Just Eat Takeaway.com Q2 2021決算を読む
ヨーロッパ・米国で展開しているオンラインフードデリバリーの会社であるJust Eat Takeaway.com(JET)のQ2 2021決算が7/15に発表されたので、今回はその内容を見ていきます。
この記事で参照している、会社の資料は下記から確認できます。
Just Eat Takeaway.com Company Update June 2021
また、過去にオンラインフードデリバリー全体についても記事を書いたのでこちらも良ければ参照下さい。
注文数やGTV(総取引総額)は、引き続き大きく伸びています。コロナ初期のロックダウン後でも、オンラインフードデリバリーへの需要は強いと言えます。
元々、JETはマーケットプレイス型(※料理の配送はレストラン側が行う、またはユーザー自身がレストランに取りに行く。)のビジネスでしたが、Uber Eats・Deliveroo・DoorDashなどのロジスティックス型に対応するために、配達員を用意して、ユーザーへの配送を強化しています。JETはマーケットプレイスモデルとロジスティックスモデルのハイブリッド型です。
決算資料上、"Delivery Order"という形でMarketplace Orderとは区別して報告されています。こう見ると、JETにおいて、Delivery Orderは急拡大していますが、全体として、約2/3はMarketplace Orderとなっていることが分かります。ハイブリッド型でユーザー・レストランへ両方の選択肢を提示することで、Marketplace Order・Delivery Orderともに成長させています。
上記の国別表を見ると、ヨーロッパで最大のマーケットはUKとなります。
そのUKにおいて、JETは1位です。
JETはUKの中でもロンドンに投資しており、Uber Eats・Deliverooと激しい競争となっています。
ヨーロッパ市場でもう一つ、Watchすべき国としてドイツがあります。ドイツはJETが支配しています。
しかし、そのドイツ市場に近々Delivery HeroとUber Eatsが参入しようとしています。
UKやドイツで競争が激しくなると、JETの収益が悪化することになります。
JETはアメリカのGrubhub(※これもハイブリッド型)の買収を6月に完了させ、ヨーロッパ市場に加えてアメリカ市場にも参入しています。
Grubhubはサンフランシスコ・ロサンゼルス・ニューヨークなど、人口密度が高い大都市の多くでシェアNo1となっています。
Grubhubは大都市でのシェアを伸ばしていく戦略です。これはヨーロッパ市場でJETが行ってきたことです。人口密度が高いほど、自分たち(家族とかウェイター を使って)で配送するマーケットプレイス型を選択したいレストランがいるはずなので、ハイブリッド型のGrubhubに優位性があります。
ヨーロッパ・アメリカ市場で激しく競争を続けているJETのEBITDAはマイナスとなっています。これはJETに限った話ではありません。各社、マーケットシェア拡大を第一に投資を続けています。
今はEBITDAマイナスのピークであって、今後は改善すると言っています。fee cap(※コロナでダメージを受けたレストランを支援するために、オンラインフードデリバリー会社がレストランからもらうfeeに一定の上限を設けるような自治体の規制。)が一時的にEBITDAを悪化させているようです。
このEBITDAの悪化が嫌気されたのか、決算発表後のJETの株価は10%以上下落しています。
ここまでJETのQ2 2021決算を見てきました。EBITDAがマイナスな訳ですが、これはオンラインフードデリバリーの市場拡大が今後続くことを期待して各社が投資しているからです。しかし、それだけの魅力があるにしても、いつまでも赤字を垂れ流し続けることはできないので、最終的にはこのアグレッシブなシェア拡大競争は終わりを迎えます。その時に、No1・No2プレイヤーとして生き残っているかどうか、これが全てです。
下記のようなことを考慮すると、JETはオンラインフードデリバリーの戦いを生き残れるように僕には見えます。さらに、他と比べてJETのValuationは低いです。
・既に欧米でNo1であること。
・ハイブリッド型の優位性があること。
なので、今回の下落を受けて買い増ししたいと思います。
引き続き、オンラインフードデリバー業界の動向をWatchしていきます。