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Hiroki Mochigi / 持木宏樹
2021年10月8日 20:53
また、自宅にある本の話をしようと思います。ネタがないんですよ、ネタが。ネタがないことに妬む。ネタがないから、寝た。という爆笑必須のギャグ(あるいは超絶スベリ芸)はいくらでも思いつくのですが、今の時期は”読書の秋”とか言われているし、何度も本を紹介したっていいですよね。あ、今回は「国内の出版社だけど洋書」っていう書籍を取り上げます。それはコチラでございます。【国内の出版社
2021年6月5日 18:59
また、寄り添っている。 やめて、という言葉にも思いにも、耳を傾けてくれない。 わたしの体はそれほど大きくないけれども、全身にぴったりしている。 正直、いい気持ちはしない。 さわやかではないんだ、しつこいんだ。 ベタベタしてくるし、どこにでもいる。 一年中ではないけれども、一生付きまとってくる。 たぶんこの時期、体重は増えている。 一緒に体重計に乗って、その値に驚いたり喜んだり落
2021年5月14日 17:40
最初は、鼻がなくなってしまった、と思った。朝起きて、洗面所にてすぐにそれに気づいた。歯磨き粉にも石鹸にも、まったく香りがない。湯気の立つコーヒーやカリカリのトーストも同じ。整髪剤も制汗剤も、本来の役目が損なわれている。だからわたしの鼻は、どこかに消えた、と思った。匂いがしない、という現実はものすごく怖い。5月を彩るラベンダーも、肉汁がジュージューと歌うBBQも、ぽかぽか陽気にくる
2021年4月30日 07:48
汗が弾ける。すっぱい液体は、ぼくを憎む。キラい、ということであれば、どうぞご自由に。どうせこれからも、あるいは一生、何度でも再会するのだから。ぼくに対する汗の気持ちとは違って、リングとボールはそれぞれを求め合う。その姿に、ドキドキする。膝のクッションと手首のスナップだけで、ボールは簡単に空を飛ぶ。モップだったら、こんなに昇らない。Tシャツやタオルならば、明後日の方向に行
2021年4月19日 08:18
汗は、わがままだ。 ぼくのいうことなんて、聞いてくれやしない。 額から、首筋から、ワキから、背中から、次々と顔をのぞかせる。 やめてくれ、よしてくれ、と注意しても無視だ。そして感情的になるほど、身振り手振りでメッセージを伝えようとするほど、一粒一粒が自己主張を強める。透明な後継者も、あとを絶たない。 どうして出てくるんだ! 汗は、こうしたぼくの言葉に耳を傾けないし、何も言わない。 た
2021年4月5日 10:30
小さな薄桃色の座席は、しっとりとしていた。 うっすらと、甘い春の香りもする。 シートのふちは、せっかちなエイのように、バタバタと揺れている。 指先でつっつけば簡単に破れそうな耐久性にもかかわらず、まさか、本当に乗れるなんて―― 桃色の絨毯は、風に身を任せて、ぼくをどこかに運んでいる。 きもちいい。と同時に、怖い。 ここは、地上数十メートルぐらいの高さ、だと思う。 学校の屋上にある