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《②十人十色の自己決定》北欧留学に学ぶ障害者福祉の在り方《デンマーク人にインタビュー》

自分の決定について学ぶきっかけになる。

笑顔がとってもチャーミングなマヤ。
彼女にとって《自己決定》とは、

「良いことも、悪いことも
なんでも自分自身でやること。
子供の頃はたくさん動いて、
なんでもやりたいことを言ってたの。
でも大人になってくると
だんだんそれを言わなくなる。
でも自己決定することは、
どんな選択も自分の決定について
学ぶきっかけになると思う。」

いつも笑顔なマヤがそういって
真剣に話してくれるのは、
マヤの性格やエグモントで
学生ヘルパーとして共に1年間
この自己決定ということについて
学んできた経験があるからかもしれない。

どうやったらベストなヘルプができるか考え続けること。

障害を持つユーザーを
サポートするにあたって
「私達は彼の生活を支えるんだけど、
人にはそれぞれ、自分の生き方がある。
そして、それは自由であること、
それから
彼ら自身の社会や交友関係の中で、
どうやったら
ベストなヘルプができるのか
考え続けることが大事だと思う。

だって、相手も同じ人間。
だからこそ難しいし楽しい。

私はいつも
相手に「このあとどうするの?」
「なにをするの?」って
たずねることや、

自分の動きは必ず相手に
先に声をかけること
「今から、これするからね。」とか。

それから
相手が話すまで待つこと
大切にしてるの。
だって最後に決めるのは彼自身だから。」

デンマークの福祉を学ぶ私と
その中で生まれ育ってきた彼女。
きっぱりそう言える彼女が
すごく羨ましく輝いて見えていた。

「例えば何か問題が起きたら、
なにがあったのかまずは聞くこと。
それはヘルパーとしてではなく、
まずは友達として。
でもすごくバランスが大切で難しい。
その上で
ヘルパーとして提案するというよりは、
たずねてみたり、
一線を引いて待ってみたり。。。

私の意見だと〜とか、
もし私だったら〜と話してみるけど、
結局それは彼自身が決定することだから。」

と最終決定は本人に任せるマヤ。
続けてこう話す。

「例えば、それがもし
危険なことだと感じた時は言うと思う。
でもベースにある決定権は
変わらないかな。
すごく難しいポイントだと思う。」と
同時に自己決定の難しさについて
話してくれた。


学校の食堂にて。インタビューに答えてくれたマヤ。

常に『みんなで』

《エグモントでのヘルプ活動を通して
マヤ自身が変わったことは?》
と聞いてみると
それまで真剣な表情だった彼女に
笑顔と明るさが戻った。

「考え方がすごく変わったと思う。
(ヘルパーとして)自分の責任が増えることで、
自分のことだけ考えることが減ったし
周りにインスパイアされることが多い。
あと、常に
『みんなで』って思うことが増えた。

前まで自分自身は、
できないことが多いと思っていた。
でも、
みんなと一緒にできることが増えると、
私自身たくさん希望が増えた。
あれもこれもできるかも?
やってみたい!って。

デンマークの若い子たちは、
自分を良く魅せようとしたり、
自分のためだけを
考える子も多いと思うんだけど、
私自身エグモントで学んでみて
友達や周りの人、
助けを必要とする人がずいぶん
見えるようになったと思う。」

と話してくれ、インタビューを終えた。

歌やダンスが上手で、
みんなからの人気も熱いマヤ。
この年、生徒全員で挑んだ演劇
『ロミオとジュリエット』では見事、
主役ジュリエットという大役を
見事に演じ切った。

ヘルパーとしても
彼女自身としても
大きく変わったポイントとなった
エグモントでの共同生活。

それを強く共感できるのは、
私も彼女と同じように
たくさん希望と情熱が作られる日々だったからだ。


エグモントの海での一コマ。

今シリーズの記事について

《十人十色の自己決定》は
「健常者と障害者」
という目には見えない隔たりに
疑問を感じながら飛び込んだ
北欧デンマークにある
エグモントホイスコーレンでの学生lifeは
「環境さえあれば、障害なんて越えていく」
まさにそんなワクワクドキドキが
止まらない日々だった。

エグモント卒業間近にふと考えた
「障害のある人の自己決定」について
障害のあるユーザーをサポートする
様々な人にインタビューした。

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