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掻きむしり眠れないほど
火曜から身体中が痒い。
口腔内、耳の中、陰部、臀部、大腿部、背中は今のところ無事だが
顔、首、手首、腕、手の甲、ふくらはぎ、すねが痒くてたまらない。
火曜の夜は痒みがおさまらず眠れなかったほどで、その話を知人にしたところ「拷問で一番キツいのは痒みらしいよ」といわれ、そりゃあ眠れないわと妙に納得してしまった。
痛みよりタチが悪い。
皮膚の表面はなんともないところを、痒いからと勢いにまかせて掻いてしまうとどんどん発疹というか蕁麻疹のような症状が出現する。そうするとさらに痒くなる。掻き毟ってしまったところはジュクジュクしてしまう悪循環となる。そうなってもまだ痒い。痒くてたまらない。だけど掻いてしまうとどんどん酷くなる。これが手の甲だから生活に支障がでてくる。
そのため久しぶりにリント布の登場である。
オロナインをしっかりとリント布全体に塗り、患部に当てる。サージカルテープで軽く止めて綿手袋をはめさらに固定する。リント布がズレてしまうと意味がないからだ。塗る薬剤はワセリンでもヒルドイドでもよい。これをすると一晩でジュクジュクは無くなる。ヒトの自然治癒力は恐ろしく早いことを実感し、私の体もまだまだ捨てたもんじゃない、などと急に楽観視してしまう。
しかし油断は禁物だ。
ジュクジュクがなくなっただけで皮膚はまだやわらかくて薄い状態…つまり弱いのだ。治ったと思いリント布を外しておくとすぐに赤みが増して痒くなるし、外して洗い物なんかしたら秒でジュクジュクに逆戻り。
自分の生活と、痒みへの我慢と、かきむしりたい衝動とが脳内でせめぎ合う。
もちろん患部をしっかり保護して生活することが最善なのだが、そうも言ってられない状況になりがちである。
リント布を交換するタイミングや、リント布がズレてしまい直したときなど固定を外したときに何故か掻き毟りたい衝動にかられるのだ。いや、私の決意が弱いだけなのだ、それは重々承知しているが、ヒトは弱い。
私は幼い頃からかなりのアレルギー体質で、アトピー性皮膚炎よりもアレルギー性鼻炎の方に苦しんできた。
年をとってからは──まぁ加齢とともに乾燥肌が加速するというのもあるだろう──皮膚症状が目立つようになり、掻き毟ることが増えた。それでリント布を使った治療法でキスをまずふさぐことを覚えた。
これはよく効く。湿潤法と呼ばれ医療機関でも褥瘡の治療に使われたりする一般的な皮膚の治療法である。
火曜の夜の眠れなかった時よりはマシになった気もするが…少しでも治ってきてるのか、はたまた痒みに慣れてきているのか定かではない。
とにかく一刻も早くこの症状が軽減することを願い、治療に励み、我慢を努力してみる。
そして症状もない、もしくは軽い部分の皮膚も、保湿剤やオイルできちんと保護し爪は短く爪先は磨いてなめらかにする…などサボらずに守っていく。
新年早々、災難ではあるけれど。
何とかよくなるようにと縋る気持ちで祈ろう。