AI作曲コンテストで受賞!そして歌詞作りは重要!
先日だーこもさんの企画で開催された第1回だーこもAI音楽祭にて、私の作品「雨の囁き」が見事だーこも賞(だーこもさんの心に一番響いた曲に授与)を受賞しました!だーこもさんありがとうございます!
受賞した曲はこちらです。
梅雨入り×バラードというテーマで募集され、今回2曲応募した内の1曲です。
自分でもなかなかいい出来栄えだと思うのですが、他の人にもそれが届いて心に響いたと評価してもらえると作った甲斐が1万倍ぐらいあります!
今回はこの曲ができた経緯というか、どんなことを考えながらどんなことをして作ったのかをざっくりと記事にしてみようと思います。
1.構想
今回のコンテストのことを知る前から、今度は耽美系テクノポップあるいはエレクトロニカ風の曲が作りたいな、もしくはオルタナティブ/パンク系とかも作ってみたいなとモヤモヤ考えていて、そんな中「梅雨入り×バラード」というテーマが与えられたのでこれは耽美系でいこう!とざっくり方針を決めました。
ちなみにここでいう耽美系としてイメージしているのはコシミハルさんの曲です。
おませな少女と大人の男性のイケナイ関係、秘密の時間。暗闇の中のキュートな世界観。嘘とリアルのないまぜ感。
生成AIでそんな微妙な味わい出せるんかなーという疑いと、どんなのが出てくるんやろうという期待でワクワクしてました。
2.手段
耽美系の歌詞を考える上でおそらくChatGPT先輩は役に立たないだろうなという想定がありました。理由としては耽美的コンテンツとして必須のセクシャル要素に対して知らないふりしてくることが予想できたからです。
試してみたところ、何かしらイケナイことを考えて回答が止められてしまいました。
そこで第二の作詞アシスタントであるGoogle Geminiさんにお願いすることにします。Geminiさんは性的表現や暴力表現などにたいするフィルタ強度を変えることができるので表現に対して寛容です。
いずれにしても丸投げではいい歌詞はできないだろうと思っていたのであくまで自分の妄想を膨らませるためのアイデア提供をしてもらい、実際の歌詞は膨らんだ妄想の勢いでイメージを書き出し、そのイメージをAIでブラッシュアップする、という手順を想定しました。
やりながら気づいたのですが、歌詞作りにはシチュエーション設定が重要だなと思いました。表現したいシチュエーションが明確になってないとボヤッとした歌詞になってしまいがちな気がします。
3.手順
3-1. Geminiさんと会話しながら耽美世界を自分の脳内に構築する
3-2. ゴールイメージの曲の雰囲気と脳内耽美世界をミックスして今回の作品のシチュエーションを設定する
3-3. 上記のシチュエーションから連想される耽美歌詞を自力生成する
あらためて書いてみて思いますが自力要素多いですね。自力でやっていることをうまくAI化できればもっと自動生成で高品質の歌詞が生成できるのかもしれませんが、自力生成自体なかなか面白いのであまりAI化するモチベーションが湧きません・・・
3-1.耽美世界の脳内構築:
イメージを提供してもらうのが目的なので、システムプロンプトとして下記のように耽美小説家という設定にしてアイデアを出してもらいました。
下記のように質問してイメージを具体化していきます。
こういう設定を考えてもらえると、それがどう展開すると耽美感が出るかなんとなく見えてきますよね。この例だと下記のように自分の妄想要素を提供して具体化してもらいます。
こんな感じでGeminiさんも妄想を展開してくれるので、今回のテーマ「梅雨入り」の要素を盛り込んだ設定をさらに考えてもらったり、ちょっと違うなと思うところを指摘しつつ歌詞にする材料を見つけていきます。
3-2.作品のシチュエーション生成:
Geminiさんとやりとりしている中で自分の中に耽美世界のイメージができてくるので、そのイメージとゴールイメージのコシミハルさんの曲、例えば「逃亡者」、「マドモアゼル・ジュジュ」、「パラレリズム」あたりを脳内再生しながら自分でいい感じのシチュエーションを生成していきます。
例えば、Geminiさんが作った会話劇の設定で古い洋館とか夜の遊園地の観覧車とかがでてきました。なんとなく二人だけの世界の雰囲気を出したいので閉ざされた部屋という設定とか良さそう、みたいに思いつきます。すると部屋に閉じ込められているけどそれが幸せ、みたいな歪んだ愛の世界が見えてきます。
コシミハルさんの曲は公式で公開されているものがあったので貼っておきます。
3-3. 歌詞の自力生成
シチュエーションのイメージができれば色々と言葉が出てきます。たとえば、閉ざされた部屋というのを「窓のない部屋」とかにしてみます。すると窓がないから外が見えない→梅雨が来てても部屋の中からはわからない→でもあなたが濡れた黒い傘を持ってるから雨が降っているのがわかる、という感じ。
で、濡れた黒い傘ってなんとなくエロティックな解釈できそう、とか窓のない部屋というのも物理的にそうなのではなくて比喩表現として捉えることもできそう、とか、自分でも100%把握できていない耽美世界の歌詞が生成されてきます。これがなかなか楽しいんですよ。AIももしかしたら文字生成が楽しいのかもしれませんね。
そして最終的にできた歌詞はこちらです。
コシミハルさんの影響をガッツリ受けてフランス語歌詞を入れたりしてます。この歌詞はたしかGeminiさんに表現したいイメージを伝えて、韻を踏む歌詞のアイデアをいくつか出してもらったりしてできたものです。こういう作業はAIがとても役立ちます。
4.曲生成
歌詞さえできてしまえばあとはudioかsunoに与えていい感じの曲になるように文字数修正したり韻を踏むようにしたり試行錯誤します。この辺りはまたAIの力を借ります。
sunoを使う場合は自分でコントロールする要素が少なくてほぼガチャなので、ざっくりしたイメージからスタイル指定してあとはガチャるだけです。
今回はバラードなので、最初は"Slow ambient electronica, girl voice"で作ってみました。最初にできたのはこんな感じでした↓。
これはこれでいいのですが求めている耽美エレクトロニカの雰囲気とちょっと違う気がしました。脱力的すぎるのでしょうか。もうちょっと不幸と幸せのないまぜ感が欲しかった感じです。あと、一発で4分の曲ができてしまう新仕様で今回の規定の140秒をオーバーするのでボツです。
最終的には"Slow new wave, dark post punk, 1980s, girl voice"で今回のOK作品ができました。
140秒という規定を満たすのが意外と大変でした。最近のsunoは短い曲の生成はなるべくしないように学習している気がします。
5.作ってみて思ったこと、気づいたこと
歌詞は重要、ですね。
手間をかけずに丸投げで生成しても曲としてはいいのができたりはするのですが、聴きたい曲にはなかなかならないのが現状かなと思います。
AIで生成するとどうしても焦点がぼやけた歌詞になりがちで、なんというかあまり味がしないんですよね。そして、表現したい曲のイメージを自分の中でしっかり構築する意味でも歌詞をちゃんと自分で考えるのが重要な気がします。これが構築できていると生成された曲がいいのかダメなのか見極められて、結果としていい作品に仕上げることができるんじゃないかなと思いました。
とはいえ、出来上がった曲は当初イメージしていたコシミハル風とは違ったスタイルになりましたが。こういう想定外だけどいいのができるというのはAI作曲のいいところですね。
最後に、今回AI作曲の成果を披露する場を提供していただいただーこもさんに改めて感謝です。こういう場を作れる人ってすごいなと思います。
次は当初イメージしていた感じの耽美エレクトロニカを作るべく色々試してみようかなと思います。
ではまた!