#11 家族の構造③(システムであるがゆえの特徴の理解)
1 提携
一人の人が他の人と組んだり、組んだ人が他のメンバーや他のグループに対応したりすること
①連合:第三者に対抗するために二者が協力するプロセス
②同盟:二者が共通の関心をもつことでその関心は第三者とも共有される関係
2 健康な家族とリスクのある家族
◯Aタイプ
健康な家族:家族をつくる、守るといった共通の目的のもとに夫婦連合があり、家族成員間のコミュニケーション、情緒活動が積極的
必然的に世代間境界が確保されていて、親子のコミュニケーションも一人に偏らない
◯Bタイプ
夫婦連合の欠如があり、なおかつ
同性同士【父・息子】、【母・娘連合】に分裂。二者以外には交流のチャンネルがなく家族は二つに分裂
◯Cタイプ
夫婦連合の欠如があり、なおかつ
異性同士【父・娘連合】、【母・息子連合】に分裂 息子や娘は、親役割代行をさせられる可能性もある。その負担に耐えられず、何らかの症状を出す子もいれば、非行や不登校などで危険を知らせる子供もいる
◯Dタイプ
家族の一人、例えば父親が家族メンバーから孤立している構造
典型的な日本の家族:会社と浮気している父親と家族と結婚してしまったような母親
◯Eタイプ
夫婦が不仲・葛藤状態にあるとき、子供が問題を起こす。夫婦の目が子どもの問題へと移り、一時的に葛藤が中断される
子供は夫婦間葛藤の犠牲者であるとともに救済者でもある
3 自分の育った家族の提携状態/子供に及ぼす影響
子供のポジションではいられないこども/一家をつなぎとめている子ども/母子連合と子どもの気遣い
◯中学生を対象とした調査
困ったことがあったとき、親に相談できない:約半数
→ 親との良好な関係維持のために多大な気遣いが払われている
山下美紀:『子どもの「生きづらさ」―子ども主体の生活システム論的アプローチ』学文社、2012
4 今回のまとめ
・家族の構造的特徴をみる視点に、「提携」がある
・健康な家族は、夫婦の連合が形成されており、どの家族成員間のコミュニケーション、情緒活動が積極的に行われている
・リスクをはらみやすい連合は、異性間の親との交差連合
・子どもが子どものポジションでいられなくなることによる加重負担によって、症状や問題行動の出現につながることもある
・子どもがその家族をつなぎとめていることもある
・子どもの生きづらさを軽減するために親、周囲の親がまずは気にかける、気づくことが大事