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アンチェロッティの限界

 11月現在のアンチェロッティナポリのチーム状態は彼のバイエルンでの2年目に酷似している。現在のチームの問題点と改善の仕方について、アンチェロッティの長所と短所を交えて書いてみた。
 遡れば、その兆候は昨シーズン後半から現れていたのだ。端的に言えば、彼はあまりに選手の質を信用しすぎていたのだ。そのため、特に攻撃面において明確なプランが見られることがなかった。いざとなればサッリ時代の遺産に立ち戻れば良かった前半戦とは打って変わって、後半戦ではそれらが一気に顕在化し、結果として表れるようになった。

 戦術的に見ると、今シーズンのナポリの最大の問題は守備面にある。だが、攻撃面の問題点を挙げるとすれば、それはボールが過度に大外のレーンを通り、中央の選手があまりプレーに関与しづらくなっているということであろう。    

 だが彼だけを責めるのも酷であるかもしれない。なぜなら、アンチェロッティの過小評価されがちな最大の長所は、ピルロをレジスタにコンバートし、ディ・マリアCHに変身させたように、ある選手に特定の役割を与えることでチームの構造に秩序を与え、機能性を高めることだからだ。彼の理想とするチームのあり方は、戦術的なパターンプレーではなく、選手個人個人を最適な場所に配置してそのタレントを遺憾なく発揮させることである。だが、今シーズンは必要な個性が足りないように思うのだ。それは、アンカーである。シーズン前に放出してしまったディアワラのような存在はチームを大きく変えるだろう。冬の市場では、アンカーを求めて動くべきである。

 だが、その前の解任のリスクも相当高いように思う。CLのリヴァプール戦は相当きついものになるのではないか。ちょうど彼がバイエルンで、PSGに0-3で完敗し、解任されたときのように。ここ10年シーズン中の解任のないナポリだが、いよいよその時が来るかもしれない。