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こんな私だからこそ

あの人すごいな。
この人もすごいな。

ていうか、私以外、みんながすごい。


隣の芝生は青く見える?
そうなんだけどさ。

でも実際のはなし。
みんな、すごいんだよね。

専門的な知識や技術を鍛えてきていたり。
たっくさんの人が求めるようなモノをどんどん送り出せたり。
人の支えになれたり。
教えることができたり。
やることが直ぐにお金に変わったり。
外国で普通に生活できてたり。
どんな人にも分け隔てなく接することができたり。
苦境でも笑顔でいたり。
早く走れたり。
美しく踊れたり。
彩りよくて美味しいご飯が作れたり。

キリがないね。
なんでみんな、こんなにすごいんだろう。


私には、なにもない。

知識も借り物ばっかりで、専門家じゃないし。
料理も掃除も下手だし。
特技らしいこともない。
なにやっても中途半端だから、仕事になんてならないし。
かと言ってお勤めも、一つの職場じゃ続かない。
運動できないし音楽もダメ。
人を楽しませるとか、どうしたらいいか全然わからない。

もうほんと。
何もなくて嫌になる。


だけど。
だけど。
だけど。

それでも。
それでも。
それでも。

きっと、なにかできることが、あるはずだ。

だから、思ったことはやってみる。
それだけは続けてる。

できるだけ、誰かに見てもらったり聞いてもらったりもしてる。
それも、続けてる。


「あなたは人が何かした時それに反応しているだけで、自分自身からは何も発していない」

そんなことを言われたこともある。
すごく悲しかった。
凹んだし。

だけど。
私には何もないのだから。
誰かの何かに反応してるだけ…っていうのは、間違ってないね、とも思った。

だから。
反応してるだけだとしても、思いついたことは続けてる。


それでもいいじゃない、って、思っている。

だって。
何もないからって、何もしないままだったら、何もないまま終わるってことだけど。
続けていたら、もしかしたら、何かが出てくるかもしれないじゃないか。

もしかしたら、出てきた時が死ぬ時なのかもしれないけれど。
それでも、いいじゃない。


こんな私だから何をする価値もない…んじゃなくて。

こんな私だからこそ、何かするしかないんだもん。

こんな私を、楽しむしか、ないんだもん。

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緋呂@ひとりからはじめる天下泰平
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