お散歩物語 巡り会う人たち
day1
僕は今日もお散歩にでる。
行き先は決めずに歩く。
風の向くまま、気の向くまま。
すると、小さな男の子が1人、道端にしゃがんでいる。
『何をしているの?』
『ジメンと遊んでるの』
よく見ると男の子の前には本当に小さな小さな小石が並べてある。
『それはコンクリートが削れたものだね』
『うん。きっとこのジメンから取れちゃったんだ』
『もっと他にもちゃんとした石あるんじゃない?』
『ううん、僕はこれでいいの』
近くにはまさに小石という小石が転がっている。
『このジメンはジメンじゃないの。もともとここにはいなかったの』
『・・・そうだね』
『だから遊んでるの』
『どういう事?』
『自分たちでここにきたんじゃないの。僕たちのためにここでジメンになってくれたの。でも、この子たちははぐれちゃった』
男の子は小さな小さなコンクリート片を手でこね、下を向いたまま僕に説明する。
『ちがうものにされて、つれてこられて、ジメンになってくれたの。はぐれちゃったら寂しいからあそんでるの』
『そっかぁ』
『うん』
そう言って男の子はまた新たなジメンを拾った。
ジメンをコロコロ転がしながら遊ぶ男の子を、僕はしばし眺めていた。