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カムイ 我が身の一部となり

今日、ヒグマを、食した。

ほんの一欠片ではあったが。



ジビエ
といったら、あなたは何を思い浮かべるだろうか。

わたしが住んでいる地域は農作物の獣害も多く、野生の鹿だの猪だのが普通に出没する。
クマ肉を扱うお店もある。

しかしさすがに、北陸にいないヒグマ肉を扱っている店はない。
(たぶん)
(扱っていたとしても、地域で捕獲されたものではありえない)


ヒグマ肉っていったらもう、アシリパさんしか思い浮かべられないわたし。
まさか、ご相伴にあずかる機会があろうとは。
ツキノワグマも食したことがないのに、一足飛びにヒグマ。


ぶっちゃけ。
味は、よくわからなかった。
残念といえば残念だが、なんせカレーの具となっていたので。

しかし、ごろっと塊のままなのに、スプーンでさくっと切れるやわらかさに煮込まれたヒグマ肉は、牛豚とは違う「獣」な雰囲気の香りだった。

カレーのスパイスにかき消されすぎない、野性味。


アシリパさんが感動しまくったオソマ仕立てで食してみたい......ような気もする。

ああ...アシリパさんがわからない方のために記事末にリンクしておく。



予期せぬ展開だった。

友人の運転で、山のカフェへとドライブした。
が、お目当ての店がお休みだった。
(Googleマップに掲載の店情報では営業日になっていた)

せっかくなので、付近に他の店がないか調べたところ、ほんの数分の距離にもう一軒発見。

ランチは他で済ませていたので、コーヒーとケーキを注文した。

テーブル2席とカウンターという、こぢんまりした綺麗な店だった。
入店時にカウンターにおられた先客が帰られた後は、わたし達だけ。

マスターも交えてのおしゃべりで、ジビエの話題が出た。
店の入り口に立派な鹿の頭骨が置かれており、店内にも惚れ惚れするような美しい鹿角がたくさんあった。
そこから始まっての、「食べたことある、ない」話。

わたしはクマ肉はまだ食したことがなかった。
その流れで、マスターが「うちでは時々出しますよ」...って、今まさにヒグマ入りカレーがほぼできてるっていう状況であったと。

それを、ご好意で、友人とそれぞれ一欠片ずつ、出してくださったのだ。


人間はすごいと思う。
個としては最弱かと思われるのに、最強に近いであろうヒグマさえも喰ってしまう。
もちろん、喰われることもあるわけだが…双方の個体としての強さを考えたら、人間が喰う側になるっていうのはもう、クマ的には「なんでやねん」ではなかろうか。
ほんのちょろっと撫でただけで生命が危ういような脆い生き物なのに。

いただくお肉は、命があったものの躯だ。
一片だったとしても、喰うことで、その者の力を我が身に取り込む。

今日、カムイが我が身の一部となった。



現代では、ほとんどの者は、生きていた時のことを考えないまま食す。

そこに罪を見る人達は肉食を禁忌にするが。
わたしは、どちらかと言うと、禁忌と感じるのは食にさほど困っていない環境があるからだ...と思っている。
(禁忌としている人達を否定はしない。念のため)




アシリパさん


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