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インターン生のホワン君が去っていった

以前にインターン生のホワン君についての記事を2つ書いた。

5月にホワン君が私たちのお店にやって来て、8月いっぱいでインターン生としての仕事が終わった。

3ヶ月半の間に大きく成長した彼をとても誇らしく思う。
最後の方はワインのテイスティングから販売まで一人でこなして、自信がつき、すごくイキイキしていた。

彼は中国の大学の授業と並行してフランスではワインツーリズムの授業を専攻していた。
ワイナリーへの訪問、ワインの試飲、ブドウ園の見学などのガイドをするのがワインツーリズムらしい。

他の生徒たちはワイン生産者のところでインターンをしている人が多かったようだが、彼は私たちのお店でロワールワインの試飲と販売、飲食、エピスリー、アートスペースと様々なことに触れていった。

ワイン生産者のところではそのドメーヌのワインしか扱わないので、種類はある程度限られている。でも私たちのお店ではナントからオーベルニュまで5つの地域のロワールワインを扱っている。
実際お店で扱っているワインには50以上のアペラシオンがある。

アペラシオンとはフランスにおける法律に基づいた原産地の呼称のこと。
アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(仏: Appellation d'Origine Contrôlée; AOC フランス語発音: [aose]、アオセ)とは、フランスの農業製品、フランスワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証であり、製造過程および最終的な品質評価において、特定の条件を満たしたものにのみ付与される品質保証である。日本語に翻訳すると「原産地統制呼称」「原産地呼称統制」などとなる。フランスの法律では、AOCの基準を満たさないものは、AOCで規制された名称で、製品を製造または販売することは違法である。

Wikipedia より


3ヶ月半の間に全てとはいかないが、かなりの数のワインを試飲し、学んでいった。
最終的には他の生徒たちよりも多くの経験をすることが出来たようだ。

そして何よりの発見は、彼がワイン販売の才能があること。これは本人も私たちも想像しなかったことだった。

お客様に対してテイスティングをしながら、お客様の好みを絞っていき、ワインを購入してもらわなければならない。
最初はワインに熟知したエリックがお客様に接しているのを、ただただ横で見聞きして、一緒にテイスティングしていた。

2ヶ月半過ぎた頃だろうか、「自分にもやらせてほしい」と言ってきた。
エリックが見守りながらではあるが、彼にやらせてみることにした。
それまでに学んだことを活かして、粘り強く説明しながら最初のお客様に3本のワインを販売することに成功した。ブラボー👏

それから毎日のようにテイスティング→販売を続けるうちに、販売の楽しさに気付いたようだ。
元々人とコミニュケーションをとるのが好きな性格もある。そんな彼には合ってるのかもしれない。

本来なら学校は卒業したので、学生VISAは終わりなのだが、学校側と交渉して学生VISAが3ヶ月延長できることになった。

そこで私たちのお店が取引しているワイン生産者に彼を3ヶ月働かせてもらえないかと頼んでみた。
ワイン生産者からOKがもらえたのが8月中旬。ギリギリで働き先を見つけることが出来て喜んでいた。今は中国で夏休みを取っている。

今月中旬にフランスに戻ってくる予定だ。
これから葡萄の収穫が始まるので、ワイン生産者は忙しくなるだろう。
12月までワイン作りを学んで、その後は自力で就職先を見つけなければ就労VISA が取得できない。

最終日、お店が終わった後、彼と関わってくれた常連さんや見守ってくれた近くのお店の人たちを招いて、お別れ会を催した。

最後の彼の挨拶はこんな感じだった。

「僕はここで働くことが出来て、皆さんに良くしてもらって凄く幸せでした。まるで家族のように心配してもらったり、喜んでもらったり、ここで出会った皆さんとのことは決して忘れません。本当にありがとうございました。」

これを聞いて大人たちが(私も含めて)ちょっとウルッとしてしまった。
なんていい子なんだろう。
周りの人たちに可愛がられ、感謝を忘れないホワン君が彼の夢を実現できることを願っている。





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