ファザコンなキミ

Kさんは、いつも、わたしの男性にまつわる話を聞きたがった。わたしの話を面白そうに聞きながら、カウンセラーのようにわたしを分析しては、最終的に毎回、「キミは本当にファザコンだね」と言う。

Yさんという、20歳以上も年上の編集者と付き合っていること、13歳離れてるKさんと仲良くしてること、年下の男友達から何度も告白されても、絶対に付き合わないって、断りつづけてること、最近出会った年上のCMプランナーとカフェ巡りをしていること。それから、たまには、女の子の話もした。

Yさんの事務所に来た、とある女の子と仲良くなって、その子の履いていたスカートが、イーリーキシモトのボート柄で、ホントにかわいかったこと。

「キミの行動原理は、全て、お父さんに叱られたい、ってことなんだ。だから、悪いと思ってることでも敢えてやる」

その言葉を聞いて、わたしは父親じゃなくて、上京するときに、お金を渡してくれた、おじいちゃんの顔を思い浮かべた。

Yさんに会いにタクシーに乗るとき、なぜだか、いつも、おじいちゃんに心の中で謝っていた。父親との距離が遠く感じて、不良になることで、父親に気がついて欲しかったのかも知れない。ただ、そんなことを言われても、当時は、そうかもね、としか思えなかった。









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