【税務】法人税法における役員の給与と使用人の給与との質的な違いとは
これまで取り上げてきたように法人税法は通常私たちが考えるような課税とはしていないところがあることがわかります。
当事者でいくら自由に取引をしたからといって,その取引の通りの課税にはしてくれないということです。
いくら民法を知っていたとしても,法人税法を知っていないと課税上不利益を受けうるということになります。
これはその法人における給与においてもそうです。
会社で役員と使用人とがいたとします。
使用人というのは従業員のことです。
会社が使用人に対して支払った給与は会社の費用であり,そのまま損金になるのが原則です。
損金の額に算入することになる例えば一般管理費となり,これは一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されることになり,簿記で費用として処理するので,費用となり損金となります。
では,役員に対する給与はどうでしょうか。
これは会計上,上記と同様に例えば一般管理費となり,これは簿記で費用となるので損金となるように思えます。
あくまでも会計ではその通りです。
しかし,法人税法における別段の定めがあることから,役員に対する給与は損金にはならないのが原則となっています。
「次に掲げる給与のいずれにも該当しないもの」は、損金にならず、損金にならないということは収益から控除される損金にならないということなので収益から控除できない部分について課税されてしまうことになります。
いってみればお代官様が、次のいずれにも該当しないものは、損金にはさせない、次のいずれに該当するのかは民の方で主張・立証せい、としているのです。
大変恐ろしいことです。
だって役員はいくら頑張っていたとしてもその分の給与は損金にしてくれないわけですから。
この辺りのことも経営してみないとわからなかったという人もいると思いますので、知っておくといいと思います。
読んでいただきありがとうございました。