#60,#61 家族の発達段階「完結期」

1.従来の発達課題

完結期の家族
①グリーフワークを続ける
②一人で暮らす生活や家族との同居、施設入所などにより生じた新しい生活に適応する
③他者からの支援を受けるという新たな体験を通して社会性を維持・拡大させる

2.統計的な把握

①65歳以上の独り暮らし
②75歳以上 配偶者と死別した人の割合
女性の58%、男性の17%
子どもとの同居率が低下し、配偶者との死別によって独居となる高齢者が増加
③死別や未婚の男性高齢者が増加する中、特に男性にとっては配偶者や家族がいることを前提とした高齢期が当たり前ではなくなりつつある

3.死別した独り暮らし高齢者の実態

(小谷みどり:配偶者と死別した独り暮らし高齢者の幸福感、第一生命経済研究所、ライフデザイン研究本部、2017)1000人調査

(1)幸せや生きがいを感じること
・幸福度 
・生きがいを感じるのはどのようなとき
 
(2)死別前後の変化
・他者と過ごす時間
◎配偶者が元気だった頃と較べて生活がどう変化したか
◎一人で過ごす時間
◎友人との付き合い
 
(3)現在の不安
男性ですべての項目の不安度が高い
 
(4)異性との交流
「特定のパートナーや異性の友人が欲しいとは思わない」 女性では55.0% 男性28.2%

4.高齢期から死後にかけての課題

0 自立した生活を営んでいる

1 家事などの日常生活行為が難しくなる
介護保険サービスの申請
受給手続き

2 入院し、医療処置を受ける
受診判断、入院手続き、入院中の病状説明、治療に関する意思決定

3 退院後の生活を再構築する
各種サービスの意思決定、サービスの申請、スケジュールの確認、料金の支払い

4 さらに機能低下し、サービスや居住場所を見直す
ACPを作成、選択肢の検討、意思決定、手続き、引っ越し

5 終末期医療に関する意向を確認する、死後事務に関する意向表明と手続きをする
病状の説明を受け、意思決定
遺言書の作成、公証役場

6 死後の遺産を適切に処分する

意思決定と手続き、支払(金銭管理)の連続
最後のそのときまで、よりよく生きていくための準備

終活の具体的内容

①日常生活に必要なこと(運転、掃除、買い物、食事の用意)の算段
②入院の保証人・医師の説明の同席・付き添い
③入院費・家賃その他のお金の支払い、手続き
④介護保険サービス選びや契約の手続き
⑤延命治療に対する考えを医師に伝える
⑥亡くなった後の葬儀、お墓の手配
⑦亡くなった後の財産の配分や家財の処分
⑧ペットの世話

終活の障壁になるもの

①もう少し先でいいと思う
②何をしたらいいかわからない
③やるべきことが多すぎる
④手間がかかる・面倒
⑤お金がかかる
⑥相談相手がいない
⑦依頼できるような相手がいない
⑧不吉に関して悲しい気持ちになる

終活関連支援事業(自治体)

①葬儀死後事務委任契約:死後の葬儀・火葬・納骨について事業者との生前契約をあっせんし、自治体が契約の情報を把握する 
②情報登録伝達型:終末期から死後の支援を行う際に必要な情報を住民に自主的に登録できるもの
③事業者提携型:終活関連の相談・サービス紹介を行う民間の事業者と提携し、市民から終活関連の相談があった場合にその事業者を紹介する

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