『一年以内に結婚したいあなたへ』
こんなドキッとするタイトルの本を読んだ。遠くに住む友人とオンラインで結婚やら何やら色々話してたら、この本の存在を教えてくれた。
これはミカミ・ポーラさんという占い師がYouTube配信の中で結婚の話をした時に推薦していたのだ。既に絶版なのかプレミア価格ではあったけど、まぁきっと何か学べることがあるのだろうと手に取ってみた。
結婚なんて・・・だいぶ時期を逃しているけどできるもんならしてみたい。ただ、自分には婚活目的で初対面の人とやり取りするのがどうにも苦手で、自分のペースでやりたいことにひたむきに生きてきたら時間が経ってしまった。そして、占いでは男運がない、家庭に入るよりも社会に尽くせと言われたりもしてる。
が、この中年期で、全てを一人でこなして自分のためだけに生きていくのは辛いものがあるなぁとひしひしと感じている今日この頃。自分がこの状況を作ったんだよなとも。せっかくなので備忘録としても自分を顧みるためにも本の感想を記しておこう。
※ネタバレ含みます。
さて、この本について。日本語タイトルは表題の通りだけど、「男をつかまえて結婚するにはどうしたらいいかを説いたものではない」とある。作者のジョン・T・モロイ氏はアメリカのビジネス・コンサルタント。アメリカで1980年代後半から10年以上、数千人の男女にインタビューをした情報を元に傾向と対策をまとめたような本。
舞台はアメリカ、そしてSNSは愚かまだネットがほぼないような環境での調査なので現代日本にハマらないところもありそうだけど、場所と時間に関係なく共通してるんだろうなと思わされることも多々載っていた。日本でいう婚姻届を出す先でインタビューしているのも面白い。
チクチクと指してくるアドバイス
本書は冒頭から、統計にみる、「結婚に関する12の掟」とか、六つの発見とか読みやすくロジカルに整理されている。中でもいくつか印象的だったところを。印象的というのは、自分に欠けていたり、何かしら感じることのあることなんだ。
調査を通して発見されたこと。まず「結婚できる女性は結婚に執着している」こと。結婚する女性は同棲やらの結婚以外では満足しないし、結婚するために行動を起こしている。そして結婚できた彼女たちは先の見えない付き合いに時間を浪費しない、そうだ。
思えばその通り。何だけど、自分のような天邪鬼には欲しいものを欲しいと求めるのはなかなか簡単ではないのだ。と言い訳したくなる。
そして結婚できた女性は、「男性を愛するよりもはるかに自分自身を愛していた」。
これにはカツーンときました。自己肯定感とか、自分を大事にするとか、よくいうけど。昔とても私を大事にしてくれたパートナーには、よく「自分自身をそんなに攻撃するんじゃない」と気づかせてもらったことがある。愛情不足で育ったからなのか、私は「自分は(他の大勢の人と同じく)幸せになるべき存在なのだ」と気づくのが本当に遅かった。結婚云々の前に自分自身の精算しなければならないことがあまりにあり過ぎた。
だけど、自己愛は自信にもつながるし、ちょっとしたことで不安になったりすることもなくなるんだろうなと今なら思う。
「時間は独身女性の敵である」。20代後半になったら真剣に相手を探し始めるべし。
異論ありません。ただ、パートナーにはよるけど、結婚とは自由がなくなるものだと認識していたし、相手がいつも一緒を求める人だと自分のことに真っしぐら、とはいかなくなる。という言い訳で、私は結婚に超適した相手を適齢期で離れてもらったことがある。この我の強すぎる自分自身はどうしようもない。
「あなたの態勢が整ったからといって彼もそうだと思ってはいけない」。若い女性が勘違いしやすいそう。この勘違いは女性あるあるです。そして結婚したいなら結婚を決意する年齢に達した男性と付き合うべし、と。
この本はプロセス別、段階に分けて解説とアドバイスをまとめてくれているが、読み進めるうちに、結構スキルが必要だな、私は自分をここまで変えられるか・・と感じるようになったのも正直なところ。
もう一つ、参考になったのは、「家事をしない方が、家事をする女性よりも男性から尊敬される」こと。
これは家事を含めて、尽くす女は大事にされないということなんだろう。自分を犠牲にしてまで相手に尽くす女は相手から尊敬されない、これでは召使いになってしまう。自分を大事にしてほしい、と要求する女性の方が結婚に至る可能性が高いという。
私も尽くすタイプのスタンスだった。そもそも世話好きだから、肝に銘じておこう。
知って損なし、オトコの心理
私には生まれ持って男性の星が入っている(占い)とか、日本人男性には向いてないとか、行動が男勝りだとか、色々言われてきた。自他ともに認める要素はあれど、ことリレーションシップにおいての感情面や心理面では結構男っぽくはない。そしてそれを理解しないとこの先も色々うまくいかないのではと思うようになった。
メンヘラよろしく感情の豊かな女性は恋愛においては不安を募らせて、キーーっと感情的にはやとちりしてしまう。この「感情」がとにかく厄介なのだ。。
本書には男性側の取材結果も書かれているが、「男性は外見よりも人柄に惹かれている」ことが明らかになった。外見はもちろん大事だけど、結婚相手についていえば、初めて会った時でも他の人と違うと思わせるのは人柄なのだと。花嫁の自慢をする男性の話が挙げられているが、男性は女性が思うほど浅はかではないという。
確かに、これまで男性中心に取材をしてきたけど、自然とパートナーを褒め、いかに自分を配慮してくれたかを漏らしている方も多かった。夫婦において、妻の影響力が大きいことも感じさせられた。
それから、女性側が覚えておいた方がいい男女の違い。「男性は定期的にデートをするようになっても、はっきりした態度表明してないうちはまだ気安い付き合いだと思っている」。女性が時期尚早に真剣になると、男性は別れを切り出すこともある。付き合いはじめた程度で将来のことを口にしてはあかん。
私は待つのが苦手だ。人のペースに合わせるのが苦手だ。基本的に恋愛においては女の方がせっかちだと思う。ここはネガティブケイパビリティの力を培えってことですね。
本書で一番印象的だったのは、結婚についての男女の認識の違いである。何年も付き合って、女性が結婚の話を持ちかけると「結婚をするつもりはない」という男性。なぜ早く言ってくれなかったのかと問うと、男性陣は「聞かなかったじゃないか」と答える。端的にいうと、男性は結婚を夢見ていない、考えたことがないことが大多数だ。女性は子供の頃から結婚について考えているというのに。
「結婚を考えたことがない」は男には事実、女には拒絶である
そして付き合っている女性が一番憤慨するのが「結婚のことはあまり考えてない」というワード。これに女性が憤慨してパッタリと連絡を取るのをやめたり、キレて物を部屋から捨てたりするエピソードが綴られている。中には親族の結婚式にカップルで出席して、女性側が結婚を考えてるかと聞いたところ、「考えたこともない」と答えた男性の逸話も。女性は気付けば式場からいなくなり、電話にも出ず、部屋をノックしても出てくれず、警察にまで通報されている(婚約指輪と謝罪文を郵送し事なきを得た)。
この内容が一番面白かったけど、女性側は男性がいう結婚は「考えたことがない」という言葉を「君を愛していない。結婚するつもりもない」という拒絶と受け止めている。ただ、男性にとっては単なる事実であって、「この先君と結婚しない、愛していない」とは言っていない。もう一つのワード、「準備ができていない」も女性にとっては拒絶だけど、その内訳は本当に特定の事情がある人もいるけど、多くは十分なお金がないから。男性はやはり経済的な責任を感じるものらしい。そこは時代が進んだ今でも男と女の違いな気がする。
付き合ってるカップルはやはり女性側からの働きかけがないと結婚は遅まる一方だという感触は得たけど、愛する人とは結婚に踏み切るということも学んだ。この状況で女性は男を追い詰めてはいけない。冷静に考えればわかるけど、当事者としてはそう上手くことを運べない自信が私にはある。
ペラペラと本をめくりながらいくつかピックアップしたけど、改めて冷静に男女の違いやら女性が取るべき行動が示されて興味深かった。きっと自分は間違いだらけだったんだろうなーと思いつつ、時間という敵にも敗北しながら、そこまでして結婚したいのかという疑問も浮上する。ただこうして書いていると人生どん底って気分でもなくなる。
現代日本の結婚について少し
現代の恋愛離れ・結婚離れが注目を浴びている。煩わしいとか、経済的事情とか色々あるけど、やっぱりかつての就職のように時期がきたら結婚するものではなく、今は自分でしなくてはならないのが大変じゃと思う。なんて呑気に言えるのは上の世代の苦労を経験してないからだ。
独り身を貫いた昭和初期の生まれの女性が、「独りというのが恥ずかしかった、昔は結婚しないなんてあり得ない。離婚した出戻りなんて表を歩けなかった、今とは全然違う。でも私には何にも変え難い自由があった」というのを聞いたことがある。
そして、最近の結婚に関する読売新聞の記事では、社会学者の方が、「男性は圧倒的にルックスと収入が高い人が結婚する」と言っている。残酷だ。そして、「女性は容姿と収入、そして学歴もほぼ関係ない」とも。女性は「運」! なのだという。私の周りの仕事に邁進する女性はそんな運が入り込む余地がない。ただ気づけば時間が経っている、という人もよくみかける。
一度だけ結婚相談所に試しに話を聞きにいったことがあるが、男性は正社員のみ、女性は家事手伝いでも会員になれると聞いた(学者の結果と合致)。私の周りには非正規で魅力的なオトコも沢山いる。このアンフェアなシステムを受け入れる気にはならなかった。
持論が強いのが私の長所で短所なのだ。自分を失ってまで欲しいものは何一つない。そう思って長渕剛の「逆流」を熱唱しながらここまで生きてきたのだ。嗚呼、桜島はガチンコだった。いや、その話はここではよしましょう。
そうはいっても、自分を失わずとも柔軟になればいいのだと思えるほど年輪も刻んできた。こうして本を読んで自分を顧みるのは悪くない。私はあまりに感情で物事を、恋愛を考えてきた。そう気づけただけでも前進だ。私にもみなさんにも良い「運と縁」が巡ってきますように。