーキャピタルに$BITを委任しています。

終わりに

BitDAOはファンドや研究開発の両方を手がける組織であり、DAOという形式を取ることでそれぞれの事業で最適な意思決定をすることが可能になるのかもしれません。実際には多くの$BITを委任されているチームの影響力が大きく、意思決定プロセスは属人的かつスピーディーに行われる気がします。DAOといっても末端のコミュニティ参加者が影響力を持てるというわけではなく、やはり基本的にはコアメンバーに選択が委ねられていくという感じですかね。今後、どのように自身のガバナンスシステムを構築していくのかたいへん興味があります。

出典

https://deepdao.io/organizations


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