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いつの時も...ねこ③


その者の小さな前足を見た時、
男はふと思った。

この小さい者が、
この首飾りの足の主かも知れない。

そう思ったので、
男は、首飾りに付けられた足あとをそのものに見せた。



ねんどに含まれたわずかな鉱物が
森の木漏れ日にきらめいた。 

そのものはもれなく反応して止まった。

その者からすれば、
首飾りになる前の土を踏み、
ねんど質だったものだから、
足に着いてしまった印象を残していたので、
関連性をとらえたのかもしれない。


そのものは、まだ若く、
野生で生きているものではあるが興味が勝ってしまい、
肩より顔を下げて警戒してても、
縄文人の男に近づいてきた。


男は、その者には狩りの覇気が出していなかったことを感じ取った。


だからあぐらをかいて地面に座った。
その者はもはやすぐそこまで近づけていた。

首を下げてそろりそろりと向かってくるその者の速度に合わせるように、
男は、持っていた首飾りをゆっくりとその者の顔の高さまで下げた。



その者は、首飾りの足あとと再会を果たすと、鼻先が触れた。


これが偶然にも、ねこという生き物の挨拶になっており、
縄文人の男は、ねこに触れることもできた。

人の手に触れられたことが初めてであろうねこの背中が、突風に吹かれた川のように波立った。


膨らんだ何かはしっぽだと思う。
膨らみがやんで見てみれば、
とても長く美しいしっぽ。
毛の流れも艶やかで、手入れがされている。

縄文人の男は思った。
この世界でこれだけあざやかな輝きは見たことが無い。


男は、このものを見て幸せな気持ちになった。
これが、縄文人と、猫の初めての出会いだという。

知らんけど。


後日談、
この出来事から縄文人と猫の付き合いは続き、
男はこの猫を観察し続けた。


集落の縄文人は言う。

『男の作る土器が美しくなった』
『手に馴染む』
『見ていて心地いい』
『たまに変な毛がついている』


きっとそれらは猫のおかげだろう


おわり
 
 
なんと完全再現!
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