米財務長官にスコット・ベッセント氏指名~米金利低下・株高に
日本株上昇、7兆円規模の中間配当再投資期待も
週明けのマーケットは、金利低下、株高のリスクオン。先週末の米株が堅調でしたので意外感はないのでしょうか、それにしてもあまりの強さに驚かされました。マーケットの話題は次期大統領トランプ氏が財務長官にスコット・ベッセント氏を指名したことが話題。この件は後述しますが、これを受けた面もあったとみられ東京市場では日経平均の上げ幅が一時750円を超え節目の39000円を上回る局面も。ただし高値では売り物に押されレンジに収斂する流れに変化はありません。引け値は38700円台。米次期財務長官人事だけで日本株がどこまでも上がるほど甘くはないですね。
ただ、日本株の下値の固さには、配当再投資の実需買いの思惑もあり、季節要因もありここからは下値を切り上げて高値を追う展開も期待できそうです。
なんと7兆円規模の配当再投資の実需が期待できると。売りポジは手仕舞ったほうが良さそうです。
トランプ次期大統領、財務長官にスコット・ベッセント氏指名
週末にはわかっていたことですが、週明けのマーケットがこの人事を織り込んでこれほど大きく動くとは予想していませんでした。米債券市場では時間外取引で金利が急低下、これを好感し株高がもたらされたようです。あれ?再び2年金利が10年金利を上回る逆イールド状態に・・・一時的な現象でしょうか。
この金利急低下の背景はベッセント氏が財政規律派として知られていることがあるようです。これまでのトランプラリーでは、トランプ氏が掲げる関税強化、減税などの政策はインフレをもたらすというだけでなく、米国の債務を拡張させ、財政規律上の問題が米国債の需給を悪化させるため金利上昇をもたらすと警戒されていた側面があります。しかし、ベッセント氏ならその過度な警戒は必要ない、ということでしょうか。
【スコット・べッセント氏】
・金融街ウォール・ストリートの投資家
・ソロスファンドにおいてポンド危機で名をあげる
・2013年アベノミクス円安相場では円売りで巨額の利益
⇒金融市場を知り尽くしている実務派
・暗号資産は共和党の理念だ~BTC推進派
・トランプ減税延長も「財政規律派」
⇒減税=株式市場にプラス
⇒米債信認維持で低迷していた米国債市場が持ち直す可能性
・大幅関税引き上げは「交渉の道具」で
必ずしもそれを求めるものではない
⇒関税交渉においては穏健派とみられインフレも抑制的となる?
・「3-3-3」を掲げる (3本の矢~アベノミクスを敬服)
①実質経済成長率3%の実現⇒株高
②財政赤字をGDPの3%に抑える⇒金利低下、債券買い
③米エネルギー生産を日量300万バレル増産⇒原油安インフレ低下
財政赤字をGDPの3%に抑える、このあたりが金利上昇に歯止めをかけ、債券買いへの安心感を誘っているものと見られます。
というわけで、ドル金利低下でドル円相場、円高に振れています。
主要国金利が軒並み低下する中、日本の金利は~
今日の金利低下は米金利に限ったことではありません。米金利動向は主要国金利に影響をもたらします。今日はほぼ全ての主要国金利が低下。円金利もやや下がりましたが、上昇のトレンドを崩すほどの低下ではありませんでした。先週発表された日本の10月消費者物価指数、コアCPIは前年同月比2.3%上昇。市場予想は2.2%でしたので強含み。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは2.3%上昇と3カ月連続でプラス幅が拡大しており、日銀の早期利上げ観測が強まったと見る向きも。円金利は上昇基調を崩していません。よって金利差縮小でクロス円が下落する基調に入りそうですね。
※日本のインフレ率ですが、米国版コアCPIと呼ばれる米国と同じ手法で算出されるコアCPIは1.6%で2%を割り込んでおり、今利上げすべき環境にはないと思うのですが、日銀は利上げに前向きなメッセージを打ち出しています。早ければ12月、12月が見送られても1月の利上げが見込まれています。
クロス円ではNZドル円が下落トレンドを明確にしていますね。
154.51円ドル円売りがようやく利益に。
ポンドドル1.2628ドルショートは継続。
NZドル円を90.35円で新規売り。
ユーロドル1.0478ドルショートは、週明けいきなり損切り(´・ω・`)
パリティ(1ドル=1ユーロ)がターゲットとされるストラテジーが市場に広がっていますが、随分下げましたので、一旦戻るフェーズでしょうか。38.2%まで戻るでしょうか?今日発表されたIFO景況感指数も悪かったですが、ユーロ上昇が続いています。
ともかく、ベッセント氏の財務長官指名で今夜も米株は堅調。テック銘柄は上値が重いようですが、基本リスクオン継続です。