家づくりにまつわること①:ハウスメーカー・工務店に住宅を依頼する時に読む投稿
当社では、定期的に家の新築やリノベーション、リフォームの相談会を開催していますが、住宅を建てようとするとき、どこに設計してもらえば良いかわからないと良く質問を受けます。そして、その会話で良く感じることは建築設計事務所・建築家の役割の多くが知られていないということです。これから数回の投稿に分けて、量よりも質が重視される現代において、どのような家の実現方法がふさわしいのか、そのあり方について書いていきたいと思います。
当たり前ですが、建て主にとって家を建てるという行為は一生に一度あるかないかのことだけに、いざ建てようと思っても経験がなく、「わからない」ため慣習、広告に流れやすいことが理由にあるかと思っています。
この「わからない」ことにより、ハウスメーカーや工務店など「わかりやすい」設計施工一括(注文から工事完了・引渡しまでを一括して担当する)を業務範囲とする会社に依頼するケースがほとんどです。
しかし、そのメリットやデメリットはあまり語られません。
ここでは、それらについてシェアしたいと思います。
◉ 家など建物を建てる時には大きく2つの依頼方法がある
まず、家など建物を建てる時には、大きく分けて2つの依頼(発注)方法があります。
(a). 設計・施工一括発注方式 → ハウスメーカー、工務店、ゼネコン
(b). 設計・施工分離発注方式 → 建築家 + 工事会社・工務店など
ここで、(a)のハウスメーカーや工務店のような設計施工一括の関係は下図のようになります。
この方式の大きなメリットは、
1. 規格やベースができているため、依頼してから、少ない打ち合わせ回数で比較的早く完成する。
2. 設計と施工が同じ会社なので、計画当初のコストやスケジュールが遵守されやすい。
3. メーカーブランディングにより、信頼性が高いという見方が強い。
デメリットは、
1. 変形敷地への対応など、プラン・デザインに制限のある場合がある。
2. 比較的、コストが不透明・不明解である。
3. 比較的、工事の内容が不透明・不明解である。
4. 法律・耐震・省エネといった技術的な面の対応が比較的限定されている、もしくは弱い。
◉ 設計・施工一括発注方式における懸念
私がここでポイントにしたいことは、2〜4の内容です。
関係図から分かる通り、建主側は見積りの見方がわからず、工事状況などを確認できる専門的なことは知識不足なので、どちらも言われたことが本当に正しいかどうかわかりません。また、法律・耐震・省エネについても、確認申請時に必要な届け出が判明し、スケジュールが遅延する、過剰な断熱スペックではあるにもかかわらず、それが標準スペックである住宅タイプを選択するなど適正ではない案件も良く耳にします。
建て主は計画当初の概算やスペック、プランに対しては、個々の価値観で言えるのですが、「専門性の高い内容や必要なスペックまでは本質的に「わからない」ものです。
つまり、想いと時間を使ってつくってもらった建築図面の内容と出来上がった家が一致しているということが「わからない」ということです。
◉ ではどうすることが良いのか?
量よりも質へと目線が変わってきた現代においては、建て主自身が色々な目線で見て適正だと思い、所有物として理解できていることが重要になります。従って以下の3点が重要だと思います。
・家のスペックが適正化される。
・コストの妥当性が理解できる。
・工事中の過程において、工事の状況が解説され、理解することができる。
以上ができれば、「わからない」状況は緩和されることと思います。
これらを業務範囲とし、家などの建物に関わる事柄の「バランスをとる」ことができるのが、「建築家」です。
始めに書いておきますと、ハウスメーカーや工務店を通じて家を実現することと、建築家を入れて家を実現することを比較しても、実現までの金額はほぼ同じだと言われています。
建築家の役割やその職能については次回の投稿でシェアします!