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家づくりにまつわること(11):建築設計事務所をパートナーとした住宅完成までのフローとスケジュールについて

建築家の選定とコストについて把握できたら、次に建物完成までのフローとスケジュールの確認になります。

この投稿では、建築設計事務所をパートナーとした設計施工分離発注方式における住宅づくりの完成までのフローを書きますが、各フェーズに必要な期間に違いはありますが、どのような規模でも基本は同じですので参考にしてください。


◉ 住宅の完成までのフロー


建築のフローはこちらにも記載しておりますが、大きく5つのフェーズに分かれています。(https://www.merakitecture.jp/faq


●フェーズ1:基本計画(構想)(1ヶ月程度)

このフェーズでは、建て主へのヒアリングと現地確認をした後に法規関係を調査し、建築可能なボリュームを策定し、計画の方針をまとめるフェーズとなります。ヒアリング後、住宅や店舗など小規模なものであれば1〜2週間後、それ以上の規模となるものについては、1ヶ月程でまとめ、プレゼンテーションを行います。内容にはよりますが、小規模な設計事務所ですとここまでを無料で行なっているところも多いです。建て主は、この方針で進めたいと思えば、設計事務所と契約を交わすことになります。(設計監理契約)


●フェーズ2:基本設計(3ヶ月程度)

契約後は基本設計のフェーズに入ります。

基本設計フェーズでは、基本計画をもとにより具体的に必要な機能をプランに反映させることで、計画自体をより現実に近い形につくり上げ、工事するための図面を書く前のベースとなる計画を策定する検討フェーズです。そのため、必要構造耐力や必要トイレ数の確認など必要なクライテリア(設計基準条件)の説明・協議を合わせて行い、建て主の求める必要な性能も押さえていきます。また、工事費を見据えながら、プラン・デザイン・イメージ・色・素材の他その他構造・設備等は、この段階で十分に時間をかけて検討します。このフェーズの成果物として、基本設計図を作成して、一式を建て主に提出します。規模が大きい物件の場合、予算管理の観点から、基本設計完了後に工事費概算を算出します。


●フェーズ3:実施設計(3ヶ月程度)

このフェーズでは、基本設計をもとに工事の見積・発注ができるほどの図面作成・検討を行います。そのため、詳細検討を経て、各種仕様・寸法・素材の決定を行います。また、関係法令を扱う諸官庁と協議を行い、その内容も計画に反映していきます。確認申請をはじめとする諸官庁への申請はこれと並行して行われる方が理想ではありますが、業務量の関係から一般的にはこの後の第4フェーズで行われるケースが多いです。このフェーズの成果物として、実施設計図を作成して、一式を建て主に提出します。


●フェーズ4:工事見積依頼、見積査定・調整、工事請負契約、確認申請業務(1ヶ月程度)

このフェーズでは、実施設計で作成した図面を工事施工者に提出し、見積もりを出してもらいます。規模や状況により、3社程度へ見積もりを依頼し金額比較を行います。最終的には、施工業者の技術や能力を踏まえて総合的に判断し、施工業者選定の助言を行います。施工業者が決定した後に、建て主・施工業者間で金額交渉・減額項目の協議などを行い、予算に合うよう調整します。建て主と施工業者の双方が金額合意できれば、双方は工事に関する契約を交わします。(工事請負契約)また、これと並行して建て主を代理して確認申請をはじめとする諸官庁への申請必要書類を作成し、提出します。(フェーズ3で完了できなかった場合)


●フェーズ5:工事着工〜竣工(6ヶ月程度、※工事内容による)

工事請負契約が完了しましたら、施工者は工事の準備をし、地鎮祭を行った後に着工となります。工事中、設計事務所は建て主の代理として、請負契約図面どおりに現場工事が行なわれているかどうかを検査・確認を行い、必要な場合には施工業者を監督・指導します。(工事監理業務)そして、これらの内容を定期的に建て主に報告します。そのため、工事中の進捗も把握できて安心して頂けます。工事完了時に建て主・当社・施工業者の立ち会いのもと、最終チェックを行い、引き渡しとなります。



以上が建築設計事務所をパートナーとした時の一般的な住宅完成までのフローになります。完成までの期間は、設計施工一括の場合に比較して約1年2ヶ月と多くの期間を要します。

しかし、きちんと建築のあらゆる点を比較しながら選択し、ひとつのものを形づくるにはこれだけの期間がそもそも必要なのだと思います。

そして、建築設計事務所は各フェーズにおいて、全体を俯瞰し把握しながらリーダーシップを持ってプロジェクトを進行していきます。逆にこのリーダーシップが無いと判断される場合には、問題が起きる可能性があるということになります。

私の事務所では、このリーダーシップはもちろんのこと、検討過程から建て主の積極的な参加をお願いしています。”質”をつくる現代ではコミュニケーションのあり方が見た目を超えて、性能や住みやすさ、快適さを左右すると考えています。

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