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SAKURA
毎年、なぜか父の日が近づく頃に、両親のことを思い出してる。
ん、でも、「思い出す」なんて言い方はおかしいのかもしれない。両親ってのは「思い出す」ような遠い存在じゃなく、もっと近くにいるようなものなんじゃないの?と思うけど、私にとって両親は、時々「思い出す」存在。
40年ちょっと前、私は新潟県の田舎町に生まれました。
大学進学までの18年を両親と共に過ごしたけれど、その後、山形の大学へ進学して一人暮らしを始めてから、東京へ就職、福岡へ引越し、と、今日までの26年間は両親と離れて暮らしてきました。
もともと不精な私は、大学時代からあまり実家に帰省することもなく、電話や手紙もマメにしないので、飛び出して行ったっきり家に寄り付かないしょうがない娘となりました、笑。
かわいい孫が生まれてからは、一年に一回くらいは顔を見せてあげようと、頑張って実家に帰っていましたが、福岡に引越してからそれもなかなか大変となり、最近は2年に一回帰ったらいい方、という感じです。
だけど、別に仲が悪いとかそんなんじゃなくて、主婦として暮らす毎日の生活の中では、折りに触れ母のことを思い出しているので、そんな時に以心伝心のようにこの気持ちが伝わればいいのになぁ、と思います。
いやいや、そんなくだらない妄想をしている暇があったら電話の一つもかけてあげなよ、と思うところかもしれないけど、ごめん、私は電話が苦手なのでそれは無理な話というものなのです。
さて、そんな不精な私にも、マメで几帳面な姉が二人います。
マメな姉が二人もいたから、私がこんなに不精になってしまったのだという説もありますが、とにかく親切で本当にマメな姉達です。
特に2番めの姉はびっくりするくらいマメで、毎年必ずどこかへ家族旅行へ行くそうなのですが、もう10年ちかくも会っていない私のところへまでお土産を買って送ってくれるのです!
そんなことってありますか!?
旅行へ行ったことすら知らないんだから、お土産なんてそんな気を遣ってくれるな、とただただ恐縮するばかりです、笑。
一番上の姉は唯一まだ新潟に住んでいて、両親の一番近くにいます。といっても、車で一時間くらい離れているので、月に1,2回実家を訪ねるくらいですが、それでもとても安心ですし、私にとっての唯一の情報元でもあります。
父も母も未だにガラケーで、LINEもできないし、電話もしないのだから、父と母の様子はこの一番上の姉からの情報に頼るしかありません。
そんな訳で、年老いた両親は新潟の田舎町に今も住んでいます。
二人きりで。
3人も娘がいて、さぞかし賑やかだっただろう、田舎の大きな家。
お姉ちゃんの部屋、私の部屋、、
どの部屋も荷物がいっぱい、マンガや洋服や勉強机が並んでいた部屋。
毎日部活で汗だくになって帰ってきて、たくさんのご飯とたくさんの洗濯物。
西からの太陽をいっぱいに浴びた洗濯物が山のように取り込まれていた夕暮れ。
玄関には家族5人分の靴が所狭しと並び、傘も歯ブラシもお箸もみんな5つずつあった、賑やかな大きな家。
…… だったはずなのに…。
娘たちはみんな遠いところへお嫁に行ってしまって、子供部屋だった場所も、マンガがぎっしり入っていた本棚も、靴が溢れていた下駄箱も、がらーんと静か。
父と母はささやかな二人分の荷物だけ持って、静かに暮らしている。
広い家に二人だけで静かに。
栄枯盛衰とはこのことか…。
人の人生とは、なんて儚いんだろう。
家族みんなで賑やかに過ごしたあの日々は、本当に一瞬のうちに終わってしまったようで、子どもたちを立派に育てあげ、二人きりで静かに暮らす毎日を、今どんなふうに感じているんだろう。
どんなことを考えているんだろう。
儚い日々を嘆いているのか、
二人きりを寂しがっているのか、
それとも楽しんでいるのか、、、。
やっと二人でのんびりできるとでも思っているのか。。
SAKURA
作詞作曲:ウスイヒロミ
どこにもあなたの影がなくて
どこにも私の居場所がない
テーブルの上の新聞は行き場を無くしたまま
何度も読んで覚えるほど
あなたの手紙は擦り切れていく
もうすぐ桜が咲くよ
今どこにいますか?
あの誓い合った言葉を覚えている?
「死が二人を分かつまで」
そんな未来はずっと先だって思っていたけど
今度はあなたが話す番だよ
思い出せる言葉を繋げてみる
あなたならきっとこんなことを
今の私に言うかな
「顔をあげてよ」
「ごらんよ、空がきれいだよ」
「少し春の匂いがするよ」
あの日からずっと止まったままの私のこと
心配してるよね
あの誓い合った言葉を覚えている?
「死が二人を分かつまで」
そんな未来はずっと先だって思ってたけど
あなたはもういない
あなたはもういない
ウスイヒロミ(makkie_777)
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