ツバメと過ごした夏
都心では春先にやってきたツバメのヒナが次々と巣立っていますね。
毎年の春から夏にかけての楽しみです。
50年近く前、ハンブルクで暮らしていた頃の話ですが、、。
巣から落ちたヒナを保護して巣立たせたことがあります。
早朝歩いていると巣立ちまであと1週間ほどの4 匹のヒナのうち、
1匹だけ地面に落ちて途方に暮れていました。
このまま放っておくと猫やカラスの餌になってしまいますね。
思わず保護して自宅に連れて帰りました。
小鳥は飼った経験はありましたが、
ツバメといえば何千キロも飛んでくる渡り鳥です。
取りあえず小鳥用の生き餌をピンセットで摘んで口元に。
最初は戸惑っていましたが、
そのうち私が近づくとピーピー鳴いてせがむように。
まるで親鳥にように15分に1回ほど朝から晩まで、、。
ときどき羽をバタバタと羽ばたく練習をしています。
そんなことを数日続けているうちに尾はぐんぐん伸びていき、
羽ばたき練習する回数も増えて。
1週間ほどした頃でしょうか。
手に載せて浮力をつけるように手を上下させていると、ついに飛翔!
と、思ったらバタバタ飛んで慌てて部屋の壁にしがみついていました。
それが結果的には初飛行だったんですね。
翌日になって外から帰ってみると、
なんと自由に室内を飛び回っているではないですか!
しかも私が餌を置いている場所に近づくとピーピー鳴いて、
私の手に留まり餌をせがみます(可愛い!!)。
家中が糞だらけになりましたが、、。
当時のドイツでも野鳥の飼育は禁じられていたと思います。
後ろ髪引かれる思いながら、
飛べるまで保護したからには早く巣立たせなくてはと。
その次の日からはしきりに窓辺のレースのカーテンに留まっては外を見ています。
きっと大空を飛びたいんだろうな、と思い、翌朝窓を思い切り解放。
少しためらった後に、えいっと我が家の窓から巣立って行きました!
その夏の間はしょっちゅう、うちのバルコニーの近くを同じ巣で育った兄弟姉妹たちを連れて飛んでいる姿を見かけました。
野鳥を保護して巣立たせるというひと夏の短い経験、
何だか自分にとても自信がついた経験でした。