「労力をかけない」こと、これが僕らの「ゆるい勉強会」のモットーなのさ
〜 流氷交差点 interview vol.2 〜
みなさんこんにちは鎌田です。今月もやってまいりました、流氷交差点 #2 です! 流氷交差点はインタビュアー西原さんが、地方勉強会を運営する方々などにお話を聞き、記録をしていくという、ネット上の勉強会地方遊歴、ゆったりした長旅のようなものです。#0は東京小平、#1は北海道、と続いています。北海道を中心にというわけではございませんが、西原さんが北海道出身なので、北海道びいきではあるかもしれませんね。
今回のインタビュイー(話し手)は、北海道旭川で学生メインの「ゆるい勉強会」を運営している宮前さんにご登場いただきました。彼らのプロフィールはこの記事の最後にございます。
西原さんが宮前さんにインタビューをする形ですが、もともと「ゆるい勉強会」は西原さんが始めたもの。今回はインタビューというより、対談ですね。現在、宮前さんに引き継がれてから、どんな盛り上がりを見せてきたのか。北海道の神楽岡というところで、勉強会を開催した際に、「Twitterトレンド」を生み出したとか。
宮前さんには、2017年に引き継がれてからどんな苦労があったのか。労力をかけないことに至ったこと、それを続けることに理由があるのか、などをお話いただきます。
語りの全てを文字でご覧になりたい方は文字起こしの全文をどうぞ、音声はこちらをどうぞ。音楽もありリラックスして聞いていただけます。(音声の編集は西原プロによるものです)
それでは、記事のほうも、どうぞ!
おやつタイムで地元旭川への愛を高めていく
── 流氷交差点#2 では、 北海道旭川にある「ゆるい勉強会」の宮前さんにお時間いただきました。どうぞようこそ〜。ゆるい勉強会では、どういうイベントをやっているのか、オフライン時代のことから教えていただけますか?
オフライン時代から「やりたい人がやる」という基本スタンスは変わっていないです。運営が勉強会の場所を予約して、当日は13時から18時ぐらいまでをめどに活動します。内容としては事前にconnpassで申し込みをした順にタイムスケジュールを組み、その順番通りに発表をしていく流れです。中には飛び込みの人もいるので、それ用にLT枠を確保しています。そして来てからスライドを作るRTA勢(※1)が……。
※1 RTA(Real Time Attack)勢:あーるてぃえーぜい。リアルタイムアタック。ゲームの用語で、スタートからゴールまでのタイムを争うこと
── 名前がゆるいだけありますね。そして発表スライド、発表することさえも現地で決める(笑)。
そういうノリが許される勉強会です。あと、重要なのが「おやつタイム」。地元旭川のおやつを大人が差し入れをしたり、学生が持ち込んだりしてみんなで食べましょうという時間を設けています。地元の勉強会ならではで大事にしているところです。そんなゆるい雰囲気で進んでいって、発表が終わったら懇親会に行きます。学生が多いのもあって、大人と学生で分かれます。
── 懇親会が分かれるという例はあまり聞かないですよね。学生、松屋懇親会とかやっていたとか。
そうですね。大人が特別取り仕切るわけではなく、学生がまとまって交流している学生主導の懇親会ですね。Twitter上でラーメン食べてる画像とかが上がります。そういう動きがありますよ、というのを一応大人が認識だけしておく。
── オンラインになって、オフラインと変わったことは?
そうですね、おやつタイムの時間が微妙になったものの雰囲気は変わらずで、忙しくて時間のない人用に「前座(録画ではなくライブ中継)」タイムを設けました。
オンライン前座!? ガチ勢も
参加するのに雰囲気はゆるい
── 前座というのは斬新だよなぁ。スタート30分前に入ったらすでになにかやっているんですよね。しかも内容が前座の域を超えてるんだよなぁ。
ただひたすらプログラムのコードを配信するという(笑)。しかもわりとガッツリめのプログラムの話をしてて。前回は「p5.js(※2)」という画面描画系のものですね。
※2 p5.js:ぴーふぁいぶじぇーえす。ProcessingをJavaSccriptに移植したもの。Processingはデザイナー向けに開発された描画系コーディングツール。https://p5js.org/
── (笑)ゆるい勉強会らしいですね。本編を超えている前座っていう。
何でも良いわけだから、たまに内容がゆるくないんですよね(笑)。雰囲気だけゆるい。オンラインだと東京からも人が来たりして、AWSの人がGAN(※3)の話をしていくとか(笑)。
※3 GAN (Generative adversarial networks), :ぎゃん。敵対的生成ネットワーク (てきたいてきせいせいネットワーク)、 人工知能アルゴリズムの一種。
── もともとコロナがなかったら旭川に来る予定だった方ですよね。オンラインでもゆるい雰囲気は続いている感じですね。
そうですね。懇親会が分かれてたのが一緒になった感じで、学生も一緒になって大人の話を聞いていますね。今のゆるい勉強会は学生が多く、30人集まっても25人が学生という比率です。
── 懇親会まで参加できるのは、お財布事情が関係なくなったからだよね。オンラインだったらお酒で発生する問題もないし。オフラインの時から学生は高専生が多かったかな? オンラインになったからこそ卒業生が舞い戻ってくるのがあるよね?
そう、「今なにやっているの?」という会話が楽しい。「あーよくきたね〜立派になって〜」とか言えるのが。
── そうだよね、残ってる大人からすると親戚の集まりみたいだよね。ちなみにオンラインの開催場所はZoomだけ?
そうですね、ここんところずっと「緊急事態宣言」と「まん延防止」を繰り返してて、……やはり学生メインの参加者なので、オフラインで集めて何かあったら周囲にお詫びしようがないと思ってて、結局開催に踏み切れないという思いがあるんですよ。
北海道だから
移動手段の基本は車
だけど学生は?
── コロナ前、オフラインの開催場所はどこが多かった?
ときわ市民ホールが一番多く、まねき猫(カラオケ屋)、CoCoDe、サンナナなどを利用しました。学生が多いので、駅に近いほうがいい。CoCoDeだとちょっと遠いよね、とか。
── そうですね、バスで行けたとしても乗り換えしなきゃいけないとか、駅からの距離とか。
そういう意味だとほんと限られているんですよね。いくら料金が安くてもちょっとアクセスが悪いね、となると人が来ないんじゃないかとか。
── 車で4、50分かかるところ、中富良野まで来てたもんね。高校生も来てたけどね(笑)。
お父さんお母さんに送り迎えしてもらったりとか。
カンカンカン♬カンカンカン
特殊な会場で大盛り上がりの末
Twitterトレンド入りするに至る
── 2時間に1本のJRつかまえてたりね。富良野旭川って往復で買ったら3000円近くするじゃない。高校生のお小遣いで3000円とかさ、技術書買えるし。
神楽岡の公民館の時は、LOCALの学生交通費支援という制度を利用しました。会場は西原さんが手配されたんですよね? 私手配した記憶がないので。
── 電話した……。「広い部屋がいいんです」って言ったら、「部屋つなげて広い部屋が用意できるから大丈夫ですよ」って。ああそうなんだと思ったけど、現地行かなかったから知らなかったけど、当日のツイートで「L字型の部屋」だと知った(笑)、キッチンがついてた?
そうですね。調理台が2つ並んでるんですけど、その間に椅子敷き詰めてみるみたいな(笑)。
── 調理実習の部屋と普通の会議室つなげて40人入ります、ってそんな話ある? みたいな(笑)後で話聞いてびびったわ。
L字型だからテレビ見えないみたいな(笑)。
── しかも踏切の音めっちゃ入るとか(笑)。
カンカンカンカン(笑)。
── ネタとしては面白いけど(笑)発表する側からしたらペース乱されまくってるだろうって。あれ伝説の回だろうなぁ。あれ、その時だっけトレンド入りしたとか。
地域でトレンド入り(※4)、しましたね。
※4 #aosc は、Asahikawa Open Source Community というゆるい勉強会以前に存在した勉強会のハッシュタグを利用していたそうです。
今の流れができるまで
── 学生がいるとトレンド入りできちゃうんだな。
みんな元気がよかったですね(笑)。
── そんな話を含めて、年表の紹介をしてもらっていいですか?
西原さんと私の出会いが2014年ぐらい。その前からあった「ゆるい勉強会」の発足は西原さんが大学生の頃、2012年からやられていた。オープンソースコミュニティの流れを汲んで立ち上げられたと。
そして、2013年頃からconnpassにイベント登録し、まわりの大人を巻き込んでの開催が増えていった最初の時期です。2017年ぐらいから「ゆるい勉強会」で、この頃は西原さんも学校の先生だったと。先生の教え子である富良野や旭川の高校生らと高専生をメインに活動されていた。
発表が初めてな子たちとか。その練習の場として活用される側面もあり、ほとんど学生で先生が面倒みる、というスタイルだった。
そのあと2018年から2019年頃は学生たちが熟れてきて、どんどん新しいことをやりはじめてきた時期があって、先程お話のあったLOCAL学生部を呼んで大々的に神楽(公民館)でやったという、あそこが多分過去最高の参加者人数だったはずですね。
── あの踏切が(笑)。
そうそう。いつもと違う場所でやったからかもしれないですが(笑)けっこう全道から学生が集まってたかもしれないですね。苫小牧や室蘭とか。
ゆるい感じでこんなになるの? って(笑)私もびっくりしました。保護者のように参加してたら「この子はどこからきたの?」って話しかけられる。
── 初めてくる学生とかいたもんね。「工業の子かい?」みたいなね。
一年生を連れてきたり紹介したりしていたのもこの時期。今の学生メインでLTが入るという流れが醸成されてきたと言えるようになったのもこの時期です。2020年にコロナがあって、勉強会は個人的に失くしたくないというのがあって、Zoomを個人契約しました。
── 未だに宮前さんの個人Zoomなのか、なるほど。
会社の人にも「個人で持ってるの?」ってよく言われます。ゆるかったからできたんだと思うんです、ちゃんと計画していたらなんか急遽オンラインに変えちゃいましたというのはできないかと。
2021年からオンライン参加が一般的になって、こっちとしてはスタンス変える気はないんです。
「テーマ」というより「フレーバー」
── 適当にやっている割には、年3〜4回やっているのかな?
そうですね。時々やりたくなるんです。勉強会中毒みたい(笑)で、勉強会を開きたくなる。
── 継続的に来てくれるメンツがいたから続けられた気がするんだよね。
たかはらさん達が居た時代。
── そうだよね、その頃、札幌のAzureの人たちが旭川に来ているんだよね。
ゆるい勉強会@Webとかの時代かな。
── 「@なんとか」って、基本ちょっとテーマをつけてました?
テーマというか、雰囲気。「フレーバー(※5)」な感じですね。
(※5)フレーバー Flavor:食品にちょっとした香りと味を付け足す香味料、芸術作品における趣など。ここではゆるい意味で使われている。
── テーマさえもゆるい(笑)。ゆるい勉強会のモットーがさ、「労力をかけない」じゃない? そのスタンスで考えたら他にもやってないことあるんですかね?
オンラインになってやってないとしたら、おやつタイムぐらいじゃないですかね?
労力かけないからこそ
催促がない
それが発表のしやすさに
繋がっている
── おやつタイムはむしろがんばってるほうじゃ。なんだろ司会がないとか?
そうですね、言い出しっぺだけど司会しない、みたいな時とか。やりたい人やってって。オンラインの時はさすがになにもしなくていいというわけにはいかないので、ちょっとぐらいはしますけど、基本的にやりたいことを聞いて、次の人に「できた?」と繋いでいく流れですから。
── 参加者わりとみんなしゃべる印象がある。ただ聞きにだけ来る人はいないよね。
リアルだったらしゃべらないけど、Twitter上ではしゃべっているみたいな(笑)。
ごった煮みたいなところありますから、聞くだけの人は来ないですね。Webの話をした後にネットワークの話がぶっこまれる。AIの話の次に電子工作とか。
── 情報摂取するには、きわめて非効率的(笑)。
極めつけは「なにか話します」って何話すか決まってない人もいる。
── 発表ってなるとなにか書いてくださいとか、催促とかあるけど、しないでしょ?
してないですね。だって催促は労力かかりますから(笑)。発表するって言ってるんだからなんか用意してくるでしょって。
「話す」って気持ちだけ持ってきてくれれば別にいいかなっていう勉強会ではありますよね。「資料ないですけどいいですか?」とかね。
── あれなのかな、そういうところも発表のしやすさにつながってるのかな?
ゆるくやっているからこそ、そこまでハードルを下げられるのかもしれないし。「お前ら、発表テーマ決まらんのに申し込んでくるなよ」とかいう感じだと、やっぱりどうしてもちゃんとしてなきゃとなるし。
── 参加者としても楽だよね。
私は勉強する機会って意識的にやらないとできない人間なので、社内でも勉強会やったり誘ったり。関係のない人の話を聞きたいな、というのもありますしね。
学生の進路を左右するのは
先生?
場を続けていなければ
出会えなかった
学生もいる
── 宮前さん自身は、勉強会に参加しはじめたのは、なにがきっかけ?
2014年頃、会社でググってたら、新しい技術が色々でてくるじゃないですか、うちの会社なにもやってないな、やばいんじゃないのか? と疑問が生じて。地元で働いてると、自分の仕事回ればいいやみたいなところはあるんですけれど、ちょっと一歩外出たところで自分の価値って何で測るんだろうという気持ちになったときに、足りないものだらけやんって気づいたんです。
自分は仮にエンジニアのつもりでいたけど、ただのIT企業のサラリーマンおじさんだよね……みたいな。そこまで再定義してから、じゃぁこれから自分はどうやって暮らしていくのかというところから、勉強会に参加しはじめる。
── それまではわかってる範囲の会社だったり技術分野だったのが、広くとると、そういう場が必要だという結論に達したと。
業務がうまく回ってて、上司から評価されてよかったりすると、俺ってできるやつなんだと、お山の大将みたいな間違った気持ちが発生するんですけど、そうするとなんか、俺の力、器、ここじゃちょっとはみ出るんじゃないかなと(笑)。調子に乗って外に出てパーンって破裂するみたいな(笑)。
── (笑)それこそさ、うちの生徒を勉強会に連れ出したのも、他でもなくそれで、みんな興味が違うから。業種とかってわけでもないからさ、学校って。宮前さんて高専出身だっけ? 高専でもそうでしょ?
IT系に興味ある人ほとんど居なかったですね。一応電気工学科なんですけど、自分でプログラムやるって人は一人もいなかったかな。
部活もパソコン部に入ろうとしていたんですけど、何を間違えたかサッカー部に入って(笑)。
入ってみない? と言われて「あ〜はい……」って(笑)。もしかしたらLOCAL学生部だと、パソコン部だったという道があったと思うんですけど、ぜんぜん違う方向へ。もし知ってたら入ってたと思うですけど、知らないまま卒業してIT企業に就職して、30になって知る(笑)。
責任転嫁するわけじゃないですけど、学校の先生の存在って重要かなって気がしますね。先生が知ってて、「こういうことやりたんだったらここに顔だしてみるのがいいんじゃない?」とか。アドバイスがあって世界が広がるってけっこう多いんじゃないかな。
── そう思う。自分で見てたのもそうだし、先生方に対して講座をした後、受講されていた先生を通して実業高校の子が来た。本来だったらどうやったってアプローチできないところ。そういうきっかけがないと実現しないんだったら、なんでもやってみるもんだなって思いましたね。
本人の道がきまってしまいますもんね。
── ゆるい勉強会がなかったらそうならなかった。
そうですね、あり続けるというのは大事なことですね。何事も。
「労力かけない」ことを
本気で議論する
天ぷらの会
── ゆるい勉強会の説明を外向けにやった時、身内の誰もが同じ説明をできるかという話を天ぷら屋でしましたよね?
私それ、天ぷらでさっくりテンション上がったまま、Facebookで公開投稿しました。
── 勉強会は何が大事なのかとか。コミュニティが陥りやすい罠についてとか。偶然なのかわからないけど崩れずこれてるってのは、労力をかけないからという、それがあるからなのかね?
私も自分に言い聞かせていますよ、「これは労力をかけないでやるんだ」って。やっぱりそれで気が楽になりますから、ある程度は効果がありますよ。
── 丁寧にやろうとすると、労力がかかるからそれはNGで、それをやらない言い訳って難しいじゃないですか。やった方がみんな気分良く帰れるとかさ。それを全部無効化しますよね。
大変だったな、って振り返るともう次やりたくなくなっちゃうじゃないですか。
── ああそうだね。長く続けているからいろんな進路を選択した人の例が集まってくるんだよね。
そう、今メンバーが171人いますね。Zoom代も私が続けたいから払っていて、やっぱり人依存なんですよね。
── 最近思うのは引き継ごうとする事自体が傲慢だなって思いますよ。いやさ、引き継ぎってその人がやりたいことを他の人にやってもらうってことに近いような気がする。
まぁそうですね。やりたかったら違いますけどね。山川先生みたいに引き継いだら全部変わったとかあるじゃないですか、名前も全部変わっちゃったって。
── 引き継ぐんならそれぐらいで。8年とか9年経っちゃったらもうね。途中で居なくなっている人もいるからね。
もしかしたら戻ってくるかもしれないですからね。たまに数年に1回戻ってくる人いるじゃないですか。いしざわさんとか。なんか長く続けていれば続けているだけ、若干お得感がある。開き続けていればいつか帰ってくるじゃないですけど。
── そうなんだよな。労力なく開催する以外やってることがない。全部の話はそこに帰ってくるんだよ結局。
立派なことを言おうとすれば、学生たちが入ってきて、立派になって、そのうち戻ってきてくれるんだったら……とか言えるけど、続けている理由って労力かけてないからだよね。ずっと開いてるから好きに帰ってきて。帰ってきたついでにやりたいと言ったらやるよ、みたいな。
── 勉強会やらないんですか、って言われたら、じゃ、開くか。みたいな。
いつがいい? みたいな。
── それこそゆるい勉強会って感じだよなぁ。説明のしようがないね。
最後投げている(笑)いや、ゆるい勉強会ですって。
── そうなるよなぁ。
おわりに
対談した人:
宮前 佑矢(みやまえ ゆうや)旭川高専卒。2006年に株式会社コンピューター・ビジネスへ就職。
Webシステム、HP運用から基幹システムの開発、セミナー講師など、
ITに関することを薄く広く。最近はRPAとIoT開発に従事。
2017年頃よりゆるい勉強会のコミュニティ活動に参加。2019年頃に共同代表となる。心の師はトム・デマルコ。
西原翔太(にしはら しょうた)2010年頃より北海道(旭川,北見,富良野)で中高生の学生を中心としたITコミュニティ活動を展開。2019年に東京都小平市へ移り同様の活動を展開。2020年5月サイボウズ株式会社に入社、コネクト支援チームにて、地方ITコミュニティ活性化につながる活動を模索中。元工業高校教諭。
あとがき:
労力をかけないことに、労力をかける……。 禅問答のようなゆるさをテーマに8年間続けている勉強会。「ゆるい勉強会」は、西原さんがもともと立ち上げたものでそのDNAが受け継がれている。どんなネタの提案でも受け入れて、どんな発表の結果でも許容する。現代のギスギスしたニュースを見ていると、こんなやさしさにもっと出会ってみたくなるのは、きっと私だけではないはず。原稿を作る時、「労力かけない」で(読者が)読めるようにするには自分、何に気をつけるべき? という視点で考えてみました。
①文字量を少なく
②キャッチーな見出しにする
③見出しで目次になるのだから、目次で拾い読みできるようにする
④ふと目にして、なにげなく全部読めちゃったという文体にする
この①が一番難しい。文字起こしされた文は2万字あるのですが、前回も1万字超えるのものを削るのが大変でした。今回は書きたいところをピックアップして、note用に文字を書き写す形で創作することにしました。構成は音声コンテンツと合わせ、あとで辻褄があわないということには、しないようにする。そういった工夫をしてみました。なので9300字ぐらいで、前回よりは少ない……。
この①を勉強会運営に当てはめてみると、「勉強会を開催すること」に等しいのですよね。②〜④は品質なので、読み手の力量や書き手の素質に左右されるかなと思うのです。
単純に「減らす」「開催する」という文字だけみると、「誰でもできそうなこと」に見えるのですが、いやーーーこれが一番難しいと思います。「好きだからやる」この「好き」というのはこれまた玉虫色で、今日の好きは赤だけど明日は黄色になるかもしれない。そんな心移りが自分自身に発生しても、彼らは労力かけないことをモットーにしているので「労力かけないんだから、俺、労力かけんなよ」と呪文することができるんですよ。これってすごくないですか。
この原稿はそれなりに労力かけないと仕上がらなかったのですが締切があるからやり遂げた(笑)。でも、自由にやれる安心感もあるからここで書くのは楽しい。そういうことだな。
ともあれ、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
このイラストと記事を書いた人:鎌田広子(@kamapu)
この記事を、以下のライセンスで提供します
:CC BY-SA
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または、
サイボウズ株式会社 開発本部 コネクト支援チーム (西原・風穴) まで。
問い合わせ先:<insideout{at}cybozu.co.jp>