きっと分かってる「間違った」恋だって・・・
あの日の、私へ
あの日、夢をあきらめかけた私へ
届け!未来からの手紙。
25歳 の私へ
あの日、私は、
動いている赤ちゃんの写真を始めて見たね。
真っ黒の写真の中に、
白い塊。
エコーで見た、その塊は、
ぐにゅぐにゅ動いていた。
なに、これ。
これが、人間の赤ちゃんの塊?
変なの・・・
分からないよ、ただ、ぐにゅぐにゅしているだけ。
それが、一番最初の印象だった。
どうしようとか、
やってしまったとか、
どうしようとか、
堕ろさなきゃとか、
そんな、考え、ひとっつも
頭に浮かばなかった。
ただ、ただ、
「出来た」
その小さな小さな
お腹の中の違和感を
ひしひしと感じていた。
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当時の私には、
年上の彼氏がいた。
車が大好きで、
旅行が大好きで、
優しくて、弟思いで、
とても温かくて大きな手で
いつも私を包んでくれていた。
始めて、子宮頸がんの診断を受けた時、
彼は、
「大丈夫だ」「大丈夫」って
ずっと、手を握ってくれていた。
手術台に向かう時も、
「大丈夫」「大丈夫だよ」って
泣きながら、
口元ゆがませて笑うんだもん。
「変な笑い方」って、
私まで、ぷって吹いちゃってた。
2回目の手術のときは、
私は、ひとりで手術台に向かった。
最初の手術のときの
彼の泣き笑いを思い出して、
「大丈夫」
「大丈夫だよ」って
頭の中に彼の言葉を思い描いて・・・
そんな私の、お腹の中に宿った
初めての小さな奇跡。
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「結婚は、、、出来ないよ」
彼の、
その、冷たい一言を聞いた時。
何かが崩れた。
え??
どうゆうこと??
ん??
なんで??
え、結婚したいって
言ってくれてたよね。
ずっと一緒にいたい。
一緒に住みたい。
一緒に生活したい。
赤ちゃんが欲しい。
子どもは二人は欲しい。
どんな家買おうか?
どんな車に乗ろうか?
どんな・・・
どんな・・・
「結婚は、、出来ないよ」
そして、、、
見せられた、1枚の写真。。。
それが、すべてを物語っていた。。。
私は、
堕胎した。
手で握って、ぐちゃぐちゃにしたエコー写真を、
いまだに捨てられなくて、
ずっと持っていたエコー写真。
いつかは、きっと捨てることになるんだろうなって
思いながらも、
私は捨てることが出来ない、このエコー写真。
人は、
きっと、間違える。
そして、いつか気づく。
あ、これは、間違っているって。
そのときの選択は、
合っているのか。間違っているのか分からない。
でも、私は、
間違った恋愛に別れを告げて、
一人で堕胎して、
一人で歩む道を選んだ。
私には、今、ひとりの娘がいる。
娘に言った言葉。
あなたはね、
選ばれて生まれてきた子だよ。
最高の最高の宝物だよ。
生まれてきてくれてありがとう。
あの日、ママが言えなかった言葉を、
今、あなたに伝えるね。
「ありがとう。そしてさようなら」
2014年3月28日
娘が生まれたその日に、
私は、1枚のエコー写真を捨てました。