![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/99980553/rectangle_large_type_2_ca15f06c69a0f7a422f9491b0eb79202.jpg?width=1200)
『紐結びの魔道師』
乾石智子/創元推理文庫(小説)
オーリエラントの魔道師シリーズ5作目。
単行本版『オーリエラントの魔道師たち』(短編集)には収録されていたが、文庫化に際し外された『紐結びの魔道師』から始まる連作短編集。
ソロデビューも納得の面白さ。キャラ立ってるなあ。
さまざまに紐を結ぶことで、人々の幸せを繋いだり、ものごとの理を変化させる紐結びの魔道師リクエンシスの物語。
【紐結びの魔道師】
リクエンシスに弟子入り志願してきた貴石占術師カッシがひどい目に遭う(『夜の写本師』にもちょろっと出てます)。『太陽の石』で初登場した〈神が峰神官戦士団〉もいい感じ。滑稽滑稽。
【冬の孤島】
情報を得、目的地に向かい、モンスターを退治するという王道RPGみたいな話。好き。
【形見】
悲しかったことは受け止められるようになるし、腹が立ったことは気にしてんのがくだらねえと思えるようになる。そういえば、人の気持ちは大抵いい方に変化するなと気づいた。この話がいちばん気に入っている。
【水分け】
主人公の相棒が危篤になる。主人公のおろおろ、不安、憤り、願い。全部理解できる。身近な人が死にそうになる、死んでしまう。どうしようもないけどそういうのが本当に嫌だ。
主人公が無実の罪で投獄されるという、これまたRPGの王道展開がナイス。
【子孫】
ここまで読んでくると「子孫」というタイトルに「誰の?」という好奇心が刺激される。読んでみると「ほーそうかー。え、おお〜、そっかーそうなるよねー…すごいな」となる。なるんです。
【魔道士の憂鬱】
主人公いつのまにか300歳を超えている。言い忘れてたけどオーリエラント世界の魔道師はめちゃくちゃ長命。何百年も生きる。外見の老化は個人差あり。
砂漠の旅が丁寧に描かれる。『夜の写本師』のケルシュも登場。
本編を読む前に解説を読んだ時は「軽いな」と思ったけど、今は「わかる〜、だよねえ〜」である。キャラモエ上等。
本書の装画をグッズにするとしたら「お年玉袋」がいいんじゃないかと思う。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/100016884/picture_pc_80edda29419b06839b76dab01fd11176.jpg?width=1200)