採用も転機も編めるストーリー次第
ここのところ採用活動に勤しんでおりました。
怒涛の勢いでスカウトして、何十人もお会いして、その間、各方面の知人に紹介をお願いして、結果的には人の繋がりからご縁あって、ぴったりな方にオファー承諾いただけた。これからも相変わらず忙しいとは思うけど、少しは、先のこと・長い目で見て必要なことのために時間と頭を使う余裕ができると思うと、とても嬉しい。
PRポジションで採用活動をしていて、本当によく言われたのが「PR経験者の良い方は採用しにくいよ〜次のキャリアでフリーになっちゃうから」ということ。優秀な人独立しちゃう説、PRあるある!(たぶん)
事実、これはと思う人はすでに独立していたり、「復業・業務委託だったら良いんですけど」と言われたりすることは、とても多くて。
私も数年間フリーだったので、フリーが良いと思う理由はとても分かる。いくつもネタを持ってるほうが、記者とも会いやすいし、数社リテナーで確保できていれば十分に収入も安定するし、意外とスイッチングコスト高いし。
一方で何人か、「いえ、私は事業会社の広報がいいんです」という方にもお会いした。理由はこのあたり。
良いネタは作らないと生まれない。中にいて発掘したり巻き込まないと。
取材対応は調整と情報命。社内で人間関係・信頼関係築くのが大事。
会社や事業を取り巻くコミュニケーションを解決するのが仕事。当事者であれば、課題が自分で分かるし、その中から何を重視するか判断できる。
私の場合は、メディアリレーションを活かしたいというのに加えて、事業や組織にも興味の向き先があるので、特に3つめの理由には首がもげそうなくらい頷いた。新卒はリンクアンドモチベーションだったし、組織にも興味を向けてしまうのは仕方ないほどに必然で、もはや強みでもある。
いろんな方がいるな〜、でもなかなか、双方「この人だ」「ここだ」ってなるのが難しいな〜、やっぱり良い方を正社員でというのは、まだハードル高いのかなぁ、と少し気弱になっていた時、ちょうど読んでいた漫画『大奥』で印象的なセリフに遭遇した。
第13代将軍の家定が、病に倒れた忠臣の阿部正弘とさいごに会った後に取り乱しているところで、夫・御台所の胤篤が言ったこのセリフ。
ここ、すごくシリアスなシーンで、ぼろぼろ泣いてたのに、採用のことを思って、ほんとそうだなと膝を打ってしまった。
自分が大きめの決断をした時を振り返ると、いつだって「ストーリー的にきれい」と思えている。「この決断は、自分の人生の中で、こういう意味を持つ、だからやる意味がある」そう思って納得して、安心して、決断できている。
年収がどうか、その事業が伸びそうか、カルチャーが自分と合いそうか、・・色々大事な基準はあると思うけど、結局のところ、自分の人生の中にどう位置付けられるかのストーリーが描けなければ、どこかで表面的な判断にしかならないし、そういう判断は、踏ん張りたい時に立ち返る理由にならない。だから、そういうストーリーを描ける人と働きたい。
振り返れば、今回の採用は、まさにこういうことだったと思う。人のことなので詳細には触れないけれど、「フリーランス志向ではなく事業会社PRをやりたい優秀な方に会えました!」ということでは全然なくて、「ポジションの魅力・会社の魅力が伝わりました」というだけでもなくて、その方がストーリーを描けて納得できたのかなと思う、わかんないけど(笑)。でも少なくとも、私としては「来たほうがいいよ!ストーリー、きれいだもん」と思い、口説いたつもり。今度あらためて答え合わせで話してみたいと思います。
それにしても漫画はいつも大切なことをたくさん教えてくれる。
『大奥』、2023年のNHKドラマを遅ばせながら年明けに観て、その後漫画全19巻を読み終えた。スマホでちょこちょこ課金もしたのに、その後全巻、紙で買ってしまった。なぜだ。私のコスパの悪さよ。
江戸の歴史、風俗、幕末、権力闘争、親子愛、男女愛、人生とは、シスターフッド、血縁、同僚愛、政、大義、忠義、存在意義の見出し方、人間のしょうもなさと素晴らしさ・・・・詰め込まれた要素が盛りだくさんで情報量むちゃくちゃ多いのに、きれいに収まっていて。天才。ドラマであらすじ知ってるし、そもそも史実に添ってるから流れも分かってるはずなのに、何度も泣きました。長編読みたい方、社会に疲れた方、なんか最近あたま凝ってるわって方におすすめ。ドラマは上記に加えて眼福感じたい人におすすめです、着物も男性陣も大変に美しゅうございました(笑)。