登校班名簿をスプレッドシートでつくり、クエリ関数で抽出すると、全校みーんなハッピーになる。
私が勤務する小学校には登校班というシステムがあり、上級生が下級生と一緒に登校することで安全を確保しようとする目的で運用されています。とても良いシステムだと思います。
これまで、この登校班名簿の管理は歴代の担当者が紙で管理していました。このアナログでの部分をスプレッドシートを活用し、データベースとして管理に切り替える話をお伝えします。
人間の操作ミスを減らす
デジタルでデータベースを作ったとしてもそこから登校班ごとのシートやクラス別の一覧シートなどを作成する際にコピペ、コピペ・・・では作業工数は多いですし、ペーストミスも起こることもあります。
また運用の中で変更も度々あります。登校班の合併や分裂、児童の転居、学童からの卒業や変更の際には登録した内容を変更することもあります。登校班ごとの名簿シートの内容は訂正したのにクラスごとの名簿シートの訂正を忘れるなんてこともよくよく起こりうるケースです。
クエリ関数は学校を救う(と私は思う)
そこで、Googleスプレッドシートを 活用して名簿管理を行う方法です。そその肝となるのがクエリ関数。
クエリ関数を用いることデータベースから必要な情報のみを抽出することができます。このクエリ関数を用いることで作業工数が劇的に減ることにつながります。主担当の先生だけでなく、指導にあたる先生方も、そして児童も保護者もみーんなハッピーになります。これはコスト以上のリターンが期待できます。
私はこれでクエリ関数を学びました。
この動画でクエリ関数クエリ関数の詳細については、以下の参考となる動画をぜひご覧ください。
【有料級】はじめてのQuery関数。たった一文で業務効率劇的変化(where句・select句・order by 句)
Googleスプレッドシートの初心者がいきなりQUERY関数を完全攻略する方法
【スプレッドシート】QUERY関数を知らない・・・!? もったいないので今すぐ使おう!
学校のいろいろな教育活動に転用可能(大事)
今回の記事内容としては登校班での管理になりますが、学校の教育活動の中では「クラブ活動」や「委員会活動」での全体名簿や「縦割り班活動」といった複数クラスが入り混じってグループを組織する場面に転用することもできるでしょう。
私の勤務校では、ぜーんぶ手書き。一人一人手書き。だからみんな不幸せ。
私の勤務する小学校では4月と3月に、登校班ごとの集会があります。
3月の集会では、新年度の登校班の編成を確認します。その後、児童が一人一人メンバーの学年や名前の情報をお互いの名札見ながら登校班カードに書き込みます。書いたカードはそのまま持ち帰り、保護者に渡します。また、新一年生へのカードも班長が作成し、その保護者に渡します。
これらの作業は手作業で行われます。もちろん個人の作業に委ねられることになります。字が汚すぎてなんて書いてあるのかわからない児童もいます。また正しく書き写すことができないため、名前が間違っていたり、メンバーが全員書かれていなかったりと混乱を生むことも多々ありました。班を担当する先生も学校保管用カードに手書きします。一人一人正しく 記入できているか確認を行ってなければなりません。1年生2年生は習っている漢字も少ないです。 なんかいい加減な字になっている部分を添削します。学びと捉えることもできますが、この時間必要ないでしょうね。
煩雑でな作業です。めんどくさいと感じている子も大きいます。
4月の集会では、新クラスを確認し記入します。登校班担当の先生はそのカードのコピーをとり、全校閲覧用のポケットファイルにファイリングします。このファイルが全校閲覧用のファイルとなります。
班の変更や転入生の追加などがあると、情報の更新や共有が困難です。名簿も古くて使いづらくなってしまいます。
この手書きの作業(写経)は必要ないですよね。
そこで、私は登校班の主担当の先生に「スプレッドシートを使って情報を管理すれば、先生方は常にタブレット端末で共有できますし、生徒も手書きの作業(写経)をする必要がありません」と提案しました。主担当の先生も現状の管理方法がとても工数が多く、またエラーが多いやり方に不満を持っていたことから新システムを導入しようという流れになりました。
GIGAの流れを受け、教員も一人一台端末があります。欠席管理もフォームで集約し、 スプレッドシートでその結果を閲覧できる状態にあります。そういった運用に慣れたことからか、スプレッドシートで運用することにあまり抵抗感はありませんでした。 いい流れです。
「登校班名簿」のサンプル配布
以下からコピーしてお使いください。
人数カウントも兼ねています。「スキ」をお願いします。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1AoFh-TU6vy0DzHuVXu5hiMQuG7rif35lHJUMljUREf0/copy
使用感はこんな感じ
シートの構成
データベースとして使用することから大きく分類してマスタ用、入力用、出力用の3種類のシートで構成しました。シートのイメージがつくようにダミーデータが入っています。以下は使い方およびポイントとなる実際の関数がどのように入力されているか簡単に解説をしています。シート作りの参考にしていただければと思います。
マスタ用シート「登校班マスタ」
→登校班名、担当する先生、集合時間、集合場所を入力します。
マスタ用シート「学童マスタ」
→下校時に自宅とは違う場所に帰る施設名を入力します。
入力用シート「入力用」
→学年、クラス、出席番号、名前、ふりがな、登校班名、班長・副班長の役、学童、メモ
//登校班名と学童はマスタシートからプルダウンで選択できるようにして、入力ミスがないようにしておきます。役については班長を「1」、副班長を「2」と入力して識別します。
出力用シート「登校班名簿テンプレート」
このシートがよく閲覧する班名簿のシートになります。作成のポイントを挙げます。
A1セルを登校班マスタから参照してプルダウン選択できるようにして、検索キーにしています。
A1セル(登校班名)をキーにして、E1セル(集合時間)、 G1(集合場所)、 I1(担当の先生の名前)をVLOOKUPで反映させています。
ちなみにE1セルは」以下のように入力されています。
=VLOOKUP(A1,'班マスタ'!$A$2:$C,3,0)
B3セルにQUERY関数を入力し、A1セルで選択した登校班名を検索キーにして、所属する児童の情報を入力シートからまとめて抽出する。
ちなみにB3セルには次のような数式が入っています。
このシートはテンプレートになっているためシートのコピーを班の枚数分行った後、A1セルをプルダウンで選択し直すだけで班名簿か簡易に作成できるよう動的な処理に対応させています。
where句には、A1のセルに入力されている文字列を参照できるようにしています。(数値の場合にはシングルクォーテーションはいらないようです)
=QUERY('入力'!A:I,"select A,B,C,D,E,G,H,I where F= '"&A1&"' order by A asc,B asc,C asc")
班のメンバーが何人いるのかわかるようにA列には「No」を追加しています。
A4セルには行数から3を引いた値を「No」として返すようにROW関数を使用しました。
また、相対的に一つ右のセル、今回はB4セル(学年)が空白の場合には""、つまり空欄になるようIF関数を使用しました。
A4セルには以下の数式が入っています。
=if(B4="","",row()-3)
出力用シート「クラス名簿テンプレート」
使用感はこんな感じ。黄色いセルにクラスを入力すると名簿が切り替わります。シートの作りは、クラス名簿の方と大体同じです。
この記事のまとめ
「登校班」という学校組織内で 複数クラスにまたがるような集団を管理する際にはデータベースを用いて名簿管理すると良いということ。
クエリ関数で必要な情報を抽出できることからデータベースにはスプレッドシートを使うのがオススメということ。
学校関係者はこのクエリ関数を扱えることでみんなをハッピーでできるということ。
シート構成は「入力用」「マスタ」「出力用」の大きく3種類用意すると良いということ。
サンプルファイルを教材にしてクエリ関数がどう使われているか参考にして欲しいこと。
学校現場でどう使えるか模索すると働き方が変わるのではないかということ。