Code for Hakodate中村さんのいつかやってみたい『乗り物系LT大会』2つ
〜 流氷交差点 interview vol.5 〜
みなさんこんにちは、鎌田です。流氷交差点#5でございます。
この『流氷交差点』は、サイボウズ(株)の西原さんが、勉強会やイベントなど、"コミュニティ"・”IT”・”ものづくり”にまつわることを聞いて、音声のPodcastやその全文文字起こし、そして簡略版としてイラストをつけたこのnoteでまとめていくというプロジェクトです。
さて、今回のインタビュイー(話し手)ですが、Code for Hakodateの中村さんにご登場いただきました。
中村さんは、函館に活動拠点を置き、コミュニティ活動の他にコワーキングスペースやロボットプログラミング教室などを運営しています。地域に根ざした様々なイベントを実施し、世間の状況が落ち着いたらぜひやってみたい面白いアイデアなどこれからの挑戦についてお話いただきました。
語りの全てをお聞きしたい方は、Podcastへ。そのPodcastの文字起こし全文(2万字超え)をご覧になりたい方はこちらへ。
それでは、さっくり読める簡略版の当記事を、どうぞ!
あとがきもありますので、ぜひとも最後までおつきあいください。
Slackで進捗
報告しています
── 流氷交差点は#5、5回目になりました、ということで今回は、Code for Hakodate(※1) 中村さんをお呼びいたしました。ようこそお越しくださいました!
どうぞよろしくお願いします。
── さっそく、普段の勉強会の流れをお話していただきましょうか。
最近はですね、基本的には定例みたいなミーティングが多いです。それと週に1回Slack上にBotがですね「進捗はどうですか?」と聞いてくる。それに対して、報告をする、ミーティングというより報告会ですね。
── Botが何も言わなくても「やったな~」と思ったら書くんですか?
基本はSlack上のスレッドに返信する形です。これを作ってくれたのが高見知英さんで、まちづくりエージェントサイドビーチシティ(NPO法人 まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.)の理事をやっている人なんですね。
メンバーは累積すると76名で、今年アクティブなのが17名いますね。
繋がっている
心強い味方
── なるほど、堅調に増加ということですね。
ええ。「今年はどうですか?何かあったら声掛けしても良いですか?」と聞いて、大丈夫そうな人はその年のgeneralチャンネルに入ってもらいます。
── 比率で言ったら、大人が多いのでしょうか? それとも学生ですか?
半々ぐらいですね。未来大(公立はこだて未来大学)の学生がOBの層にちょっとずつ積み上がって15、6人います。
OBが繋がっていると”いい”というか。普段のやりとりには入ってこないんですけど、「困った!」って時に。ちょっと@つけて「誰々、どう? 今つなげれる?」と相談を受けてもらった、ということがありますね。
函館のITコミュニティは今、3つぐらいあるかな。Code for Hakodateもそうですし、あと「はこだてIKA」っていう、IT企業の集まり、そこのメンバーでJAWS-UGの人が年に1回、「HAKODATE Developer’s Conference 」というイベントを函館で1日やっています。
── 秋ぐらいにやっている大きめのやつですね。IKAにAWSでなんかしたい人もそこにいる。
AWSのコミュニティですね。IKAと繋がっています(※2)。JAWS-UG函館支部との協力関係があると言ったほうが近いかもしれません。メンバーの中に様々なコミュニティの人が所属しているんですね。
はこだてIKAや、 Code for Hakodateだと、わりと企業の人が多いというか。主にフリーランスのWebデザイナーとかディレクターの人がよく出入りしている「Hako Web Hacks」っていうのもありますね。そういった人たちは別の層としていらっしゃいますね。コロナ禍でそっちはイベントやれてないんですが、函館はけっこうフリーランスの人がいるので、実はそういう人たちが「繋がりたい」みたいな話がけっこうあって。ですが逆に今は、仕事が忙しくなっちゃった。
立ち上げは
「一緒にやろう?」
の一言で
── オンライン全盛で仕事が増えたと。昔話的なところで、イベントや立ち上げ時のお話などぜひご紹介いただければ。
実はCode for Hakodateと別に、Code for Donanというのがあって。実は僕はそっちの立ち上げメンバーだったんですよ。調べてみたら、Code for Hakodateはもう既にあって。
── かぶっちゃったんですか(笑)。
そうそう(笑)。Code for Hakodateにもう名前変えればいいんじゃないとか話をしていたのですが、先にCode for Hakodateの方の人がぼくらを見つけて連絡くれて。声かけてくれたのは当時中学3年生の人(杉本涼)で。彼の通っていた塾の塾長と立ち上げた団体だった。それで「じゃ、一緒にやろう」と合流しました。これが2015年の話です。
2015年の段階で「International Open Data Day」というイベントが、全世界で同時にやるぞみたいな流れがありました。僕は当時横浜に居たので、それを見て、「これ面白いなー、函館でもできるんじゃないかなー」と思っていて。そして帰省の折に、はこだて未来大に遊びに行ったら、そういうのを面白がってくれる学生が居た。「じゃ、一緒にやりますか」と。2015年2月にOpenDataDay函館(HAKODATE International Open Data Day 2015 )を開催しました。内容はほとんどHackathonとIdeathonでした。
ハッカソンで生まれる
雪道の課題
── 例えばどんなものがハッカソンで出てきたのですか?
だいたいあるのが、交通ネタが多いですね。けっこう函館って路面状態が悪いので。他の寒いところだと常時凍っているんですけど、函館の場合昼間解けて、水で平らになった状態で夜凍ってつるつるになるみたいな形になるんで。
── そうか、圧雪じゃない(笑)。
圧雪じゃないです。だから滑る時も多くて。それもあって、バスがけっこう遅れる。1時間遅れがざらにある、1時間に1本走っているバスだと、ちょうど周回遅れでくる(笑)。
── なるほど(笑)山手線が遅れる、みたいな。
そんな観点で、「うまくバスに乗る方法ないの?」という問題提起やアイデアがけっこうありました。
── 地元の人たちが感じてる課題ですね。なるほど、ちなみにこのイベントの時って函館市の職員さんはいらっしゃってたのですか?
そうですね、来てくれていましたね。呼ばなくても来てくれた職員さんも居て。告知は、Facebook、Twitterでやって、市役所にも報告はしました。そうしたら、情報システム課の人も来てくださったし、あと、経済部の誘致担当の人など。もともとそういうのに興味持ってくれる人が居るんですよね。そういう人はすごく足繁く通ってくれて。
足繁く通う人と
公立はこだて未来大学
── なるほど。会場はどこでやったんですか?
一回目のOpenDataDayは、公立はこだて未来大学でやりましたね。
── 学生もいっぱいいて、大人も参加者の中に居てって感じですか。
そうですね、ええ。大学なので。未来大の先生で何人か知り合いがいたので、その先生経由で「面白そうだね」っていうことで繋いでいただいて。当日はその先生とは別の先生に入っていただいたんですけど、その先生も面白がってくださって。よかったです。
函館ってどんな街?
── 函館は人口的はどれぐらいなんですか。
24万ですね。
── 函館は狭い領域で人がぎゅっと居るイメージ(笑)。
どうでしょうね。明確な中心街というのは、けっこうばらけてて。コワーキングスペースのMIRAI BASEって私の職場ですが、美原っていう場所なんですよ。ここも一つ大きい商業圏。もっと先に行くと、住宅街もありつつ、函館 蔦屋書店のある桔梗とか、石川と言われるエリアに人が多い。後は、函館空港とか、湯の川温泉とかある近くの、高丘とか上野町とか新しい住宅が建てられている。というのは、函館の元の中心地の外側なんですよ。ただ、元の繁華街としては函館駅や観光地として栄えているあたりとか。あとは飲み屋街がある、五稜郭の近く、本町とか。あとは湯川とか。
── ギュッとしているイメージ、街並みに切れ目がないということでもありますね。
そうですね。「函館市電」と呼ばれている路面電車が背骨として、切れ目のない町並みを作っているというのはありますね。
── 僕が富良野に居た時のことを思うと、函館は選択肢が無限にありそうに見えます。来たいと言う人も多そうです。
いますね。最近だとOSCの宮原さんに来てもらいました。プア ノー レジャー貧乏暇なしという面白い店名のお店で、白い無地の壁を使って、LT大会しました。
面白乗り物系の
面白LT大会2つ
── 面白い(笑)。毎回話題になるんですけど、面白懇親会会場シリーズって、ネタになりますよね。
やりたいのは2つ乗り物系であって。
── 乗り物(笑)。何をするつもりなんですか。
函館……さっきも話題にありましたけど、
路面電車
がありますよね。……(ちょっとの間)……借りられるんですよ。
── ええ!
貸切できるんです。条件がいい時は、2万円でビール樽一つ付いててビール注ぎ放題。もともとカラオケ電車というのがあって。市電の中でカラオケができる。当時はアナログ・ブラウン管の設備だったんですけど、なんならね、こっちで液晶集めてこう……LT大会できるんじゃないかと。
あと、もう一つあるんですよ、乗り物。
── お!
タクシーです。
── タクシー? ふつうに車じゃないですか。
リムジン!
── そんなの借りれるの(笑)?
これも確か1回2万円ぐらいなんですけど、リムジンナイトクルーズみたいなのがあって。
── きへぇ。
お願いしたらまぁ10人ぐらい乗るんですかね。人数限定になっちゃいますけど、なんなら窓全開じゃないといけないんですけど(笑)。
── そうね(笑)、換気しないとね、密になっちゃうからね。え、それどこ走るの?
たぶん貸切なんで、別にどこ走ってもらってもいいんじゃないですか?
── 函館山へ行ってから、裏夜景のほうへということもできるかもしれない(笑)。
まぁリムジンなんで、道が広くてぶつかんなきゃいい(笑)。
やってみたいんですよね。
── それ函館のタクシー会社さんがやっているんですか? やば(笑)。
LT大会にかこつけていろんなところでやりたいですね。やっぱりまちづくり関係のイベントとかもよく出て思うのは、街の魅力をピックアップしましょうみたいなのありますけど、逆に魅力がありすぎて、どこに資本投下すればいいか悩んで、結局なにもできないパターンとかありますね。
── 選択肢ありすぎも非常に贅沢な悩みですね。
魅力がたくさんあっても
一つに集中するか否か
原石だらけで、全部磨くだけの人数がいないので。いろんな原石にみんなが手をつけていくのだけど、なかなか一つにエネルギーが集約しなくて、結果弱くなってしまうパターンが多いですね。
── そう考えたらなんかCivic-Tech的なのも考えものですね。例えば南富良野は林業が基本だから、そこに集約してちょっと技術入れてみようとか、イメージつきやすいじゃないですか。上富良野だら地熱とか。テーマがあってそれに向かっていけるんですけど、課題が分散するとみんなで開発やろうというエネルギーは、実は起きにくいんですかね?
そうですね、僕もなんとなく守備範囲がかぶる人が多いんですけど、手をつけるものはたくさんあるから、なかなか大変。
── そのCode forや中村さんの居る範囲ですけど、技術系の人ってたくさんいらっしゃるんですか?
函館だと沿岸というか、海に近いところだと、まぁ造船関係の人もいますね。情報系は五稜郭周辺に多いです。
── あぁなるほど。確かに水産高校の機関科ですとか、機械系の学科がありますからね。
函館から近い青森の話
と
ダンボリアン
あの(話変わって)、”ダンボリアン”ってイベントがあって。
── なになに、ダンボリアン? 何をするんですか? それは(笑)
ダンボールでコスプレするっていう。
── なるほど?(笑)
ダンボールを使ってコスプレしたりとか、フィギュアつくってみたりとか、ダンボールの可能性を探るという。
── それ何、年1のイベント?
今年は2回ぐらいやったかな。ただオンラインで、人間の体の大きさで作っているのが普段のダンボリアンなんですけど、去年と今年(※3)はミニチュアねぶた祭りの練り歩きみたいな。そのねぶたに載せるやつをダンボールで作ろうと。ねぶたの街を練り歩く状態を、生中継で番組として流すんです。
── それこそみんなで行ってやってみるのも面白そうな感じがしますね。
そうなんですよ。”少年少女発明クラブ”も青森がかなり活発にやっているみたいです。
うちの函館でもロボットプログラミング教室でやっているんですけど、系列でやってる大会がいきなり全国大会になったりするんですよ。
── 参加すれば代表になるという(笑)。
そうですね。ただまぁそれだとハードルが高いので一回地区で自信つけてあげたい。すぐ負けると嫌じゃないですか。函館で地区大会でやるにも、教室は1つしかないので。作った作品を競ったり発表する場というのが、ロボットだと対象が限定だったりで無いんですよ。それでもっと地域の人たちと交流できたらなと調べたら、青森でロボコンをやっているのを知りまして。
小中学生対象で青函 (せいかん) 対抗戦! とかやれればいいなと、それも
フェリーで。
そして
フェリーでロボコン大会
やってみたい
── フェリーでやる(笑)。
ターミナルも大きいんで、先に大会やって、ついでに観光とかして交流とかもできればいいのかなと。
── 地域おこし的な側面もあるし、青森と北海道でお互いの文化圏を知ったりできるでしょうし。
エンジニア輩出というのと、街を元気にするということが両方できるなら、面白いことが起きてくるのかもしれないですね。
そうですね。なんならもう息をするようにものづくりをするような環境を作れればなと。函館の未来大生のベースは、ほんとに恵まれてると思います。
問題点はさっき言った通り、磨くものがたくさんありすぎるから、どれを磨くかで迷うという点でしょうか。
── 環境的にも恵まれすぎて下山してこないんじゃないかなという。
ああ、それは狙っているのかなって気がしますね。最たる例だと、つくば。山の中。ノイズがないからキンキンに没頭できる環境は整っている。
賢い人材の活かし方
── 賢いのが出てきにくいというのは、もったいなポイントでもありそうですよね。
そう。なんなら未来大をひっぱって、毎日1センチずつ動かしたい気持ちはありますよ。
── だんだん五稜郭に寄せていく(笑)。ところで、未来大の学生が他の学生と接点が持ちにくいという課題は、どうすれば良いですかね?
そうですね、それこそ他大学の学生と絡みは、インカレの活動とかあるのかなぁ。環境系のサークル入っている子とか居ますね。
あとなんだろ、函館山の麓のロープウェイのところに、「FMいるか」があって、そこで「キャンパスデイズ!」という番組をやってますね。大学や短大の子達が、週替わりで番組をやると。それで交流会があって、仲良くなるみたいな流れはあるらしいです。
── 函館は大学もたくさんある。交通の便も良い。だけど、もうちょっと大学間の交流が増えて突破できる何かがでてくると、面白コンテンツがもっと発生するのかな。