『丕緒の鳥』
十二国記
小野不由美 著/新潮文庫
(エピソード5)
既読(読んだ順)
月の影 影の海(上下)(エピソード1)
図南の翼(エピソード6)
魔性の子(エピソード0)
風の海 迷宮の岸(エピソード2)
東の海神 西の滄海(エピソード3)
風の万里 黎明の空(上下)(エピソード4)
短編集。
結構すらすら読めた。
【丕緒の鳥】
装画の人が丕緒だと思うけど、なんとも微妙な表情が、この話の丕緒の気持ちを表していてすごい。絶妙。この装画が、なんか好き。丸に囲まれた絵が好き。
丕緒のような人がいるなら陽子も少し楽しく過ごせるかなとほっとした。
【落照の獄】
死刑(作中では〝殺刑〟と書く)について話し合う。
刑を宣告する人じゃなくて実際に刑を執行する人、つまり死刑囚を殺す人について言及しているのが良かった。私が死刑制度に対して一番気になっているのがここなので。
主人公の妻、好きじゃない。
【青条の蘭】
山毛欅林に蔓延する謎の病気に対し、薬になりそうな物もあるのに正確な使い方が分からない、というミステリーの様な面白さ。
主人公の幼なじみ、大自然マニアみたいな包荒がいいキャラ。
「浮民」の興慶もいいっすね。
『図南の翼』の頑丘さんとか、小野さんはこういう階層(?)の人をかっこよく描いてくれるのがいい。
【風信】
陽子が慶国の王になる前、国から女を排していた頃の話。
『月の影影の海』なんかの時には、「そんなことしてたのか〜」とわりとさらっと読み流していたけど、この話の序盤でぞっとした。
これやってたの麒麟が選んだ王様なんだよなあ。
また女の子に子供じみてると言われてしまった…(ぐさり)。
全体的に「陽子の話」に対する「一方その頃」的な話。そういうの面白い。
これまでの「陽子がんばれ」に「この人達の為にも頑張ってくれよな」という気持ちも加わった。
新潮文庫のナンバリング的にはこのあとが図南の翼。
今思うと図南の翼ってポップだな…。
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