戦略論：自己成長

マジシャンの成長とは

　この章では、自己成長を題材にしているが、そもそも、マジシャンの成長とは何を指すのだろうか。
　その答えは、本書をここまで読んでくれた読者には、あらかた答えがわかっていることだろう。このテキストでは、マジック業界とプロマジシャンについて、まず定義した。その定義の姿を目指すことが、まず成長だと言える。プロマジシャンに必要なスキルも紹介した。それぞれのスキルを会得することが、成長だと言える。理念やビジョンの重要性も記した。それを見て理念、ビジョンを設定したならば、すでに成長は始まっているだろう。様々な戦略も伝えた。それらを勉強してきた今、テキストを読む前に比べると、あなたは大きく成長していると言うことができるだろう。

　しかし、それでもなお、成長論を章立てしたのは、成長こそが全マジシャンの一貫した目標であるからである。すべてのマジシャンの、すべての課題は、あるひとつの答えで解答できる。それが「成長」なのだ。
　どうすればマジックが上手くなるのか？
　どうすればお客様に喜ばれるのか？
　どうすれば売り上げが上がるのか？
　どうすれば仕事が取れるのか？
　どうすればまた見に来てくれるのか？
　どうすれば世の役に立てるのか？
　それらすべての課題に対する答えは「あなたが成長すればよい」なのである。

　すべての課題は、とてもシンプルな答えを導き出すが、ではどの部分を成長させればよいのか、と個別の事例に分けて考えることもまた、とても重要である。
　この章では、6つの項目について、成長論として紹介することにする。