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「経済力学」Special lecture~ 熱力学経済論が人々の経済の理解度を大きく上昇させるその理由 ~その11

§11. 経済力学エントロピーの定義式と経済力学エントロピーについての考察その2

 経済力学エントロピーは以下の式で表すことができる。

 ⊿edS]=⊿WMa / G = ⊿2.016s / G [J/G]

 この経済力学エントロピーの公式を用いて、経済力学エントロピーについて考察していくことにしたい。

 まず、この経済力学エントロピーは、経済においてお金を流すエネルギーとなる状態量であると定義しているが、それはなぜならば、熱力学エントロピーにおいても、熱力学エントロピーは、熱を流すエネルギーであることに注意されたい。そのため、経済においてお金を流すエネルギーになるのは、経済力学エントロピーであると、私は、定義したのである。

 そして、熱力学においては、熱は、温度の高いところから低いところに向かって流れていく性質があるが、経済におけるお金の流れは、同じ価値であれば、値段が、高いところよりも、低いところに向かって流れやすく、同じ値段であれば、価値が、低いところよりも、高いところに向かって流れやすいという性質がある。そして、経済においては、お金は、人の手を通して流れていくため、収入が多い人の方が、収入の少ない人よりも、多くのお金を、経済において、流すことができるという面もある。

 そして、このことは、経済成長においては、人々の収入を増やすことが、経済成長のための重要なファクターであることを示しているのである。
 
 つまり、人々の収入の増加が、商品やサービスと、お金との交換という、お金のする仕事に繋がっており、お金のする仕事の場合も、熱と同様で、熱の持つ位置エネルギーによる仕事と、熱が流れることによる運動エネルギーによる仕事の二通りが考えられ、それは、経済においては、金利によってお金がする仕事と、交換によってお金がする仕事の、二通りの仕事と、全くリンクしている。

 そして、お金の流れは、ポンプの役目をする、国や地方公共団体の徴税という行為によって、国や地域全体に、お金を行渡らせることができるようになる。

 そういった意味では、お金の流れは、水の流れや、電気の流れ、熱の流れと、全く同様に考えられることになるが、異なる点も、あることに注意が必要である。

 また、お金はエネルギーを持つと言われるが、お金自体のエネルギーは、銀行に預けておくと、金利によって、お金自体が増えることから、エネルギーを持つものと考えられる。

 つまり、お金に金利を設定すると、お金は、増えるのであるから、金利自体は、お金が成長するためのエネルギー源であると考えられる。

 そして、お金の価値は、お金の絶対的価値である、金、ゴールドの価格でお金のする仕事、つまり、金利を除した値が、お金自体の価値となり、また、お金自体が持つエネルギーでもあることになる。

 つまり、お金自体の価値が高ければ高いほど、お金は流れやすくなるのである。それはなぜならば、お金の価値が高ければ高いほど、より多くの物やサービスと交換できるためである。そして、お金自体の価値が低ければ、お金は、流れにくくなるものなのである。つまり、お金自体の価値が、お金の位置エネルギーになるのだと考えることができる。つまり、経済力学エントロピーは、お金の価値を表していると同時に、お金のエネルギーも表していることになる。

 ここで、今の日本の経済状態に照らし合わせてみると、今の日本は、スタグフレーションを引き起こしている状態である。つまり不況下での物価上昇という現象を引き起こしているが、この状態は、不況であるから物が売れない上に、物が高い状態であることになる。このままでは、一向に、お金が流れていかずに、日本は、経済的に大きな損失とダメージを食らうことになろう。

 さらに、異次元緩和策とゼロ金利政策により、お金自体の価値を下げることで、余計に、日本経済は、経済的損失や経済的ダメージを大きくする懸念さえある。

 このような、日本が、経済的に大きなダメージを受けることを避けるためには、金利を大きく上げることが、最も必要なことである。

 なぜ、日銀は、それをしないのか?

 もしも、このまま、ゼロ金利政策と異次元緩和策を続けていくならば、やがては、円は、紙くず同然になってしまうのである。

 それは、経済力学エントロピーの定義式からも明らかなことである。

 ⊿edS=⊿WMa/G

 において、右辺の分子が、ゼロの状態では、経済力学エントロピー自体も、ゼロである。

 そして、異次元緩和策によって、円の数だけを異次元的に増やし続けているために、金(ゴールド)の価格だけが、高騰している状態である。

 しかし、現在は、日本国の信用だけで、交換により、運動エネルギーによる仕事だけが発生している状態である。

 しかし、金の価格が高騰しているために、その運動エネルギーによって得られるはずの仕事も、相対的に見て、小さくなっている状態であるから、お金の流れが起きにくい状態であるため、つまり、経済力学エントロピーが小さい状態であるために、日本経済がどんどん衰退して来ているという状態を生み出しているのである。

 今現在の日本の経済状態を作り出しているのは、紛れもなく、日銀の金融政策自体が原因であり、その日銀の金融政策に、非常に大きな問題があることを、経済力学エントロピーは、指し示しているのである。 

 それは、ゼロ金利の状態では、お金が増えていかないことに加えて、異次元緩和によって、金の価格の高騰を招いているためであり、その両方の原因によって、経済力学エントロピーを小さくしていることが原因である。

 そして、現在の日本においては、人々の収入も、どんどん、下がっている状態である。そのことも、日本の経済成長そのものを阻害していると言えるのである。

 ここで、熱力学エントロピーの場合と照らし合わせて考えてみると、右辺の分母である絶対温度が高い場合には、熱エネルギーの変化量自体も、大きな値になり得る、つまり、熱がする仕事の変化量も、大きな値になり得るが、絶対温度の値との差がない場合には、熱力学エントロピーは、1に近い値を取ることになる。

 しかし、実際には、絶対温度から得られる熱の仕事は、絶対温度よりも小さいのが通常である。つまり、温度から得られる熱力学エントロピーは、1より小さいのが通常である。

 このことは、絶対温度から得られる位置エネルギーによる熱力学エントロピーは、単位時間あたりでは、1より小さいことを意味しており、ここで、経済力学エントロピーに照らし合わせてみると、お金の価値、つまり、金利によりお金がする仕事は、金(ゴールド)の価格よりも小さいことから、お金が、位置エネルギー、つまり、金利によってお金がする仕事による、経済力学エントロピー自体の値も、単位時間あたりでは、必ず、1以下であることと、全く、矛盾していないことが、きちんと理解できると思う。(この場合の単位時間はs、金の価格はkg単位の価格であることに注意してほしい。)

 そして、熱の場合には、温度差がなければ、つまり、熱の持つ位置エネルギーがある程度大きくなければ、熱の流れは起きないが、経済においても同様であり、お金の持つ位置エネルギー、つまり金利がある程度高くなければ、お金の流れが起きないのである。

 つまり、現在の日本円と、米ドルの金利差が、お金の流れを生み出すことも、きちんと理解できると思う。

 それは、日本の国内経済においても同様に考えられ、金利がある程度高くなければ、お金は流れていかない、つまり、日本経済におけるお金の流れも起きにくくなる、つまりそれは、経済が停滞する状態を生み出しうることも、きちんと理解できると思う。

 そして、お金の持つ位置エネルギーを、完全に消し去っているのが、現在、日銀が行い続けているゼロ金利政策、マイナス金利政策であり、その金融政策自体が、お金の流れをストップさせる、つまり、日本経済が流れずに停滞し、衰退してきている原因になっていることも、十分すぎるほど理解できよう。

 つまり、現在の日本経済が衰退してきている大きな要因は、日銀の行なっている、ゼロ金利、マイナス金利政策、および、異次元緩和策の、両方の金融政策にあると、私は、断言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









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