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両眼開放屈折検査と偏光視標の原理解析~眼鏡自由区4 in LIVE A FOCUS@ひ録:わらの手

まえがき


この資料の特に「2. 偏光視標の原理」は、
ある中堅?社員の電話での問い合わせに応えて作成したものです。
指を使った説明は、電話越しでもよく理解できたようです。

1.両眼開放屈折検査

1-1. 片眼遮蔽屈折検査

ほとんどの眼鏡屋または眼科で行われている検査は、
片眼ずつで行われています。
まずは左眼を遮蔽し右眼の裸眼視力確認から行い、
度数調整しながら完全矯正を出します。
次に右眼を遮蔽し左眼も右眼同様に完全矯正を出します。

文字通りの片眼遮蔽屈折検査です。
学校でも視力検査は右→左の手順で行いますから、
疑問に感じる人はいないと思います。

しかし、「まずは眼を知ろう 9.両眼視」で書いたような
「同時視」「融像」「立体視」の確認はしません。

実際に、同時視や融像、立体視ができていない人も案外います。

3Dアートとかマジカルアイと呼ばれるステレオグラムが
過去何回か流行りました。
交差法または平行法で見ていると、字や絵が立体的に
浮き上がってくるというものです。

ステレオグラム「ジューンブライド」

実は、同時視、融像、立体視ができていないと当然ですが、
ここに何が書いてあるか、または描いてあるかは分かりません。

ドイツで始まり、アメリカで改良?された両眼開放屈折検査は
なぜか日本では定着していていないようです。
ドイツでもアメリカでも、両眼開放屈折検査は行われているのに、
日本ではあまり行われていないようです。

つまり、海外では視機能を検査しているのに、
日本ではほとんど視力しか問題にされていないのです。

眼が良ければ視機能に問題がないとは言えません。
視力偏重の検査では氷山の下が見えないのです。

(学生時代、視力を自慢したクラスメートに
「眼だけは良いんだな」と言った教師がいましたが)

慢性頭痛、首や肩のコリ、眼精疲労、飛ばし読み、学習障害、
注意力散漫等は、両眼視に問題がある可能性があります。

両眼開放屈折検査が広く行われ、眼鏡によって
そういう不具合が解消されたら・・・。
もしかしたら、落ちこぼれ(落ちこぼし)は
眼に問題があるのかも知れないのです。
従来の片眼遮蔽屈折検査では、発見もできなければ対処もできないのです。

昔からの専門店では両眼開放屈折検査をしているようです。
しかし、量販店やスリープライスでは片眼遮蔽屈折検査だけのようです。

1-2. 片眼遮蔽検査の問題点

片眼遮蔽で検査をしてはいけないと書きながら、
片眼遮蔽屈折検査の何がいけないかを書いていませんでした。
(両眼開放屈折検査の基礎データを取るために片眼遮蔽屈折検査を
することはあります)

しかし、改めて検索してみると分からないことが増える始末です。

ほとんどのサイトでは、片眼を遮蔽して検査すると瞳孔径が変化するとか、
水晶体の調節状態が両眼視の時と違うと書いてあります。

また近視が強めに出るとか、弱度の遠視が見逃される。
乱視の度数や軸度が違ってしまうと書かれています。

何故、どう変化するのかは書いてありません。

唯一、図書館で見つけた「光の百科事典」
(編集代表・谷田貝豊彦/丸善出版)
には以下のように書かれていました。

「瞳孔径が大きくなると、無収差光学系では結像特性が高まるが、
ヒトでは眼球の収差(aberration)が増加し視力は低下する」

「片眼遮蔽時は網膜照度が低下するため、瞳孔が散大し、焦点深度は
浅くなり、視力も低下し調節力(自覚的な近点距離)も低下傾向にある」

以上の記述から乱視はastigmatism(非点収差)ですから、
乱視が増加したり軸度が変化するのは理解できます。

また散瞳するのも納得できます。
(あるサイトには縮瞳すると書いてありました)
調節-輻輳-縮瞳は三位一体ですから、散瞳すれば調節力が
低下するのも分かります。

また、焦点深度が浅くなれば網膜上のボヤケは拡大しますから、
近視の場合ば強く度数を入れないと鮮明にならないと分かります。

しかし、弱度の遠視を見逃す理由は推察できませんでした。

遠視の場合、焦点深度が浅くなれば、やはり網膜上のボヤケは
拡大しますから、度数を強くしないと鮮明にならないと思うのですが・・・。

浅学非才の身では、取り敢えず推測できた範囲だけ書いておきます。

ちなみに、スナイパーライフルの射撃では
両眼を開けている人が多いようです。
片眼を閉じると瞳孔が開き、開いている方の眼も瞳孔が開き、
視界が白っぽくなるからだそうです。


このnoteは「両眼開放屈折検査と偏光視標の原理 in レンズ交換法5」
転載しました。

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