9週の壁を越えられなかった我が子
妊娠して舞い上がっていたのもつかの間。悲しいことが起こってしまった。
不妊治療院で2週連続で心拍が確認できたので卒業し、役所で母子手帳をもらって、産院にて第1回の妊婦検診をしに行きました。
長女の出産のときと同じ医師なので雑談をしながら問診をして、いざ内診台へ。赤ちゃんのエコー動画を見るのが楽しみで、わくわくしながら乗りました。
最初は雑談をしていた医師が、だんだんと口数が少なくなり、次にはつわりについての質問など真面目な内容に変わっていきました。なかなか動画のモニターをこちらに見せてくれないので不安がよぎった。
ぱっとモニターを見せられた瞬間はかわいい小さな赤ちゃんがうつっているように見えた。でも心臓のチカチカが見えない。素人の自分でもわかった。心臓が動いていない・・
医師は慎重に言葉を選びながら説明してくれました。
10週にしては大きさが小さい。9週ぐらいの大きさである。
心臓の動きが見られない。頭と体の位置からして心臓があると思われる場所が点滅していない。
現代のエコーはとても精密なので機械のせいという可能性は低い。
そんなことを言っていました。
私は一瞬、頭が真っ白になり「え、やだやだ・・」とつぶやくようにしか言えませんでした。
内診台を降り、診察の椅子に座った私。涙があふれてきました。
看護師さんにティッシュを渡され、涙を拭きながら説明を聞く。
医師はほんとうに慎重に慎重に言葉を選びながらまた説明をする。
まだ決めつけるのは早い。今日は角度とかの問題で心拍が確認できなかっただけかもしれない。
ただ、体外受精で妊娠した場合には妊娠週数はかなり的確で、週数にしては胎児の大きさが小さいので成長が止まっている=亡くなっている可能性が高いかもしれない。
3日後にまた診察をして結論を出したい。大事な話をするので夫と一緒にきてほしい。
もし残念な結果だった場合で、なおかつ自然と出てこない場合は1泊2日の入院、手術をして取り出す必要がある。
言われたのはだいたいそのようなことであった。
説明を聞きながらもずっと泣いている自分。涙を我慢する気力なんて全然なかった。
質問はあるかと聞かれて、流産の原因について聞いてみた。
よく言われていることだが、妊娠12週までは染色体異常による原因がほとんどで自分が何をしたから、ということではないとのことであった。
頭では理解しているんだけどどうしても自分の行動についての後悔を止めることができなかった。
あのとき走ってしまったから、とか夫と夫婦生活(夜の)してしまったからだとか、2歳半の長女が私のお腹にドスンと座ってきたからとか・・・
様々な後悔が私の頭の中で駆け巡った。
家に帰って在宅勤務していた夫と話しをした。夫も私が泣きながら電話をしてから帰ってくるまでの間に色々とネットで調べていたようだ。
送られてきたリンクには「9週の壁、魔の9週」というタイトルがつけられていた。
まさにそれだった。
私のお腹の赤ちゃんの成長も9週ぐらいの大きさで止まっていた。
9週の壁というのは、染色体異常による初期流産が9週でよく起こる、ということらしい。そこを乗り越えると流産の危険性は減り、さらに12週を越えるとさらに減るらしい。
理系の夫が論理的に説明してくれる。お腹の赤ちゃんは染色体
による先天的な異常があって、もともと9週間が寿命だったんだよ、と。誰のせいでもない、神様に決められたものだったんだよ、と。
それで少しは気がまぎれたけれどその後もエコーの映像が脳裏にフラッシュバックしては涙があふれた。
こんなにツライけども今日も今日とて仕事。仕事をしていると少しは気がまぎれる。
3日後に奇跡が起きて心臓が動いているかも、なんて一縷の望みにすがりながら過ごしています。