見出し画像

Civic Tech Forum2021でのトレンドとシビックテックの今後

今年も経済産業省としてCivicTechForumに参加させていただいた。毎回参加するたびに様々な発見や知見が得られ、今回も勉強になった。自治体職員の方々はこういう場に積極的に参加されているが、中央官庁の人達ももっとこういう場に参加すべきだと思う。新しい政策のヒントや、シビックテックとの連携の可能性は自らがコミットしていかないと、見えてこないものである。
今回は自分の中で今年のトレンドとして感じた部分を整理したい。

Govtech企業の参加

これまでも行政サービスを改善するソリューションを提供するGovtech企業の参加はあったが、今年はより実用に近いサービスを提供する企業が多かった。
Insight Labはアーバンデータチャレンジでも金賞を取った企業だが、オープンデータを活用することで育児中の母親を助けるアプリを紹介していた。仙台を拠点とするが、今後他の自治体にも拡大していくという。

DAPは許認可申請のSaaSを提供している。説明がわかりにくく、自治体ごとに異なる許認可手続についてなるべく標準化したデータフォームで入力し、その内容を申請書に印刷できるサービスを提供している。今後行政側がDAPのデータを受領できる環境が整備できればオンライン完結するサービスとなるだろう。

ノーコード、ローコードツールによる民主化

シビックテックにおけるノーコード、ローコードツールの実用化は今年の発表でも多く見られたトレンドだ。コードを書かなくてもサービスが開発できるこれらのツールはシビックテックと相性がいい。
Glideはモバイルアプリを作れる無料サービスで、使っているという声も多く聞こえた。

Wixは無料のホームページ作成ツールで、直感的な操作で簡単にウェブサイトを構築できる。目的に応じたウェブデザインをサジェストしてくれ、様々なウィジェット等のプラグインも充実している。

Power Automateは業務フローを自動化することができるツールで、自治体などでも利用が進んでいるようだ。

地図アプリを簡単に作れるツールとしてはOpen Street mapが紹介されていた。

また、エンジニアの方から高度な技術でなくても、本当に課題を解決するためにITを活用すれば、それで十分人々の役に立つのだといったコメントがあったことも印象的だった。ローコードツールは正にそのソリューションとして適していると言えるだろう。

Civictechと行政の関わり方

コロナ禍で自治体がボランタリーにコロナ感染者ダッシュボードを作成し運用する中で、これを自治体が公認して利用するケースが多く見られた。この中でシビックテックがサービスを開発し、自治体側がオープンデータを出すといった役割分担による協業モデルができてきた。
一方でボランタリーに行なっているシビックテックがいつまで自前でサービスを提供するのか、仮に自治体に引き継ぐ場合にはどうしたら良いのかといった、責任関係の整理のあり方にまだ課題があることも明らかになった。これはCode for Fukuokaの方のお話の中であったことだが、実際には多くの自治体でも同様な課題に直面していると思われるし、国レベルでも同じような状況は十分考えられうる話である。行政とシビックテックの役割分担のあり方はプラクティスを積みながらより整備されていくべきだろう。

まとめ

全体を通じて今年もシビックテックの進化を感じた会だった。新たなツールやオープンソースの活用、具体的なソリューションにおける行政との連携のケースが出てきたことはコミュニティの成熟やリーチの拡大を感じる。一方で行政等とシビックテックの間の実務的な案件での連携が進む中で、責任関係や役割分担に関するモデルが今後より整理されていくことが期待される。
最後にオンラインでの開催の中、ご尽力いただいた運営の皆さんにお礼を言いたい。


いいなと思ったら応援しよう!

Hiroki Yoshida
引き続きご関心あればサポートをお願いします!