日刊がんば新聞
会議1:はじまり
ある小学校の体育館。
大勢の人々が避難している――。
薄暗い。
ある一角(段ボールで区分けしている)に
五年生の行恵と智絵美がいる。
二人、新聞を広げている。
新聞に、歌壇の選者・俵万智に選ばれた作品が載っている。
智絵美「やるわねー、和歌子」
行恵「俵万智に選ばれちゃったわねぇー」
智絵美「小学生で最初の三首以内に選ばれるのって
初めてじゃない?」
行恵「そうかもしれない」
智絵美「ところで、この新聞、どこで手に入れたのよ?」
行恵「駅前のコンビニまで、1時間かけて行って買って来たの」
智絵美「そんなに時間がかかったの?
ねえ、私たちも新聞つくらない?」
行恵「いいかもしれない!!」
智絵美「行恵の取材力と、私の写真と、和歌子の記事で」
行恵「できる、できる。
名前、思い付いた――『日刊がんば新聞』!」
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