キャラ問題集では、なぜうまくいかないのか?
国民的アニメからうんこまで、過去さまざまなキャラクター入りのドリルや問題集が出版されてきました。
中には一斉を風靡したものもあります。
ファミコンとかニンテンドースイッチとかの勉強ソフトもあり、子どもが好きなものでゲーム感覚で学力を上げようという試みは数え切れないほどあります。
最近では、タブレット学習が浸透し、教育アプリなどもたくさんあります。
ところが、歴史もあり、選択肢もあるのに、成果が出たという話はほとんど聞きません。
いったいなぜなのでしょう?
キャラクター教材で成果が出ない理由
こういうのを研究しても、一銭にもならないばかりか、大手出版社とか、ゲーム会社とか、多方面に喧嘩を売ることになってしまいます。それゆえか、研究成果なるものはほとんど見当たりません。
仕方がないので、自分で試し続けてきました。
まず、イラストやキャラクター、紙面がカラーであることなどで、子どもたちに学習を楽しませても長続きしません。
また、学習したらごほうびをあげるということも、マイナスにはなってもプラスにはなりにくいことは証明されています。
理由は、それらが「外発的な動機付け」だからです。
本質的な学習に対する意欲ではないから、ご褒美がなくなったり、グレードが上がらないと、学習習慣にはなりません。
こういう見た目が子どもの好きなもので学習を導入してしまう理由は、大人が「学習すること」は「つまらないこと」だと思っているからです。
「つまらないこと」だけど、「やらなければならないこと」を、子どもにさせるために、キャラクターやごほうびで動機付けしているという構図です。
自分の好きなキャラクターが表紙に描かれていたら、「欲しい!」というでしょう。でも、続かないし、内容が難しくなってくる頃には、その絵に飽きてしまうのは目に見えています。
また、子どもたちが大好きなドラえもんの学習漫画は、結構難しいことも書かれています。それでも、学習効果は高いか? ・・・というと、単にYouTubeを見ているよりはマシくらい、に思っておいた方がいいでしょう。
どこで動機づけするか
関わり方次第で、子どもたちは、学習そのものを楽しむことができます。
だから、まずは、大人の「学習=つまらない」という思い込みを捨てることが重要です。
「学習そのものを楽しむ」とは、
「この学習を終えたら、テレビが見られる」
「毎日学習したら、テストで100点が取れる」
というものではありません。
「自分が知らない難しいことを昨日より速くできた!」
「今の問題、一発で正解が出せた!」
「わけのわからない新しい問題なのに、自分で解けた!」
など、地味だけど、次につながるような喜びを味わうこと。
そういう体験を積めば積むほど、またあの快感を味わいたいという気持ちになっていきます。
この気持ちは、キャラクターやごほうびでの動機付けとは比べ物にならないほど、持続力があります。
学習の中で喜びを味わい、学習に対する気持ちが向上していくようになると、自然と力がついていきます。
「できる子」たちの好奇心
本当に優秀な子たちは、できること、知っていることの多い子たちではありません。
書かれているのが文字と数字だけでも、見たことのないことに興味を持って、メカニズムを解明するために粘り強く考え続けられる子です。
その時点で知らないことが多くても、学び始めてからの吸収が圧倒的に速いです。
無理にキャラクター教材で学習させてスキルと知識をつけようとするよりも、「知的好奇心旺盛な子にするにはどうしたら良いか」を考えて子育てをする方が明らかに効果は高いということです。
キャラ問題集で伸びた子たちは世の中にいるかもしれません。
でも、きっとそういう子は、キャラ問題集でなくても伸びた子たちじゃないかな、と思います。
デジタル教材で成果が出ない理由
「キャラクター問題集」は、本屋で一読して、見た目のとっつきやすさ以外、内容が薄いのでスルーしていて、買ったり子どもにさせたことはありません。
でも、教育アプリはとりあえず全部ダウンロードして触ってみる、とりあえず子どもに触らせる、ということを試みてきました。
ダウンロードしたときだけではなく、毎日決まった量をするなど、習慣化したものもあるし、家族みんなで一定期間続けたこともあります。
でも、さほど成果を感じない。唯一5年以上子どもが続けているのは、「Duolingo」という英語のアプリだけ。無料版でずーっと続けています。
と言っても、1日5〜10分くらいですが。それくらいでも、年間の学習時間は、世界でトップ5〜10%くらいに入っているらしいから、いかに継続が難しいかがわかります。
塾を経営していると、タブレット学習の営業もくるし、試用をすることもできます。過去、約10に近いサービスを試してきました。中には、CMをしている会社もあります。
でも、生徒からお金をもらってやるほどのものにはまだ出会えません。
教育という観点で見たときに、タブレットを使ったAI教材などはまだまだ力がつかないものだと感じました。
営業担当者の話を聞いても、
「指導力を必要としないので、どんな学生さん(アルバイト)でも使えます」
「やる気がない子は何をしても無理ですからね」
「とにかくタブレットを触るのが子どもは好きですから」
とか。
なんかムッとするようなことを、現場を知らない人に好き勝手言われたこともありました。
某通信教育もそうでしたが、子どもたちに力をつけようとするより、ビジネスとして経営を成り立たせるための、客寄せのようなツールという印象でした。
というわけで、まだしばらく使わないだろうと思います。
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