歌唱の”Deckung"に関しての考察
よい歌唱のためのテクニックの一つだと思われている、ドイツ語の「デックング ”Deckung" 」(英語では”Cover")は、日本語では「かぶせる」「暗くする」という表現で、声楽のレッスンでよく使われる。
しかし、本当に、意図的に声を大人っぽく「暗くした」り、音域の変わり目で「かぶせる」ことがよいのだろうか?
ミュンヘンでフースラー(Frederick Husler 1889-1969)に学び、発声指導者として日本の声楽界を牽引した木下武久(1924-1990)は、”Deckung”について次のように考察している。
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