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「四月は君の嘘」は心に響きすぎてつらい。

放送されていた頃は見逃していたのですが、評価が高い作品だったので、先日何気なく観始め、最後は信じられないほど感動し号泣してしまった「四月は君の嘘」。
あらためてこの作品のことを考えていたら、どうしてもその第4話の演奏シーンを確認したくなり、観直しました。

「公生」と「かをり」が初めて人前で共演をした、ヴァイオリン・コンクールの二次予選。
演奏するのはサンサーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」。
最初にこの回を見た時は、音が聴こえず思うようにピアノが弾けないと苦悩する公生の気持ちの方に共感しながら観てましたが、最終回まで観た後にもう一度観直してみると、初共演に込めた、かをりの覚悟と夢の方がより心に迫って来ます。

たしかに最初に観た時にも、かをりの演奏姿の美しさに魅了されたのは確かですが、それは単にしぐさのカッコよさだと思っていました。
しかし今ではあの演奏シーンには、かをりの動き・表情の一つ一つに、はかなくも美しい命の輝きが丁寧に描きこまれていたのだとわかります。

一度演奏を止めてしまった公生を励まし導くように自分も演奏を止め、微笑むかをり。でもその微笑みの奥には誰も知らない強い思いがありました。
コンクール的には曲を中断してしまったため「失格」扱いになるのはわかっていながら、「Again」と公生に声をかけ、敢然と曲を弾き始めるかをり。
呆然としている公生の心に「私を見て」という、かをりの声が届きます。
覚悟を決め、公生もピアノを弾き始めます。

目の前のピアノから音が聴こえないのなら自分の中にある音を引っ張り出すことで弾き続けようとする公生。
そしてふたりの天才ソリストの共演はお互いを高め合うかのように混じり合って、それまで冷ややかだった聴衆を圧倒し感動させます。
演奏終了後、大歓声に包まれるホール。
しかしその直後、舞台上で倒れこんでしまうかをり。
栄光と引き換えの悲劇を予感させる辛い展開。

観直してみて、アニメ史上に残るぐらいの見事な回だと思いました。
今後は涙無しには観ることはできません。
この作品は間違いなく名作ですが、クラシック音楽が好きで趣味ででも楽器演奏をされる方なら、さらに強く心を揺り動かされることでしょう。
もうつらいほどに。

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