帯広は芽室から車で20分くらい
高校まで札幌で育ったけど生まれは芽室です、って説明するのが妙に誇らしい。妹は札幌で生まれたからそれがうらやましいらしい。
たぶん当人以外は何の話???ってなるんだけど。
小さい頃に親戚を訪ねて芽室に行って札幌では体験できない景色や出来事にわくわくした記憶が強烈に残っている。そこで育てば普通なんだろうけど、だだっ広い景色に視界の横いっぱいに山脈がつながっている。僕がよく知っている札幌の街並みと地続きで繋がってる感は全くなく、ただただ圧倒される。
僕にとって「そういうわくわくする特別な場所が自分のルーツ」という事実が、何か根拠のない自信のような安心感のようなものになっているんだろう。「自分が何者か」に納得していくプロセスの一つなのかもしれない。
芽室は人口でいえばいわゆる小さい町なので知らない方も多いだろうが、車で20分くらいに帯広があると言えば大体場所が想像つく人も多いかな。それでも北海道に縁のない方は、「んーー、まあだいたい、たぶん」くらいか。
そんで、芽室で生まれて38年経って芽室から車で20分くらいの帯広に住むことになった。帯広畜産大学の教員になる。
ちなみに、北海道以外で育った人にそれを言うと大概
「寒いよね、雪もあるでしょ、大丈夫?」
と言われるけど、
「僕にとって冬に外が寒くて雪があるのは普通のことだよ」
と説明する。あと、
「家の中は京都よりあったかいよ」
と付け加える。
7年くらい前に住んでたコペンハーゲンの冬の外は普通に寒いし、6年くらい前にアイスランドに永住する覚悟を決めたこともあるので今回の気候の変化はあまり気にならない。
今までの引越しは全く知らない場所か既に知ってる場所だった。引越しの前には、終わった順にそっこーで忘れていく手続きの他に心の準備も自然とすることになるんだけど、引越し先を知らない場合はわりとぴりぴりする感じ、知っている場合はわりとリラックスする感じになる。
今回は全く知らない場所でもないし知ってると言える程でもない。あと、土地柄的にわりとリラックスした生活になる気はするけど、仕事内容的にそれとは反対の緊張感もある。僕の性格的にどっちかに振り切った方が楽なんだろう。どうも宙ぶらりんでしっくりこない。
しっくりこないのが気持ちわるいので「今のうちに何かできることを」と人生で初めて車を買った。帯広では一家に何台もあるのが珍しくないのは知ってる。まだ引越しまで1ヶ月以上あるけど、とりあえず。
これで「芽室は帯広から車で20分くらい」の準備ができた、けどまあそういうことではない。
ここまで来て、全く新しい未知の場所に移ると思い込んでみることにした。
"帯広"という言葉は小さい頃から聞き慣れてはいるけど、実際町の様子については「十勝川温泉行った」とか「豚丼おいしい」とか観光的な意味でしか知らない。
というか調べると、十勝川温泉は隣の音更町ということらしい。まあ、そんなもんだ。
また未知の場所で新しい経験をすると思うとしっくりくるみたい。
まさかこうなるとは
わからんもんだね