とんでもない美人の母から産まれた普通の子の普通じゃない半生 3
~呪いの言葉~
何度も繰り返し書くと嘘っぽく聞こえてしまうが、若き日の母は本当に美人だった。
街を歩けば
店に入れば
何かをすれば誰もが振り返る。
自慢の母だった。
みんなが母の美貌を褒める。
母の見た目を褒めちぎる。
美人の母から産まれた普通の娘であるわたし。
母を褒められると悪い気はしない。
しかし。
中には呪いの言葉として私の胸に突き刺さったものもある。
わーお母さん美人だねー。
あら、娘さんは似てないね。お父さん似かな。
もう少し大きくなったら娘さんも美人になるよ、このお母さんの血を引いてるんだから。
小さかった私の心には何度も抜けないトゲが刺さった。
いつしかあまり笑わない子になっていった。
自覚はないが、今でもまだ刺さったままになっているものもあるだろう。
言った側には悪意はなかったとしても、言われて傷ついた側の心にはいつまでも残る。
娘さんは似てないね。
お母さんは美人なのに。
隣で聞いていた母はどんな顔をしていたのだろうか。