大人な生活のススメ
夫の仕事の関係で、4年前パリに引っ越しました。
でもいたのはたった7ヶ月で、すぐにシンガポールに引っ越しました。
そのシンガポールにも2年いただけで、1年前、また東京に戻ってきました。
オリンピック開催に向けてなのか、東京は開発が進み、街並みが綺麗になっていました。自分が知っている街(特に渋谷の駅周辺は)とは違う気がして、なんだか浦島太郎になった気分でした。
たった3年だったのに。
街には外国人が溢れていました。
私たちが東京に住んでいた頃とは比べ物にならないほどです。
買い物袋を両手に抱えている、アジア人風の人たち。写真を撮るだけでは飽き足らないのか、動画を撮影する欧米人風の人たち。
自分たちが好きだった、原宿の裏通りにある餃子屋さんは、日本人よりも外国人の方が多く並んでいました。
それを見て、フランス人の夫が言います。
「外国人ばっかりで、好きじゃない」
お前が言うか?!
新型コロナウィルスの感染が世界中に広がり、外国人観光客が日本にやってくるのが規制されました。街から外国人観光客が消えました。
外国人観光客だけではなく、不要不急の外出が規制され、街に人があふれかえることはなくなりました。テレワークが増え、すし詰め状態の電車にも、乗る必要もなくなってきました。
日本政府は「観光立国」のスローガンを掲げていました。
このオリンピックを好機ととらえ、日本人や外国人旅行客の特需を期待していました。
特需って、よく聞く言葉ですが、辞書では『一般に在日米軍の発注による需要』とされています。あまり心地良くない言葉で表現されていますが、読んで字のごとく、何か特別なことが起きて需要が増え、その結果景気が良くなる、ということです。
オリンピックが特別なことならば、オリンピックが終わったら、景気はまた悪くなるのでしょうか?
日本ではバブル経済崩壊後の1990年初頭から2010年代初頭までを、『失われた20年』と呼ばれています。
1998年度にはGDPは前年度比約マイナス2%になってしまい、これ以降デフレに転じてしまったからです。
バブル経済が崩壊して、デフレに転じることが悪いように報道されていましたが、当時の私は、ランチが2千円近く出さないとレストランで食べられなかったのが、千円で食べられるようになって喜んだぐらいです。
バカな子の発想かもしれませんが、一般市民の私には収入が変わらないので、少しでも物価が安くなってくれた方が嬉しかったです。
そもそも、成長しきっている日本という国が、さらに成長するのは無理な話だと思うです。そこそこなオッサンに、「もっと成長して大人になりなさい」、と言うのと同じではないかと。
ヨーロッパの国々などはとっくに成長が終わってしまっていて、今や高齢者の域に達し、よぼよぼな国もありますが、そうやって存続していくしかないのです。
大人になった日本で、これからどうやって生きていくか考えていく時が来たのかもしれません。
もう子供ではないので、いろいろなアトラクションもそうそう必要はありません。
今まで着ていた服も、もう似合わないことでしょう。
そろそろ、大人な生活ってなんだろう、って考え始めても“ええじゃないか”と思うのです。