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百生吟子は次の主人公になりうるか
ヘッダー写真:石川県立図書館
2024年11月29日筆者撮影
はじめに
蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさん、こんにちは。ひろみみと申します。この度、私はさらいんさん( @nanoha1007 )主催の【蓮ノ空3rd横浜公演開催記念カウントダウン企画~満開だよきっと未来は~】の7日目、百生吟子の回を担当致します。
新年から、蓮ノ空3rd横浜公演開催を記念して、カウントダウン企画 #満開だよきっと未来は
— さらいん#満開だよきっと未来は (@nanoha1007) December 31, 2024
をやります!
メンバーにフォーカスした花が咲く瞬間を目撃したい!ということで、各メンバーにフォーカスした何かをカウントダウン形式で投稿していくことを考えました!
ツリーに投稿者は繋げます! pic.twitter.com/SvioucA7Gn
具体的には、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ104期生、スリーズブーケに所属する百生吟子についてエッセイを書きたいと思います。それに当たり、少々前置きが長くなりますが、以下、本稿はどんなことを書くのか述べたいと思います。
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ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ(蓮ノ空)の大きな特徴は、【リアルタイム性】です。即ち、蓮ノ空のストーリーに登場するキャラクターは、我々と同じ時間の流れの中で生き、高校生活を過ごし、日々スクールアイドルとしての活動に打ち込み、時には各キャラクターに声で命を吹き込むキャストとともに、ある時はFes×LIVEの形で配信ライブを行い、またある時は―今回の蓮ノ空3rd横浜公演のように―リアルライブも行っています。
一方で、その【リアルタイム性】ゆえに蓮ノ空では私たちが過ごす時の流れと同じ事が生じます。即ち、登場するキャラクターは、学年が年度の区切りに伴い上がります。そして、今年の3月には今の3年生(102期生)は卒業を向かえます。
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卒業に関する話はいずれまたの機会にしたいと思いますが、今年の4月には、103期生の3人は最上級生たる3年生になり、同時に104期生の3人は2年生になります。その時、現時点で各キャラクターが有している位置付けに何らかの変化は生じうるのでしょうか?
ここで注目したいのが、現時点での蓮ノ空の主人公である日野下花帆の位置付けです。もし今年の4月から、彼女が3年生となり、105期生が入学するというストーリーがあるのならば、彼女は変わらず主人公としてあり続けるのでしょうか? それとも、4月以降、花帆の卒業が近づくにつれ、徐々に彼女の主人公の立場を受け継いでいく者が現れるのでしょうか?
スクールアイドルとは限られた時間の中で精一杯耀こうとする存在です。さらに、蓮ノ空が【リアルタイム性】を特徴とする以上、主人公である花帆にもやがて卒業の時が訪れます。だとすれば、蓮ノ空では徐々に花帆を引き継ぐ新たな主人公が現れる可能性はあると考えられます。そして、私が蓮ノ空の次の主人公となりうると思う存在が、104期生の百生吟子です。そう思ったきっかけは、活動記録104期第7話Part 10で、吟子、徒町小鈴、安養寺姫芽それぞれに対して足りない点を伝えるという悪役を敢えて演じた桂城泉に対して、怒りをぶつけた吟子を、そしてそのシーンを描いたUR[Link to the FUTURE]百生吟子の覚醒前イラストを見たことです。
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上に引用したイラストを見た時、みなさんは何を感じたでしょうか? 秋の夕日に染まる校舎を背景に対峙する吟子と泉。私には、このイラストのシーンと、バトル漫画、又は青春漫画の主人公とライバルがバチバチと火花を散らすシーンが重なりました。
以上を踏まえて、本稿は百生吟子が今後、蓮ノ空において日野下花帆に続く主人公となりうるかについて、考えてみたいと思います。具体的には、まずIにおいて、これまでのラブライブシリーズにおける各主人公について簡単に振り返った上で、比較検討をします。次に、IIにおいて、吟子について、その魅力を様々な観点から考えていきます。その上で、吟子が花帆に続く次の蓮ノ空の主人公になりうるかを考えてみたいと思います。なお、その際には、吟子と方言について考えた筆者の前稿(*1)も適宜参照します。
I. ラブライブシリーズにおける主人公
本節においては、吟子が蓮ノ空の次の主人公となりうるかを考えるに当たっての準備作業として、これまでのラブライブシリーズにおける各主人公をごく簡単に振り返りつつ、比較検討を行いたいと思います。
ただし、ここでは、『大会としてのラブライブ』が出てくるシリーズのみを検討対象とします。そのため、『幻日のヨハネ』及び『スクールアイドルミュージカル』は検討対象外とします。
(1)高坂穂乃果
まずは、初代ラブライブ!の主人公にして、東京の秋葉原や神田エリアにある音ノ木坂学院のスクールアイドル、μ'sのリーダー、高坂穂乃果を挙げなければなりません。彼女は、その明るさと元気さでμ'sを力強く牽引する唯一無二の存在と言えます。その一方で、スクールアイドル活動の中でも非常に重要な要素を占める、作詞、作曲、衣装製作のいずれについてもごく一部を除きμ'sの中では中心的な役割を果たしているわけではない、ということも彼女の特徴です(*2)。なお、穂乃果のメンバーカラーはオレンジ。実家は和菓子屋さん『穂むら』であり、雪穂という妹がいます。
(2)高海千歌
次は、ラブライブ!サンシャイン!!(以下、サンシャイン)の主人公であり、Aqoursのリーダーです(*3)。サンシャインは、初代ラブライブとの繋がりが随所に見られます。例えば、千歌がスクールアイドル活動を始めようと思ったきっかけはμ'sへの憧れである一方で、東京から静岡県沼津市の内浦にある、浦ノ星女学院へ転校してきた桜内梨子は、東京ではμ'sがいた音ノ木坂学院に通っていた…というように。そして、本作の主人公・千歌も穂乃果と同様に、明るく元気な女の子であり、『かがやきたい!』という言葉とともにAqoursのメンバー達とラブライブ優勝を目指します。一方で、千歌と初代の主人公・穂乃果との違いとしては、千歌はAqoursでは作詞を主に担当しているということが挙げられます(*4)。なお、千歌のメンバーカラーは、彼女の好物に因んだみかん色。実家は沼津市内浦にある温泉旅館『十千万』であり、志満と美渡の二人の姉がいる、3人姉妹の末っ子です。
(3)高咲侑と上原步夢
初代、サンシャインに続いて次は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(以下、虹ヶ咲)ですが、ここでは高咲侑と上原步夢の二人のキャラを取り上げます。虹ヶ咲は、東京のお台場を舞台とした作品ですが、前2作品とは異なり、登場する主要キャラは大会としてのラブライブ出場を目指さず、かつ同好会の各メンバーはソロのスクールアイドルとして活動することがメインとなっています。そのためか、本作の主人公(的キャラクター)のあり方も他のラブライブシリーズとは異なります。
まず、步夢ですが、彼女は穂乃果や千歌のように元気で明るくパワフルに突き進んだり、積極的に皆を引っ張るタイプではありません。どちらかというと控え目な、でも文武両道の優等生な少女です。しかし、歩夢はストーリーが進む中でスクールアイドルとして成長していきます。具体的には、アニメ2期でのラストでは、海外の歩夢のファンからの便りを受けてロンドンに短期留学します。そしてアニメ2期の続きであるOVAでは、歩夢が留学先で出会ったスクールアイドルに憧れる少女、アイラとともに帰国します。そして、2024年9月に公開された劇場版完結編第1章では、ランジュから、歩夢の姿を見てスクールアイドルを目指す人が現れると評価されていました。このように、前2作品の主人公二人とタイプは違いますが、歩夢も主人公に相応しい存在へと徐々に成長していきます。なお、歩夢のメンバーカラーはライトピンクです。彼女の自宅は東雲にあり、親の職業は不明です。因みに、アニメの描写を見る限り、歩夢にはきょうだいはおらず、ひとりっ子のように思われます。
次に高咲侑について。彼女が本節で取り上げる各シリーズの主人公達とは決定的に異なる点として、彼女はスクールアイドルではありません。しかし、侑はソロメインでスクールアイドル活動をする、スクールアイドル同好会のメンバー12人を助け、アニメ2期では、同好会のワンマンライブ用に12人全員分のソロ曲も作り(!)、そして何よりもスクールアイドルを愛し、同好会の皆を愛し、最前線で応援する存在です。アニメ1期では、他校も交えたスクールアイドルフェスティバルだって企画・運営してしまいます。
たとえスクールアイドルではなくとも、基本的には自らは歌わなくとも、侑は常にスクールアイドル同好会のメンバー全員に寄り添い、支える、虹ヶ咲の主役の一人と言えるでしょう。なお、侑はスクールアイドルではないため、リアルライブでも他のメンバーとは異なり、『応援出演』という形で出演します。(ただし、『わちゅごなどぅー』や『虹ヶ咲学園校歌』では、侑を含めた13人全員で歌います。)。なお、侑のメンバーカラーは公式にはありませんが、『繚乱!ビクトリーロード』では侑役の矢野妃菜喜さんは黒のジャケットを纏っていました。彼女の自宅は歩夢と同じく東雲にあります。むしろ二人は同じマンションの隣の部屋同士です。また、侑の親の職業は不明です。なお、アニメの描写を見る限り、侑も歩夢と同じくひとりっ子と思われます。
以上見てきたように、虹ヶ咲は初代、サンシャインとは異なり、歩夢と侑の『W主人公』という形を取っています(*5)。その繋がりで、歩夢と侑の二人が幼なじみであり、強い絆で結ばれている点も大切な特徴です(この点は色々語る点はありますが割愛します。)。
(4)澁谷かのん
次に見るのは、ラブライブシリーズ第4作であり、つい先月にテレビアニメ第3期の放送が終了したラブライブ!スーパースター!!(以下、スーパースター)の主人公であり、Liella!のリーダー、澁谷かのんです。舞台は原宿、青山、表参道エリアの新設校を舞台とし、最初に登場した5人のメンバー(*6)は全て1年生でした。そして、スーパースターの大きな特徴としては、アニメが1期12話で1年間を描くこと、メンバーの学年が上がることが挙げられます(*7)。これは、アニメ2期+劇場版で1年を描き、ストーリーが完結した初代及びサンシャインとの大きな違いです(*8)。
さて、澁谷かのんに話を戻すと、彼女は歌が大好きな少女でしたが、人前で歌うことができないという弱点があり、当初志望していた結ヶ丘の音楽科に入学できずに普通科に入学し、当初はやさぐれ気味(?)でした。しかし、スクールアイドル(特にSunny Passionに憧れ、上海から海を飛び越え結ヶ丘に入学してきた唐可可により、路上で歌っていた時の歌声の素晴らしさを見いだされ、『スバラシイコエノヒト』としてスクールアイドル活動に誘われます。当初はスクールアイドル活動をすることに及び腰だったかのんも、自分が歌が好きだという気持ちにあらためて気付き、可可と『クーカー』というユニットを組み、ステージに立ちます(*9)。その後、かのんは可可を始め、結ヶ丘1期生の5人でLiella!を結成し、ラブライブ優勝を目指します。この後のストーリーは長くなるので割愛しますが、かのんもストーリーが進むに連れて、時に皆を牽引し、時に優しく見守る3年生へと成長していきます。
なお、かのんはギターが得意であり、Liella!の中では作詞も作曲も担当します(後には、葉月恋や米女メイが作曲を、桜小路きな子が作詞を担当)。かのんのメンバーカラーはマリーゴールド。また、きょうだいは、妹のありあがいます。ありあはアニメ1期では中学生でしたが、アニメ3期では高校生になります(ただし、結ヶ丘とは異なる高校に進学。)。また、かのんの父は翻訳家であり、母は喫茶店を経営しています。さらに、かのんは、スペイン人の祖母を持つクォーターです(*10)。
(5)日野下花帆
最後に、蓮ノ空の現在の主人公であり、蓮ノ空女学院の現在2年生(103期生)、スリーズブーケ所属で、吟子にとっては同じユニットの直系の先輩に当たる日野下花帆を取り上げます。
花帆は『花咲く』ことを夢見て、一生懸命に受験勉強をして合格し、長野県から2023年に蓮ノ空女学院に進学しました。彼女は、持ち前の明るさ、元気さ、そして他者との距離を一気に縮める人懐っこさが特徴です。それは、金沢での生活が始まった初日から、同じバスに乗った同級生の村野さやかに対する姿勢に良く現れています。当時のさやかは『わたしはこの学校で、あまり人と仲良くするつ気がない』と述べていましたが、今や二人は互いに信頼し合う親友です。
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蓮ノ空はリンクラというアプリでストーリーが進行するという性質上、テレビアニメのような話数・放送時間の『枠』の制限がありません。それゆえストーリーの量もこれまでのラブライブシリーズのアニメ作品と比べて非常に多いです。そのため、花帆について語るだけでも何本ものブログ記事になります。そのため、本節では泣く泣く割愛し、ポイントの一部だけを述べることにします。
花帆を語るにおいて絶対に外せないのが、花帆が入学後に出会う、スクールアイドルクラブ部長であり、自らが所属するユニット・スリーズブーケの直系の先輩である102期生(現3年生)乙宗梢の存在です。2人はスリーズブーケとしてユニットを組み、103期を掛け替えのない相棒として過ごすわけですが、2人の話をするだけでもやはりブログ記事が何本も書けるのでほんのさわりだけ。
『ちょっと厳しいけど優しい先輩』(*11)である梢からの指導を受けながら、花帆は梢と二人三脚でスクールアイドルとして成長し、梢との絆も深めていくのですが、花帆から梢への呼び名が『梢センパイ』で一貫しているのに対して、梢から花帆への呼び名は『日野下さん⇒花帆さん⇒花帆』と変遷しています。特に2024年1月に開催されたラブライブ決勝で敗れた後、他のスクールアイドルクラブのメンバーの前では気丈に振る舞いながらも、部室で悔しさで1人涙する梢に自らも涙を流しながら寄り添い、その後、「ついに梢先輩に『花帆』と呼ばれるようになり、‘’梢先輩の後輩‘’じゃなくて、‘‘梢先輩の隣に立つユニットの相棒’’という立ち位置になるまでに成長し」(*12)た姿は胸を打ちます。
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その後104期に入ってからの花帆については、吟子との関係の話が多くなりますので、次節で取り上げます。
花帆はスクールアイドルクラブに入った当初は梢が作る曲や伝統曲を歌うだけでしたが、ラブライブ北陸大会の勝負曲『Link to the FUTURE』を部員全員で作詞・作曲をしたことに加えて、ラブライブ決勝後に石川県立図書館を会場として開催されたFes×LIVEで披露された『Special Thanks』は全て花帆1人で作詞をしています(*13)。
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一方、104期の新たな全員曲である『Bloom the Dream, Bloom the Smile!』は103期3人で作り上げた曲ですが、この曲の制作でも花帆は作詞をしています(*14)。また、花帆のメンバーカラーは黄色系のおひさま色です。花帆の実家は長野の花卉農家で、ラナンキュラス等を育てています(*15)。そして、花帆にはふたばとみのりという双子の妹がいます。
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(6)小括
以上、本節では蓮ノ空を含めたラブライブシリーズ5作品の主人公について簡単に見てきました。ここでは、いくつかの観点から各主人公を比較検討していくことにしましょう。
まず、性格や人物像について見ると、穂乃果や千歌が明るく元気で皆を牽引していく存在でしたが、歩夢は当初はやや控え目なポジションでした。この点について、『虹ヶ咲は外伝的作品だから』というのは一つの理由となり得ると思いますが、それだけに還元する必要は無いと思います。穂乃果や千歌のような明るく元気なキャラは勿論魅力的ではありますが、誰もが彼女たちのように最初から振る舞えるわけではありません。
元々はやや控え目なタイプだった歩夢のように、スクールアイドルと出会い、幼なじみの侑と、そしてスクールアイドル同好会の仲間と出会い、ともに泣き笑い、切磋琢磨して少しずつ成長していくタイプの主人公も同様に魅力的です。一方で、せつ菜と出会い、一気にスクールアイドルにのめり込む侑は、物語当初の歩夢と相互補完し合う関係なのかもしれません。この点は『W主人公』という虹ヶ咲ならではと思われます。
同様の点はスーパースターのアニメ1期のかのんにも当てはまります。かのんは、トラウマゆえに人前で歌えないために、大好きな歌の進路に進まず躓き、挫折していましたが、可可と出会い、過ごす中で歌が大好きという気持ちに改めて気づき、そこから少しずつLiella!の同期、そして後輩、ライバル(サニパ、マルガレーテ(後に後輩))と出会い、泣き、笑い、切磋琢磨して成長していきます。
一方で、蓮ノ空の主人公・花帆は明るく、元気で、素直で、他者との距離が近い(他者との距離をすぐに縮め、近づこうとする)性格の持ち主であり、穂乃果や千歌に通じる点があるように思われます。一方で、幼少時は花帆は病弱で入退院を繰り返していたという過去があります。そのような時期を乗り越えた上での、まるで花が美しく瑞々しく咲いたような花帆の笑顔は、見る人、会う人みんなに笑顔をもたらしてくれると思います。
以上から、ラブライブシリーズの『主人公』の性格・人物像には典型例はなく、シリーズが広がる中で様々なタイプの主人公がいて、そして今後もさらにバリエーション豊かになり得ると思われます。
次に、スクールアイドル活動における役割(作詞・作曲・衣装製作)という点では、そのいずれについても中心的な役割を担っていない穂乃果に対して、千歌、かのん、花帆はいずれも作詞を担当しています(かのんはさらに作曲も担当)。一方で、虹ヶ咲はやや特殊で、アニメの中では歩夢(さらには一部を除き他のメンバーも)自身が作詞、作曲を行っている描写は明示的にはなされていないと思われます(*16)。これは、もう一人の主人公である侑が物語の途中から普通科から音楽科に転科し、作曲を担当しているためと思われます。
次にメンバーカラーですが、穂乃果、千歌、かのんはオレンジ系、歩夢はピンク系、花帆は黄色系と、オレンジ系が多いです。そして、主人公のメンバーカラーがオレンジ系の作品は、いずれも『大会としてのラブライブに出場する、アニメ化されている』、『ナンバリングライブのタイトルが○th LoveLive!』という共通点があります(*17)。一方で、色の系統は異なるものの、5色はいずれも暖色という共通点もあります。なお、侑は、仮にそのメンバーカラーが黒だとしても、スクールアイドルではないため例外的な位置付けと思われます。
さらに、親の職業については、その点についての詳細が不明な歩夢と侑を除けば、穂乃果は和菓子屋、千歌は温泉旅館、かのんは翻訳家と喫茶店、そして花帆は花卉農家となっており、自営業が大半を占めます。
最後に、きょうだいの有無について、穂乃果、千歌、かのん、そして花帆にはきょうだいがいます。そして、三姉妹の末っ子である千歌を除き全員長女で妹がいます。一方で、前述のように歩夢と侑にはきょうだいがいるような描写はなく、それぞれ一人っ子ではないかと思われます。以上から、ラブライブシリーズにおける主人公は妹がいることが多いと言えます。
以上、簡単にラブライブ各シリーズの主人公についていくつかの点について比較検討をしてみました。まとめると以下の通りです。
主人公の性格・人物像には典型例はなく、シリーズが広がる中で様々なタイプの主人公がいる。
主人公は作詞を担当することが多い(時に作曲も担当)。
主人公のメンバーカラーはいずれも暖色系(侑はスクールアイドルではないため例外)。
親の職業は自営業者が多い。
主人公は妹がいることが多い。
次節では、これらを踏まえつつ、吟子が次の主人公となりうるかを考えてみたいと思います。
II. 百生吟子は次の主人公になりうるか
本節では、前節までの検討を踏まえつつ、吟子の魅力に様々な角度から迫ります。その上で、吟子は今後蓮ノ空において次の主人公となりうるのかを考えて見たいと思います。まずは、前節でまとめた、ラブライブシリーズの主人公に関する5つの観点から吟子を見てみましょう。
①主人公の性格・人物像には典型例はなく、シリーズが広がる中で様々なタイプの主人公がいる。
⇒吟子は実家が伝統工芸の加賀繍の工房であることもあり、『伝統』を愛する少女であり、学校生活においてはまじめな優等生です。一方で、蓮ノ空の主人公で同じユニット・スリーズブーケの先輩でもあり、明るく元気いっぱいな花帆と比べると、吟子はややおとなしめと言えます。
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②主人公は作詞を担当することが多い(時に作曲も担当)。
⇒吟子は2024年7月に開催されたFes×LIVEで初披露された『月夜見海月』の作詞を1人で担当しています。これは、花帆が2024年1月に開催されたFes×LIVEで初披露された『Special Thanks』で、初めて1人で歌詞を担当したのと比べても早いです。この点については、花帆が1年生の時とは異なり、吟子には梢と花帆という二人の先輩がいたことも要因かもしれません。
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③主人公のメンバーカラーはいずれも暖色系(侑はスクールアイドルではないため例外)。
⇒吟子のメンバーカラーは水色系の『天の原色』であるため、寒色系です。色の系統としては、これまでの主人公達とは対極的と言えます。
④親の職業は自営業者が多い。
⇒現時点で吟子の両親は登場していませんが(スクールアイドルクラブの大先輩(当時は芸楽部)でもある祖母は登場)、吟子の実家は加賀繍の工房であるため、自営業者と言えます。
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⑤主人公は妹がいることが多い。
⇒姉がいる同期の小鈴と姫芽とは異なり、現時点で吟子にきょうだいがいるという話はなく、彼女は一人っ子なのではないかと思われます。
以上、前節で見た5つの観点から吟子を見てみました。①は別とすると、吟子は他の4つの観点のうち2つが当てはまりました。これをどう考えるかですが、これらの観点はあくまでもこれまでの主人公のいくつかの傾向を抽出したものであり、主人公の条件ではありません。したがって、これらの検討だけでは吟子が次の蓮ノ空の主人公となりうるかを考えるには必ずしも十分ではないと思われます。そこで以下では、様々な観点から吟子の魅力を見ていくことにしましょう。
(1)吟子と花帆
ここでは、吟子とスリーズブーケの先輩であり、蓮ノ空の主人公でもある花帆との関係について見ていきます。ただし、この話題自体、掘り下げていけば、ブログ記事を何本も書けるくらいの分量になると考えられます。そのため、ここでは2つの花帆の言葉を簡単に取り上げるに止めます(このテーマについては、改めていつか本格的に記事を書きたいです。)。
①『あたし、先輩だもん!』
見出しに掲げた花帆の言葉『あたし、先輩もん!』。このシンプルな言葉には、花帆の人間性、先輩としての花帆の矜恃、吟子への愛情、全てが詰まっていると思います。
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この花帆の言葉は、かつて蓮ノ空のOGでスクールアイドルクラブの前身・芸楽部に所属していた吟子の祖母が愛し、歌い、吟子も大好きな『逆さまの歌』がスクールアイドルクラブの楽曲リストにないと落ち込んだことを受け、遺されていた過去のスクールアイドルクラブのノートを繙き、ついに『逆さまの歌』が、題名や歌詞を変えながら現在でもスリーズブーケの伝統曲『Reflection in the mirror』として残っていることを突き止めたことに関するものです。活動記録104期第1話でも描かれているように、この事実を突き止めることは相当に大変なこと。吟子も花帆に対して『どうして私に、ここまでしてくれるんですか……。』と尋ねます。それに対して花帆が笑顔で返した答えが『あたし、先輩だもん!』です。
2年生に進級し、『先輩』となった花帆。元気で素直でまっすぐな彼女らしさはそのままに、後輩のためなら、手間暇など考えずに自分のできることを全力でやる。シンプルで力強い吟子への愛に、吟子も心を動かされます。その後、吟子もUR[Reflection in the mirror]百生吟子の2回目の特訓ボイスの中で次のように述べています。
これはただの想像なんだけど、初めてこの歌を改変した人はすごく大事な誰かを精一杯勇気づけたかったのかなって思いました。そんな誰かのために伝統の曲の歌詞まで変えちゃうなんて身勝手ですよね、スクールアイドルって。どうせきっと花帆先輩みたいな人だったんですよ。ふふっ。
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『身勝手』『どうせ』という、どちらかというとマイナスなイメージの言葉が出てきますが、引用した特訓ボイス2回目の文章全体からは、嬉しそうに微笑む吟子の姿が目に浮かびます。その吟子の笑顔は、『身勝手』な『花帆先輩みたいな人』である名前も知らないスクールアイドルクラブの先輩と、今、吟子と一緒に歩んでいる『花帆先輩』がいたからこそ生まれたのでしょう。
②『大丈夫!』『もちろん!』『一緒に歌ったら楽しいじゃん!』
2024年12月1日に名古屋で開催された蓮ノ空3rdライブツアーのスリーズブーケ公演にて、梢、花帆、そして吟子による『水彩世界』の104期ver.が初披露されました。その後、昼公演の幕間映像において、『水彩世界』を歌った後の舞台裏のスリーズブーケ3人の様子が映し出されました。その中で吟子は、自分が梢と花帆にとって大切な曲である『水彩世界』を歌って良かったのか気になっていることを梢に打ち明けます。同時に、吟子は、『水彩世界』を一緒に歌っても良いのか尋ねたところ、何度尋ねても、花帆が『大丈夫!』『もちろん!』『一緒に歌ったら楽しいじゃん!』しか言わないとも困ったように梢に伝えています。
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これに対して梢は、『花帆なりに考えての発言だとは思うのだけれど』と吟子に述べますが、花帆がどのように考えて発言したかについては幕間映像では必ずしも詳らかにはされていません。そこで、ちょっと考えてみたいと思います。先に取り上げた花帆の『あたし、先輩だもん!』と同様に、この吟子からの問いかけに対する花帆の答えも実にシンプルです。勿論、花帆にとっても『水彩世界』は、スクールアイドル活動を始めた自分と一緒に歌うために梢が作ってくれた大切な曲のはずですが、花帆の言葉には、吟子と一緒にこの曲を歌うことに対する迷いが微塵も感じられません。
一人のファンの想像でしかありませんが、花帆の『大丈夫!』と『もちろん!』の背景には、吟子と一緒に大切な曲を歌えるという素直な喜び、そしてきっと梢も吟子と一緒に歌うことを賛成してくれるという確信が、そして『一緒に歌ったら楽しいじゃん!』の背景には、104期になり、スリーズブーケが吟子を加えて2人から3人になり、一緒に歌ってきたことで実感している、3人で歌う楽しさをこの大切な曲でも味わいたいという願望があるのではないでしょうか。
吟子的には、梢が語ってくれた『水彩世界』をはじめとする自分が作った曲に対する思いのように、『水彩世界』を一緒に歌いたいと考える理由を花帆からも聴きたかったのではないかと思われますが、さやかがかつて「花帆さんは考え方がシンプル……ではなく、その素直」と評したように(*20)、大切な曲を3人で歌うことの是非への花帆の答えもシンプルで素直なものでした。
さて、本項目では、吟子と花帆の関係について、花帆が吟子に対して述べた言葉という限られた点からではありますが、考えてみました。どちらかというと、吟子というよりは花帆の話がメインになったかもしれませんが、吟子がシンプルで力強い花帆の愛を目一杯受けている点はお示しできたかもしれません。
(2)蓮ノ小三角
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『蓮ノ小三角』―吟子、小鈴、姫芽のスクールアイドルクラブの104期生3人が、2024年10月の活動記録104期第7話の中で3人で行動し、絆を深める中で自分達の二つ名として名付けたものです(*21)。『蓮ノ小三角』の元ネタは、梢、綴理、慈の102期生3人の二つ名『蓮ノ大三角』です。この『蓮ノ小三角』に込められた想いは、小鈴が次のように述べています。
ねえねえ、小三角ってどこにあるのかなぁ?
...ないなら作っちゃおうよ!あの辺の星とか、どうかなぁ!我ら「蓮ノ小三角」!なんて、まだまだ大三角には程遠いかもしれないけど、吟子ちゃんと姫芽ちゃんと、これから3年間一緒に成長していくんだ!
今後3年間の決意をまっすぐな言葉で力強く述べる小鈴。一方で、『蓮ノ小三角』については、吟子も想いを述べています。
えーと...「蓮ノ小三角」という名前について、少し、言い訳してもいいでしょうか...。今回も言い出したのは姫芽で、小鈴もすぐに受け入れるところまでは、いつもと同じだったんですが...でも、私も流されるんじゃなくて、ちゃんとすぐに賛成しました。「蓮ノ小三角」という名前には、姫芽も小鈴も、それぞれ思うところはあるでしょうけど、私に関して言えば...。今はまだ重すぎる名前でも、これから2年生、3年生になって、この名前が似合うような3人になれればいいな、と思ってます。なんというか...これからも頑張るぞっていう、決意表明というか...。「ミライへの約束」みたいなものだと受け取っていただければ、と。
吟子は小鈴と比較して長めに『蓮ノ小三角』に対する想いを述べていますが、その核心部分はほぼ同じで、吟子・小鈴・姫芽の3人でこれからの3年間の高校生活で成長し、『蓮ノ小三角』の二つ名が似合う存在になりたいと願っていると思われます。一方で、姫芽は『Link to the FUTURE』のカードの2回目の特訓ボイスで次のように述べています。
小鈴ちゃんも吟子ちゃんも、アタシのことをわかってくれる、素敵な、仲間だしね!
小鈴、吟子と違い、姫芽は『Link to the FUTURE』のボイスの中では直接的には『蓮ノ小三角』に言及していません(先に引用した『Link to the FUTURE』の吟子2回目の特訓ボイスによると、「言い出したのは姫芽」とのことですが…。)。それでも、ここで引用した姫芽の言葉には、吟子と小鈴との強い絆が感じ取られます。
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上記で引用した、『りんく!らいふ!ラブライブ!』の一コマを見ると、吟子はまだ少し『蓮ノ小三角』のポーズを取ること等に少し照れがあるようです(だが、それが可愛い。)。しかし、先に『Link to the FUTURE』の特訓2回目のボイスで吟子自身が述べているように、彼女自身、『蓮ノ小三角』という名前についてはこの先の未来への決意を抱いています。果たして、『蓮ノ小三角』はこれから私達にどんな姿を見せてくれるのでしょうか。
その一つが、2024年12月21日・22日に両国国技館で開催されたファンミにおいて初披露された未発表新曲であり、104期生の学年曲『恥は人生のかき捨て』だと考えられます。シャッフルユニットの3曲が披露された後の突然のこの新曲の初披露に、度肝を抜かされた人は私も含め少なくないと思われます。また、この曲自体もこれまでの蓮ノ空にはない雰囲気の曲であり、そしてこれまでの蓮ノ空にはないタイプのパフォーマンスだったと思います(なお、『矢島美容室』を思い出したという声も、ファンミ後の感想のツイートで結構見かけました。)。早く音源が欲しいです!
このように、今後への期待しかない『蓮ノ小三角』。【リアルタイム性】が特徴の蓮ノ空だからこそ、この『蓮ノ小三角』の今後の成長と展開を見続けたいと切に思います。
(3)ライバルの存在
μ'sにとってのA-RISE、AqoursにとってのSaint Snow、Liella!にとってのSunny Passionとウィーン・マルガレーテ(マルガレーテはアニメ3期でLiella!に加入)…。ラブライブシリーズには、ストーリーを彩ったライバルの存在がありました(*25)。
一方で、蓮ノ空のストーリーの中では、比較的最近までライバルの存在は少なくとも可視化されていませんでした(*26)。しかし、104期10月の活動記録104期第7話において、ついに蓮ノ空にとってのライバルが登場します。それが瑞河女子高等学校(以下、瑞河女子)の1年生・桂城泉と、同校の附属中学に在籍するセラス・柳田・リリエンフェルト(花帆の院友・『せっちゃん』。以下、セラス)です。
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泉とセラスの2人は、2024年10月の活動記録104期第7話の中で、蓮ノ空と相見えるのはラブライブ決勝といった旨を述べていたため、蓮ノ空と瑞河女子はラブライブの地方大会では違うブロックに所在する高校と考えられていましたが、2024年12月の活動記録104期第9話において、その学校名、同校がラブライブの地方大会では中部地区に属すること、そして同校が泉一人で中部地区を制し、ラブライブ決勝に進むことが明らかになりました。
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そして同時に、泉が『皆の夢を背負っている』と、そしてセラスは泉に対して、『お願い、勝って』、『私を―この学校のスクールアイドルに、して。』という意味深なセリフを述べています。この点について、セラスは瑞河女子の附属中学の生徒であるため、現在中学3年生のセラスが春に同校に進学し、2年生になった泉と一緒にスクールアイドル活動をすることに何ら支障はないと考えられますが、どうやらそれを阻みうる事情があるようです。色々と考える余地はありそうですが、これ以上は本稿の主題から外れそうなので止めておきます。
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本稿を執筆している現時点で、蓮ノ空と瑞河女子が相見えることになるラブライブ決勝の結果、そしてそれを受けた泉とセラス、さらには瑞河女子がどうなるのかはわかりません。その上で、結果がどうあれ、今年の4月になれば吟子達104期生は2年生に(そして花帆達103期生も3年生に)進級します。そして泉も同じく2年生になり、セラスは高校1年生になります。その場合、今回も含め104期生は3回泉と、セラスとは2回ライバルとしてラブライブ決勝で対峙する可能性があります。
その中でも、『はじめに』で言及したように、活動記録104期第7話において、吟子は泉と対峙して強く言葉を交わしており、103期生の中では、泉との因縁は最も強いと考えられます。一方で、吟子も泉を嫌っているというよりは、感謝をしつつもそのやり方が気に食わないようで、その複雑な気持ちを『はがいしい』(もどかしい、悔しい)(*27)という金沢弁で表現しています(*28)。なお、セラスとの関係では、セラスは花帆が幼少時に度々入院していた頃の『院友』である一方で、吟子は花帆の直系の後輩であり、友達でもあります。2人はそれぞれ花帆と強い繋がりを持っており、その2人がライバルとして対峙する姿は、一人の蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさんとしては非常に見るのが楽しみでもあります。
このように、泉、そしてセラスというライバルとの関係についても、現在の104期においても、そしてその先でも吟子は大きく関わりを持つのではないかと思われます。
(4)Link! Like! Order!
「Link! Like! Order!」は、スクステにおいて楽曲でセンターのキャラが1ステージ中で一度だけ使用することができる能力「スペシャルアピール(SA)」の一つです。このSAは、103期冬限定のカードであるUR[Link to the FUTURE]日野下花帆で初登場しました。具体的には、このSAを使用すると画面に各メンバーのスキルの使用に伴いランプが点灯する装UIが登場し、その後重複せずに102期生及び103期生6人全員のスキルを使用すると、ハードキャプチャやセクションラブアトラクトが発生するというものでした。
なお、このSAは2024年12月25日のこのカードを含む昨年冬に登場したカードの性能調整により、メンバーのスキルの使用は6人全員使用の前に、あるメンバーのスキルの使用が重なっても条件は達成できるものになりました。
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この『Link! Like! Order!』をSAとして使えるキャラクターは2024年10月のライブグランプリサークル対抗戦までは、花帆だけでした。しかし、当該ライブグランプの後に開催されたFes×LIVEにおいて104期生を加えた9人での『LINK to the Future(104期ver.)』の披露後に、ライブグランプリのプライズとして配布されたカード、UR[LINK to the Future]百生吟子のSAにおいて、花帆以来の『Link! Like! Order!』である『Link! Like! Order! 9』が実装されました。こちらは、基本的な部分は花帆と同様ですが、条件達成のために9人の各メンバーのスキルを重複して使用ても問題ないという点が画期的です。ゆえに、花帆よりも容易に条件達成ができました。また、その効果にはAP回復速度上昇も含まれています。そのため、吟子センター曲限定ですが、非常に有用なSAです。
このような『Link! Like! Order! 9』というSAが吟子に与えられたことはどのような意味を有しているでしょうか?
吟子に『Link! Like! Order! 9』が与えられるまでは、蓮ノ空メンバー全員のスキル使用により発動するという、特別なSAを持つキャラは花帆だけでした。その理由を考えるのなら、それは、花帆が蓮ノ空の主人公であることに求められると思われます。そして、104期生の『Link to the FUTURE』カードが登場し、吟子に花帆に続いて、メンバー全員の9人のスキルを使うことで効果が発動する特別なSA『Link! Like! Order! 9』が与えられたことは、吟子が花帆とスリーズブーケの先輩後輩関係であること以上の意義があると考えられます。それは即ち、吟子が蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブのユニット・スリーズブーケを継いでいくということだけではなく、蓮ノ空の主人公をも継いでいく可能性を示唆しているのではないでしょうか。
しかも吟子の『Link! Like! Order! 9』は―現在は性能調整により、花帆の『Link! Like! Order!』も吟子と同じく、あるメンバーのスキルを重複使用しても条件達成は妨げられないようになりましたが―メンバー全員がスキルを重複無く使わないとならないと言う制約もなく、さらに現環境にマッチしたAP回復速度上昇も効果に含まれており、花帆よりも進化したSAと言えます。主人公の花帆だけが持っていたSAをより進化した形で受け継いだ吟子が、SAだけでなく、主人公としての位置づけも受け継いでいく…。『Link! Like! Order! 9』は蓮ノ空のストーリー上のものではなく、スクステの能力の話であるとはいえ、あり得ない話ではないように私には思われます。
さて、ここで12月26日に104期冬限定ガチャvol.2で実装されたUR[KEY of Like!]藤島慈のSAについて簡単に言及したいと思います。
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このカードのSA『KEY of Link!』は『Link! Like! Order!』2種と同じく、蓮ノ空メンバー全員のスキル使用を条件として発動するハートキャプチャ9連撃です。こちらは、2024年12月のライブグランプリ・サークル対抗戦のプライズのUR[KEY of Like!]乙宗梢でブーストをかけ、消費APを下げ、この慈のスキルでラブアトラクトを上げれば大量のスコアを稼げる強力な能力です。
『KEY of Link!』の登場により、メンバー全員のスキル使用により効果が発動するSAは実質2種類目となります。これにより、『Link! Like! Order!』シリーズを含むメンバー全員のスキル使用により効果が発動するSAは必ずしも主人公に固有のものではないことになります。それでもなお、『Link! Like! Order!』シリーズは花帆と同ユニットの直系の後輩である吟子にのみ与えられたSAであることは変わりありません。
なお、本項目の最後に、取り上げた『Link to the FUTURE』(104期ver.)と『KEY of Like!』は、それぞれ蓮ノ空が今年度ラブライブ地区予選、地方大会で歌った曲であり、2025年1月4日-10日に開催のライブグランプリ個人戦のステージAとステージCの課題曲である点を指摘したいと思います。今回の個人戦は、3rdライブ横浜公演Day1当日の未明まで開催されます。そして、今回の個人戦のロゴは、お馴染みのラブライブシリーズのロゴと同じフォントです。その意味するところは…、横浜公演でわかるかもしれません。
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(5)吟子と方言
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本項目での検討は、これまで本節の各項目の中で考えてきた蓮ノ空のストーリーやキャラクターに関するものとは異なり、吟子のCVである櫻井陽菜さん、そして実際の金沢の街やそこで暮らす人々を考慮したものです。先に述べたように、蓮ノ空が【リアルタイム性】を特徴とし、我々と同じ時間軸で、そして実際の金沢の街で吟子を含むキャラが暮らし、日々を過ごしているという設定であることを考慮すると、このような視点での検討にも一定の意義があると思われます。
吟子は現在の蓮ノ空のメンバーの中で唯一金沢弁を話すメンバーです。この点については前稿『百生吟子・方言・蓮ノ空』の中で詳細に考えましたので、ご関心のある方は是非そちらをご参照いただければ幸いですが(*30)、その中で私は、蓮ノ空のストーリーの中で金沢弁を話す吟子のCVを、金沢出身の声優である櫻井陽菜さんが担当していることの意義について考えました。そして、その意義の一つとして、次のことを提示しました。
金沢に生まれ、金沢を愛し、金沢の伝統や伝統工芸を愛する吟子を、同じく金沢に生まれ、金沢を深く愛する櫻井陽菜さんがCVを担当していることが浸透すれば、地元出身の櫻井陽菜さんを応援する気持ちと相まって、金沢の街と人々に蓮ノ空がより親しまれる可能性を高めるのではないでしょうか。
この結論は、吟子が蓮ノ空の主人公となりうるかどうかに関わらず変わりません。一方で、もし吟子が花帆に続いて主人公となるとすれば、どのようなことがありうるでしょうか?
現在の主人公である花帆は、長野県から金沢にある蓮ノ空女学院に入学した女の子です。その花帆は、蓮ノ空女学院で先輩や同級生と出会い、スクールアイドルとなり、我々蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさんと同じ時間軸を過ごし、仲間と切磋琢磨する中でスクールアイドルとして成長し続けてきました。
そして、もし花帆に続いて、金沢で生まれ育ち、金沢弁を話し、地元金沢の伝統工芸である加賀繍の若き担い手でもある吟子が蓮ノ空の次の主役となることになれば、吟子のCVを務めているのが地元金沢出身の声優・櫻井陽菜さんであるという事実はより大きな意味を持つと考えられます。即ち、地元金沢出身の声優・櫻井陽菜さんが地元を舞台とした大きなコンテンツである蓮ノ空において主役を務めるとなれば、地元金沢の人々にとっては、櫻井陽菜さん、そして吟子を通して蓮ノ空への関心が高まり、上記引用で指摘したような、「地元出身の櫻井陽菜さんを応援する気持ちと相まって、金沢の街と人々に蓮ノ空がより親しまれる可能性」がより高まるのではないかと考えられます。
本項目の最後に、櫻井陽菜さんが百生吟子役を務めることになったことについて述べていたことを、前稿に引き続き引用したいと思います。
百生吟子ちゃんと一緒にスクールアイドルを出来ることが、本当に嬉しいです…!性格や考え方、そして特に金沢への並々ならぬ愛を持っている点が本当に運命なんじゃないかと思うくらいに自分と似ていて、「絶対に私がこの子を1番近くで応援したい!」と思っていました。
(6)小括
以上、本節ではI節で抽出した要素に加えて、5つの観点から吟子の魅力について考えてみました。限定された考察に基づくものではあり、かつ『吟子と花帆』は花帆要素強めで、『蓮ノ小三角』は104期生3人の話が出ておりますが、私なりの現時点の結論としては、本節において考えてきた内容を総合的に考慮し、吟子には花帆に次いで主人公となりうるだけの可能性、魅力はある、と述べておきたいと思います。
一方で、本節で考えてきた吟子の魅力はそのごく一部にすぎません。実際、本稿の執筆をする中で、今後考えてみたいことがたくさん出てきました(例えば、104期スリーズブーケ楽曲の数々が挙げられますが、これは稿を改めてしっかり考えてみたいです。)。今からとても楽しみです。
おわりに
以上、本稿では、蓮ノ空の【リアルタイム性】を起点として、吟子が次の蓮ノ空の主人公になりうるかという問いを立て、吟子の魅力についていくつかの観点から考えてきました。前節で述べたように、現時点の結論として、私は吟子は花帆に次いで主人公になりうるだけの可能性、魅力はあると考えています。
一方で、本稿が―『蓮ノ小三角』に関する項目を除き―考察を行っていない、吟子の104期生の同期である小鈴も、そして姫芽も、吟子と同じようにたくさんの魅力、そして可能性を持ったキャラクターだと私は思っています。でも、本カウントダウン企画において彼女達の魅力を語るのは私ではなく、明日と明後日に控える徒町小鈴と安養寺姫芽の担当をするお二人です。お二人が語る小鈴と姫芽の魅力を楽しみにして、本稿を締めくくりたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
【付記】本稿は、2025年1月7日18:00公開の活動記録104期生第10話公開前までの情報に基づくものです。
(了)
【脚注】
(*1) 拙稿『百生吟子・方言・蓮ノ空』、https://note.com/hiromimi_914/n/nbcec5cfe7807
(*2) 『ピクシブ百科事典』、「高坂穂乃果」のの項目の「人物をずっと眺めてどう感じた?」の見出しを参照、https://dic.pixiv.net/a/%E9%AB%98%E5%9D%82%E7%A9%82%E4%B9%83%E6%9E%9C 。なお、μ'sにおいては、作詞は園田海未、作曲は西木野真姫、衣装製作は南ことりが主に担当しています。
(*3) 千歌は、自らを『私は一応リーダーの高海千歌』と謙遜して自己紹介します。
(*4) Aqoursでは、千歌が作詞を、桜内梨子が作曲を、そして渡辺曜が衣装制作を主に担っています。
(*5)『ピクシブ百科事典』、「高咲侑」の項目の「概要」の見出しを参照、https://dic.pixiv.net/a/%E9%AB%98%E5%92%B2%E4%BE%91
(*6) 出席番号順に、澁谷かのん、唐可可、嵐千砂都、平安名すみれ、葉月恋。
(*7) このメンバーの学年が上がり、年度を跨いでストーリーが進行する方式は、蓮ノ空にも受け継がれています。
(*8) なお、虹ヶ咲はアニメ2期にOVA、さらに劇場版完結編3部作がまだ続いているため、ストーリーはまだ完結していません。
(*9) 拙稿『ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空』、https://note.com/hiromimi_914/n/nd81592f039f3
(*10) ラブライブシリーズにおける他のクォーターのキャラとしては、μ'sの綾瀬絵里が、祖母がロシア人のクォーターです。
(*11) 『Link!Like!ラブライブ! FIRST FAN BOOK』(アスキー・メディアワークス、2023年)19頁。
(*12) 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ2ndライブツアー『Blooming with○○○』パンフレット(2024年)23頁の楡井希実さんのインタビュー記事より。
(*13)『Link to the FUTURE』については、UR[Link to the FUTURE]日野下花帆の2回目の特訓ボイス(https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBLink%20to%20the%20FUTURE%EF%BC%BD%E6%97%A5%E9%87%8E%E4%B8%8B%E8%8A%B1%E5%B8%86)、そして『Special Thanks』についてはUR[Special Thanks]日野下花帆の1回目の特訓ボイスを参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBSpecial%20Thanks%EF%BC%BD%E6%97%A5%E9%87%8E%E4%B8%8B%E8%8A%B1%E5%B8%86
(*14)UR[Bloom the Dream, Bloom the Smile!]徒町小鈴の1回目の特訓ボイスを参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBBloom%20the%20smile%2C%20Bloom%20the%20dream%21%EF%BC%BD%E5%BE%92%E7%94%BA%E5%B0%8F%E9%88%B4
(*15)『Link!Like!ラブライブ!はじめてガイドブック』前掲注(*11)8頁。
(*16)一方で、虹ヶ咲アニメ1期第6話では、天王寺璃奈が自宅でパソコンを使って作曲をしているような描写があります。
(*17)蓮ノ空も大会としてのラブライブに出場していますが、ナンバリングライブのタイトルは『○th LoveLive!』とはなっていません。
(*18)UR[Reflection in the mirror]百生吟子の2回目の特訓ボイスの書き起こしは、以下を参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBReflection%20in%20the%20mirror%EF%BC%BD%E7%99%BE%E7%94%9F%E5%90%9F%E5%AD%90
(*19)https://youtu.be/BsqYhyTK7lw?si=hXL0h8RkGOZFamc_
(*20)「Kawaii ni susume」『Link!Like!ラブライブ!FIRST FUN BOOK』・前掲注(*11)49頁。
(*21)UR[Link to the FUTURE]徒町小鈴の入手時ボイスの書き起こしは、以下を参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBLink%20to%20the%20FUTURE%EF%BC%BD%E5%BE%92%E7%94%BA%E5%B0%8F%E9%88%B4
(*22)同上。
(*23)UR[Link to the FUTURE]百生吟子の2回目の特訓ボイスの書き起こしは以下のHPを参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBLink%20to%20the%20FUTURE%EF%BC%BD%E7%99%BE%E7%94%9F%E5%90%9F%E5%AD%90
(*24)UR[Link to the FUTURE]安養寺姫芽の2回目の特訓ボイスの書き起こしには、以下のHPを参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBLink%20to%20the%20FUTURE%EF%BC%BD%E5%AE%89%E9%A4%8A%E5%AF%BA%E5%A7%AB%E8%8A%BD
(*25)虹ヶ咲は本稿で取り上げるラブライブシリーズの中では唯一、主要メンバー(虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)は大会としてのラブライブには出場しません。そのためか、特定のライバルグループ等は存在しません。その代わりに、虹ヶ咲のメンバー同士の関係を表す言葉として、『仲間でライバル』と言う言葉があります。基本的にソロでステージに立つ虹ヶ咲のメンバーは、大切な仲間であるとともに切磋琢磨し合うライバルでもあります。それが鮮明に現れたのが、劇場版完結編第1章でメンバーが出場するスクールアイドルグランプリです。この大会の全貌やどんな物語が待っているかはまだわかりませんが、続編の公開が楽しみです。
(*26)かつて102期の頃に綴理が他校からスカウトを受けたことがあり、さらに103期でも梢に対してスカウトの話がありましたが、その高校が蓮ノ空のライバルとして登場することはありませんでした(活動記録103期第8話)。
(*27)「はがやしい』については、『新 頑張りまっし金沢ことば(監修 加藤和夫)』(北國新聞社、2009年)36-37頁を参照。同書によると、「はがやしい」や「はがいしい」については、「はんげしいー」「はっがーい」という別の言い方が「「はがいしい」に取って代わろうとしている。」とのこと。だとすれば、吟子は伝統的な方言を使い続けていると言えます。
(*28)UR[Link to the FUTURE]百生吟子の獲得時ボイスを参照。ボイスの文字起こしは、以下のHPを参照。https://wikiwiki.jp/llll_wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89/%EF%BC%BBLink%20to%20the%20FUTURE%EF%BC%BD%E7%99%BE%E7%94%9F%E5%90%9F%E5%AD%90
(*29)『新 頑張りまっし金沢ことば』・前掲注(*27)・134頁。同書によると、『まいどさん』は「日常会話ではあまり使わなくなったが、近江町では今も商いの言葉として定着している。」とのこと。吟子の実家は加賀繍の工房であり商売をしているため、吟子も自然とこの言葉を使うのかも知れません。
(*30)拙稿『百生吟子・方言・蓮ノ空』・前掲注(*1)。
(*31)リスアニ!「「ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」2ndミニアルバム『Dream Believers(104期 Ver.)』リリース記念・櫻井陽菜、葉山風花、来栖りんインタビュー!」(2024年5月20日)、https://www.lisani.jp/0000257555/