カスタマーサクセスの現状 2019:世界で活躍するCSプロフェッショナルの今
こんにちは! Success Japanを運営する弘子ラザヴィです。
今年4月、Gainsight社が分析レポート「The state of The Customer Success Profession 2019」を公表しました。LinkedIn情報に基づいた分析である点を考慮してもなお興味深い内容なので、本稿では同レポートの要点(3点)を紹介します!
レポートの冒頭で、GainsightのCEO ニック・メータが言います。
「ちょっと考えてみてほしい ー 次の時代を担う若者たちは、今は存在もしていない仕事につく可能性があるけけれど、それって一体どんな仕事だろう? テクノロジーとビジネスが急速に進化して、20年前には想像もしなかったドアが既にいくつも開いた。カスタマーサクセスは間違いなくそうしたドアの1つだ」
デジタル技術の進化により「仕事」の世界は大きく変わりつつあります。消えゆく仕事、新たに生まれ急成長する仕事、両方あります。カスタマーサクセスは後者の代表格でしょう。
本レポートには、LinkedInが普及していない日本の状況が正しく反映されていないと思われます。しかし(日本を除く)世界の状況に関する以下3点は、どれも日本でも起きつつある未来といえるのではないでしょうか?
なお同レポートはGainsight社のHPで公表(無料)されています。
1)カスタマーサクセスは今や世界中のあらゆる国や産業に浸透中
直近3年の間、カスタマーサクセスは世界規模で拡大しました。
LinkedInデータに基づくと、2015年~2018年の間にカスタマーサクセスマネジャー(以降「CSM」)のタイトルで活躍するプロフェッショナルの人数は平均年率177%(!)で増え続け、3年で8倍になりました。
地域別にみると、成長をけん引するのはヨーロッパです。そして中東、アジア、オセアニアが続きます。
なお、日本のデータがより正確に反映されたら、アジアの成長率はヨーロッパに迫るかもしれません。
国別にみると、CSM人数の成長率トップ5は以下の通りです:
・オーストリア 5400%
・フィンランド 4425%
・ギリシャ 3000%
・ルーマニア 2900%
・ルクセンブルク 2400%
カスタマーサクセスはシリコンバレーで生まれました。スタートをきったのが早い分、米国は今でもカスタマーサクセスのグローバルリーダーです。米国で活躍するCSMの人数は全世界の53%を占めます。彼らは今や、東海岸も含む全米で活躍しています。
都市別にみると、CSM人数の成長率トップ5は以下の通りです。
産業別についてもみてみましょう。
カスタマーサクセスはテクノロジー産業、中でも定期収益モデルのビジネスとほぼ同義という認識がありますが、必ずしもテクノロジー産業の専売特許でもありません。テクノロジー産業以外で働く人びともカスタマーサクセスの重要性に気付き、今や精力的に実践し始めています 。
CSMの人数が多い産業トップ5は以下の通りです:
・ソフトウェア & ITサービス 76%
・メディア & コミュニケーションズ 6%
・コーポレートサービス(注:人事、経理など) 4%
・エデュケーション 3%
・ハードウェア & ネットワーク 3%
全世界でみた時にCSM人数の成長率が高い産業は以下の通りです。
2)CSプロフェッショナルにはヒューマンスキルが必須。活躍の場は中小企業が多く、女性比率も高い!
ダボスで有名な世界経済フォーラムは報告書で次のように述べています。
「オートメーション(自動化)が急速に普及し、今後もし続けると予想される中で期待されるのは、テクノロジーでは決してなし得ない ”ヒューマンスキルの活用” です」
カスタマーサクセスプロフェッショナル(以降「CSP」)の仕事こそ、そうした「ヒューマンスキルの活用」を担う代表的な仕事です。テクノロジーに深く精通し、かつソフトスキルも併せもつCSPの存在は、拡大し続けるデジタル労働市場において非常に重要です。
現在、CSMの過半数(67%)は従業員1000人未満の中小会社で活躍しています。特に従業員200人未満の小規模企業が最大の構成比(44%)を占めます。一方、従業員1000人以上の大企業は最小の構成比(15%)です。これは、大企業においてCSPの活躍する余地が大きいことを示唆しています。
活躍中のCSPの女性比率は48%です。今日のテクノロジー産業が直面しているダイバーシティ(多様性)への挑戦と足並みの揃ったトレンドです。しかし慢心してはいけません。この比率を企業の役員クラスでも実現することが大切です。
3)カスタマーサクセス人材は世界中で引く手あまた中
過去3年の間、カスタマーサクセス職の求人数(Job Posting)は高成長をみせました。世界の年平均成長率は3088%、米国でも84%と依然高いです。
結果として、毎年の新規採用数もうなぎ上りです。特に直近の急増トレンドが目をひきます。
CSPとして働き始める直前のタイトル(前職)のトップ5は次の通りです:
・Account Manager
・Project Manager
・Account Executive
・Customer Specialist
・Senior Account Manager
また、経験豊富なCSPに求められるスキルのトップ5は次の通りです:
・カスタマーサービス
・マネジメント(経営管理)
・セールス
・ビジネス
・リーダーシップ
(以上)