その無駄は省きませんか?!
時間の流れ方って、人によって違うような気がするのですが、みなさんはそんなことを感じたことはありませんか?
昔、会社勤めをしているころです。集合時間の10分前にその場所に着いておくこと、と教えられ、「なんで?!」と思ったことがあります。
集合時間の10分前にその場所に着いていなければならないのなら、その10分前が集合時間じゃないの?と。
10分前に着くことに疑問を持ち続けてはいましたが、とりあえず行くように心がけていました。でも一番困るのは、「午後1時に待ち合わせ」と言われた時です。
真っ先に思いつくことは、「ランチはどうするの?」でした。
例えば、1時に東京駅のどこどこに待ち合わせ、と言われれば、東京駅に20分前には着いていなければなりません。駅のホームから待ち合わせ場所まで、探したりすることを考えれば、10分はみておかなければならないからです。
オフィスから東京駅まで40分かかるとすると、12時にはオフィスを出なければなりません。そして思うのです。
いつランチ食べればいいの?
10時スタートの会社だったので、11時頃は全然お腹は空いていません。
打ち合わせが1時間で済むのなら、終わった後に食べればいいのですが、2時間ほどかかる打ち合わせなら、ミーティングの最後の方はお腹がグーグー鳴りっぱなしです。
鳴るたびに上司にギロリとにらまれます。
オフィスを早めに出て、待ち合わせ場所の周辺で軽くランチを食べる、という方法を思いつきましたが、更なることが私を混乱させます。
1時からのミーティングに参加するためには、ミーティング場所の最寄り駅に同僚と何時に集合しなければならないか?
例えば、最寄り駅からミーティング場所まで徒歩10分とします。
ミーティングの10分前にはその場所に着いていなければならないので、12時50分にはミーティングルームにいなければならない。
駅から徒歩10分、例えば受付からミーティングルームまで5分かかるとすると、12時35分が集合時間。
でもその10分前にその場にいないといけないので、結局その場所には12時25分にいなければなりません。
もーーーーー!10分前集合のおかげで、20分損してない?!
20分あれば、結構な作業ができます。
っていうか、20分あれば、うどん一杯食べられるんですけどぉー!
フランスはどうしているのだろうと夫に聞いてみると、
1時からのミーティングなら、ミーティングルームに1時から1時5分に着けばいいかな。
だそうです。
同僚と事前に待ち合わせをする必要も、時間よりも前に着いている必要もないのです。
でも5分過ぎると、さすがにヤバいかな。
夫はニヤリと笑います。
そんな程度だそうです。
フランスは時間にルーズだと思われがちですが、オフィシャルでは5分以上遅れることは許されないようです。
その証拠に、パリのオペラは時間ほぼピッタリに始まります。
ある時、パリのオペラ座での出来事です。
斜め前の2席が空いたまま、オペラが始まりました。
幕間になると、そこにはべろんべろんに酔ったロシア人のカップルが入ってきました。
彼がことの顛末を大きな声で話し始めます。
「ちょっと遅れてオペラ座に着いちゃったんだけど、フランスは時間にルーズだから大丈夫だって思ってたら、オペラはすでに始まってしまっていて中には入れないと説明されたんだよ。仕方ないから、ロビーのカフェでシャンパン飲んで待ってようと思ったら、一幕が2時間ぐらいあって、僕たち酔っぱらっちゃったんだよ~」
そして、目が合った私に念を押すように言いました。
「フランスだから大丈夫だと思ってたけど、意外に時間にしっかりしてるんだね」
いや、そうでしょう。
フランス人をなめたらいけません。
そんな10分前行動を強いられて生きてきた私と、なんとなく時間には正確なフランス人がシンガポールに住むことになりました。
シンガポールはアジアの中ではきちんとしている国、というイメージです。。。よね?!
ある時、無料のアートイベントがあり、それに参加しようと現地に向かいました。
8時30分開始で、8時から整理券を配る、とのことでした。
なので、私たちはなんとなく8時ちょっと前に現地に到着し、並び始めました。
たくさんの人が並び始めたので、8時よりも早く整理券を配り始めました。
その時は、やっぱりシンガポールはちゃんとしているよね、なんて思いました。
係の人は笑顔でチケットに書いてある注意書きを読みあげながら、整理券を渡します。
「8時15分に再度番号順にお並びください。その後順次会場内にご案内します」
そうね、そんなに大きな会場じゃないから、全員が入りきるのに15分あれば大丈夫ね。
なんて思いながらいったん解散しました。
そして8時15分少し前。みんながなんとな~く集まってきて並び始めました。
でも係の人の姿は見当たりません。
遅れているのかしら。
そう思いながら辺りを見渡します。私以外夫も含め、並んでいる人たちは気にも留めていないようでした。
私はちょっとイライラしながら列に並び続けます。
8時28分。
係の人がようやく姿を現しました。
しかし会場に入れるのだと意気込む私の出鼻をくじきます。
「準備に時間がかかっています。会場入場は8時45分になります」
なぬ!なんで今頃それを言うの?
開始予定時間の2分前の告知って、ありえないよね。
もっと言うと、準備に時間がかかりそうだって、整理券配ってる時から分かったんじゃないの?
15分待たされて、更にもう15分このまま待たされるわけ?!
イライラしている私の後ろに立っている人は、何事もないように平然としています。
私は思わず彼に質問しました。
「こんなに待たされて、怒らないの?」
彼は何を怒っているんだい、とでも言うように肩をすぼめます。
「8時30分ってことは、8時45分ぐらいに開始かな、って思ってたよ。だいたい15分ぐらいは遅れるからね」
だいたい15分ぐらいいつも遅れるんだったら、8時30分に並ばせるなよ!
主催者に食って掛かりたい気分でしたがそこは日本ではありません。
怒ってもなにも変わらないんっだろうな、とあきらめることにしました。
時間の観念は人それぞれですし、国によっても違います。
いつも時間ぎりぎりに到着する私には、10分前に行かなければならない、と言ってくれた方が遅れなくて済むので良かったのかもしれませんが、だからといって時間の無駄がありすぎるような気がしていました。
今でも10分前集合は続いているのでしょうか?
無駄な時間は省く、無駄なことも省く、そんな世の中にした方が“ええじゃないか”と思うのですが、みなさんはどう思われますか?